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181027応急処置アップデート(8) 捻挫

健康教室2018年11月号p58-9

応急処置アップデート(8)

捻挫

ポイント

1.軽度の捻挫でも組織は損傷している

2.急性期はRICE。冷やし過ぎに注意

3.慢性期は筋トレとバランスボード

1 捻挫とは

間接の支持組織である靭帯の損傷を捻挫と言います。足関節が捻挫の好発部位ですが、突き指も靭帯を傷めますので捻挫の一種です。今回は即間接の捻挫について解説します。

足関節の靭帯を図1に示します。足の甲で着地した場合には前距腓(ぜんきょひ)靭帯が破損します。また外くるぶしで着地した場合には踵腓靭帯が破損します。

靭帯損傷の程度は3段階に分類されています(表)。第一度の軽度であっても顕微鏡レベルでは組織の損傷を伴っていますので、安静が必要です。部分断裂なら固定しれば治りますが、完全断裂の場合は手術も適応です。足首を内転(あぐらをかくときのように足の裏を上に向ける)させたときに左右で明らかに角度が違う(10°が目安です)(図2)なら手術をした方が良いでしょう。

図1

足関節の靭帯。大きな靭帯が3つあります。着地の仕方で損傷する靭帯が異なります。

図2

左右差を見る方法。外くるぶしで着地した場合。足首が内側に曲がるように愛護的に押します。ケガをした直後では内出血を増長する可能性がありますので、症状が落ち着いてから行います。目で見て明らかに差があるようなら手術の必要があります。

表1

足関節捻挫の重症度。

エクセルファイル

2 捻挫を起こす危険因子

どんな人が捻挫を起こしやすいか研究結果が出ています1)。運動1000回につき「女性14回、男性7回」、「小児3回、成人2回」「青年2回中高年0.7回」「インドア・コートスポーツが最多で1000回につき7回、1000人につき1.4人、1000時間につき5回」「最多は足関節側方の捻挫」とされています。「」は一つの研究単位を表しており、数字が矛盾するのは対象が異なるためです。一度捻挫をしたら次も捻挫しやすくなるか文献を探しましたが見つかりませんでした。

1)Sports Med 2014;44:123-40

3.急性期の対処法

RACEを行います。Rest(安静), Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)です。くるぶしを取り巻くような当て布(テーピングパッド)を当てて弾力包帯を巻くと腫れを抑えることができます(図3)。

冷却については、20分冷やしたら1時間置いてまた冷やすことを繰り返します。冷やし過ぎは凍傷になったり治癒を遅らせたりしますので注意しましょう。

急性期はテーピングは無効です2)。腫れが引くまではRICEに専念しましょう。

まだ動物実験の段階ですが、受傷早期から暖めた方が治りが早いという研究が出ています。暖めることでヒートショックプロテインという蛋白が局所で合成され、それが不要となった細胞の除去と傷ついた部分の細胞の再生を促すというものです。肉離れのような筋損傷3)や腱断裂4)で効果が認められています。靭帯も腱と類似した組織ですので、近い将来治療法が変化するかもしれません。

図3

くるぶしに当て布をしてから圧迫包帯を巻きます。当て布は市販されています。

2)J Physiother 2015;61:28-33

3)J Physiol Sci 2016;66:345-57

4)Mediators Inflamm 2012;2012:436203

4.慢性期の対処法

捻挫は繰り返すと切れずに残っていた靭帯を切ってしまう可能性があるので、再発防止を目的に対処します。

(1)テーピング・ブレース

普通は疼痛軽減のためにテープを貼りますが、再発防止にもなります。特に靭帯の部分断裂を起こした人では足関節の動揺を抑えることができます5)。ただテープは運動により伸びてしまい効果が失われます。そのためブレースのほうが有効です。

5)J Athl Train 2014;49:322-30

(2)筋肉トレーニング

足関節周辺の筋肉を鍛えることで正確に着地することや、もし捻ったとしても捻挫になる前に踏みとどまることができるようになります。これも多数の方法があります。つま先立ちやかかと立ちを毎日行うだけでもトレーニングになります。

(3)固有感覚のトレーニング

固有感覚とは、筋や靭帯がどこにあるのか把握するための感覚です。この感覚が鈍い人は正常の人に比べ捻挫する頻度が高くなります。バランスボードに乗ったり柔らかいボールを踏みつけたりして感覚を養います(図4)。こんな簡単なことで捻挫が防げるのかなと思いましたが、過去に捻挫を起こした人はもちろん、起こしていない人でも捻挫の発生率を有意に低下させます6)。筋肉トレーニングと固有感覚のトレーニングのどちらが有効かは文献によってさまざまですので、両方やるようにしましょう。

6)J Athl Train 2017;52:1065

図4

固有感覚のトレーニング。バランスボードに乗ったり、ボールを踏みつけたりして感覚を養います。

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