060501目で見るガイドライン2005 小児と乳児の一次蘇生

 
  • 330読まれた回数:
基本手技



060501目で見るガイドライン2005 小児と乳児の一次蘇生

OPSホーム>基本手技目次>060501目で見るガイドライン2005 小児と乳児の一次蘇生

060501目で見るガイドライン2005 小児と乳児の一次蘇生


手技

速報+日本版 アルゴリズム 気道確保と人工呼吸 心臓マッサージと除細動 小児・乳児 応急処置 訓練・口頭指導・一般への普及

最新救急事情

心マ:呼吸=30:2 現場についたらまずCPR 心マなくして蘇生なし 変わる救命講習 新しい応急処置 日本版救急蘇生ガイドライン


講師

玉川 進

旭川医科大学病理学講座腫瘍病理分野

 今回は小児の一次蘇生を解説する。乳児とは日齢28日以降から1歳未満、小児とは1歳以上8歳未満の子供とする。8歳以上であっても小児のアルゴリズムを適応しても良い。しかしながら今回のガイドライン(G2005)では小児と成人のアルゴリズムで目立った相違点は最初の「まず119番(成人)」と「急いで119番(小児)」くらいで、あとはほとんど同じである。

 「まず119番(成人)」と「急いで119番(小児)」の違いは以下の理由による

  • 成人では虚脱の原因として心室細動を含む心臓疾患が多く早期のAEDが有効
  • →「まず(真っ先に)119番(してAEDを持ってきてもらう)」
  • 小児では気道のトラブルから虚脱することが多く、気道確保と人工呼吸で回復する可能性が高い
  • →「(気道確保と人工呼吸をやって、それから)急いで119番」

 AEDは1歳以上が適応となっており、1歳未満の乳児では適応がないことにも注意する。

 新生児の一次蘇生についてはG2000とはほとんど変化がないので割愛する。

 なお、今回の写真は元気のいい子供をモデルにした。人形を用いた場合と違い上手には撮影できていないが許していただきたい。

1)ぐったりしている小児を発見したら、周りの安全を確認した上で患児に近づく。

大丈夫かと呼びかけ、名前を知っていれば名前を呼ぶ。

子供に反応のない時には大声で助けを求める(*1,*2)。(写真1)

(*1)小児一次蘇生の最大の手技は「防止すること」。

小児の死亡で最も多いのが交通事故、ついで熱傷や溺水となる。これらはわずかな心がけで防止可能である。

乳児の死因である乳児突然死症候群はうつぶせ寝をやめ、寝具を固いものにし、親が禁煙することによってその発生を大幅に減らすことができる(写真10)。

(*2)外傷で救助者が複数なら一人が頸椎保護をする。移動させる時も頸椎保護を続ける(写真11)。
2)119番の前に気道を確保し(*3)10秒以内に「普通の息」をしているか確認する(*4)。(写真2)

(*3)目撃のある突然の虚脱で自分一人しか救助者がいない時には、すぐ119番通報をしてAEDを取り寄せる。虚脱の原因として不整脈の可能性が大きいためである。

しかしながら一般人に対しては単純化のため「子供では必ず30:2を5回してから119番」と教えても良い

(*4)成人の蘇生と同じく、「普通の息」を強調することによって死戦期の呼吸でも人工呼吸を促す。

3)「普通の息」をしていない場合には胸が上がるように2回息を吹き込む(*5)。(写真3)
(*5)一般人は頭部後屈あご先挙上法を用いる(写真12)。医療従事者で患児が外傷を受けている場合には下顎挙上で気道確保を試みる(写真13)。下顎挙上で気道確保で来ない場合には頭部後屈あご先挙上法を試みる。

息吹き込みには口対口、口対鼻が用いられる(写真14)。

乳児で口と鼻が小さい時には救助者の口で乳児の口を鼻を両方覆って吹き込んでも良い(写真15)。

吹き込みは1秒間。患児の胸が上がる程度。過換気は避ける。

4)医療従事者のみ、10秒以内で脈拍を確認する(*6)。

10秒経っても脈が確認できない場合には心停止と断定する(写真4)

(*6)乳児では上腕動脈(写真16)、小児では総頚動脈または大腿動脈(写真17)に触れる。
5)医療従事者のみ、呼吸がなく脈拍が認められる場合には3秒ごとに1回の息吹き込み。脈拍の再確認は2分ごと。(写真5)
6)一般人では気道を確保しても生き返る兆候がなければ、また医療従事者では脈が確認できない場合にはCPRを開始する。

救助者が1人の場合には心マ30回に対して人工呼吸2回で行う(30:2)。救助者が2人の場合には心マ15回に対して呼吸2回を行う(15:2)。

心マの回数は1分間100回。早く強く押して確実に除圧する(*7)。(写真6)

(*7)乳児の場合、一般市民は二本指で心臓マッサージを行う。

医療従事者で救助者が複数いる場合には両手で乳児の胸を包み込んで心マする(写真18)。

小児の心マッサージは片手でも両手でも良い(写真19)。

押す場所は乳頭線の下、胸骨の下半分。深さは胸郭の厚さの1/3から1/2が凹むようにする。

7)ここまで自分しか救助者がいない場合には30:2を5回行って119番通報(*8)。(写真7)
(*8)乳児の場合は乳児を抱きかかえCPRを継続しながら電話まで移動し119番。CPRを中断する時間を最小にする(写真20)。
8)AED到着(*9)。一歳以上でショックの適応なら放電。

放電直後から30:2を5回。

再び心電図解析。適応あれば放電(写真8)

(*9)小児用のAEDを用いる。ない場合には成人用のAEDを使う。

一歳未満の乳児ではAEDは使えないのでひたすらCPRを続ける(写真21)。

9)ショックの適応外ならCPRを継続。

30:2を5回ごとに心電図確認。

心電図モニターがない場合には生き返るまでCPR継続。(写真9)

協力:吉田寿美(南宗谷消防組合枝幸消防署歌登分署←市町村合併で名前が変わりました)


手技

速報+日本版 アルゴリズム 気道確保と人工呼吸 心臓マッサージと除細動 小児・乳児 応急処置 訓練・口頭指導・一般への普及

最新救急事情

心マ:呼吸=30:2 現場についたらまずCPR 心マなくして蘇生なし 変わる救命講習 新しい応急処置 日本版救急蘇生ガイドライン


OPSホーム>基本手技目次>060501目で見るガイドライン2005 小児と乳児の一次蘇生


https://ops.tama.blue/

]]>

基本手技
スポンサーリンク
opsをフォローする
興部進歩の会OPS

コメント

タイトルとURLをコピーしました