211205シェアする症例:熱中症が契機となり発症したと思われる急性心筋梗塞の一例(今治市消防本部 渡邉康之)

 
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プレホスピタル・ケア 2021/06/20 (通巻163号)p4-9

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プレホスピタル・ケア2021年6月号(東京法令出版)

 


目次

 

著者

 

 

渡邉 康之(わたなべ やすゆき)

消防司令補
愛媛県今治市出身
昭和56年5月8日生まれ
平成19年4月 消防士拝命
平成27年3月 救急救命士合格
令和2年4月より今治市消防本部西消防署勤務
趣味は陸上競技、家庭菜園

 

図3 体温調節反応と熱中症の病態。提供:京都女子大学 中井誠一先生、中京大学 松本孝朗先生

 

図4 熱中症の発生時期と人数。2012年。「熱中症診療ガイドライン2015(日本救急医学会)」を基に作成

表4 救急活動時系列

表5 バイタルサイン

 

表6 熱中症の重症度分類と症状。熱中症診療ガイドライン2015(日本救急医学会)を基に作成

病院到着後の時系列を表8、12誘導心電図を図5に示す。12誘導心電図I、aVL、V1~V5でST上昇、Ⅱ、Ⅲ、aVFでreciprocalなST低下を認めた。血液検査の結果を表10に示す。血液検査では、心筋逸脱酵素のCK及びCK-MBは軽度高値であっが、トロポニンI、AST、LDHの上昇は認めなかった。BUN、Creは高値で、脱水による循環血液量減少により腎前性腎不全(表9)を認めた。LDL-C高値で脂質異常症の状態と考えられた。Naは正常範囲のため、心停止前輸液全開投与の効果が出ている可能性が考えられた。心エコー検査では、前壁の壁運動低下、下大静脈(IVC)の虚脱を認めた。冠動脈造影検査(CAG)では、右冠動脈(RCA)に有意狭窄は認めなかった。左冠動脈主幹部(LMT)、左回旋枝(LCX)に有意狭窄を認めなかったが、左前下行枝近位部(LAD#6)に完全閉塞を認めた(写真2、写真3)。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行(写真4)し、経過は良好である。冠動脈AHA分類を図6に示す。

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