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190316応急処置アップデート(12)血尿

健康教室 2019年2月号

応急処置アップデート

血尿

ポイント

1.ほとんどの症例は原因不明で問題なく成長する

2.試験紙では血液以外でも潜血(+)になる

3.迅速に検査。不可能なら尿は冷暗所保存

今回から3回に分けて学校検尿の解説をします。初回は血尿についてです。

学校検尿で血液が出ていたとしても、ほとんどの症例は潜血(+)蛋白(-)であり、原因不明のため経過観察になります。

1.血尿とは

尿に血液が混じっている状態を血尿といいます。目で見て色が変わっているのを肉眼的血尿といい、1Lの水に血液が1mL程度入っていると黄色~赤く色が付いているのが分かります。これに対して顕微鏡で見て初めて赤血球が混じっているのが確認できるのを顕微鏡的血尿といいます。一般的に言われる「潜血」はこの顕微鏡的血尿のことです。

2.学校検尿ではヘモグロビンを見ている

学校での検尿ではスクリーニング検査として試験紙を用います。試験紙には表面には赤血球を壊す薬剤が、その内側には過酸化酸素様物質と色素が塗られています。

ヘモグロビンは過酸化水素を分解して酸素を放出させる触媒作用を持っており、これを利用して色を変えて血液の量を知る(図1)のですが、触媒作用のある物質でならどんなものでも色を変えることができます。強い運動で筋肉が壊れて尿に流出するミオグロビン、尿路感染症で尿に混じる白血球や細菌でも潜血(+)になります。逆に還元作用が強いビタミンCやハイシーなどを服用すると出血があるのに潜血(-)になる可能性があります(図2)。

尿の放置は検査結果を過小化します。ヘモグロビンは時間とともに変性し酸化作用が低下して行きます(図3)ので、採尿後すぐに検査すべきです。業者が尿を収集する学校では、可能なら冷暗所に尿を保管しておきます。また収集から検査までどれだけの時間を要するのか、ちゃんと業者に尋ねましょう。検査まで余りに時間がかかっているようなら業者の変更も考えるべきです。

3.血尿を指摘されたら

多くの学校でもう一度再検査し、それでも血尿が続いている場合は病院でしっかり検査をします。

病院では

(1)本当に赤血球が出ているのか。出ているならその程度は

(2)他に症状はないか

を調べます。

(1)赤血球を見る

試験紙は赤血球以外でも変色します。そのため、病院では尿を顕微鏡で見て、本当に赤血球があることを確認します。顕微鏡で見ることで、どこから出血しているかおおよその見当をつけることもできます(図4)。

(2)他の症状を探る(図5)

尿中に血液と蛋白が含まれていて、しかも出血が腎臓由来ならネフローゼ症候群等の腎臓の病気が考えられます。この場合はエコー検査を行って腎臓以下に異常(先天性奇形)がないことを確認し、軽度なら経過観察、重度もしくは経過観察中に症状悪化があれば入院し腎生検などの検査を行います。

出血が腎臓以外からのものならそのまま経過観察になります。ガイドラインでは初診時にエコー検査を行うように勧めています。

4.血尿児童はどうなるか*

尿潜血だけで他に症状のない児童生徒のほとんどはそのまま何の問題もなく成長します。過度の運動制限や生活制限は禁止です。

*成人では、生殖年齢なら尿路感染症を、高齢者では悪性腫瘍を第一に疑います。

参考文献

血尿診断ガイドライン(2006年)日本臨床検査医学会ほか






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