近代消防2021/8/10 2021年9月号)p63-4
今さら聞けない資機材の使い方 (100-3)
新型コロナ対策(2)救急隊員を守る
C
ロール網戸式間仕切り
北海道富良野広域連合富良野消防署占冠支署
八木洋幸
目次
著者
八木洋幸(やぎ ひろゆき)
所 属 富良野(ふらの)広域連合富良野消防署占冠(しむかっぷ)支署
出 身 占冠(しむかっぷ)村
消防士拝命 平成15年4月1日
趣 味 野球・アイスホッケー
はじめに
占冠支署は北海道のほぼ中央に位置する占冠村を管轄しており、年間100万人が訪れるリゾート地です。
新型コロナウィルス感染症の流行は救急業務においても大きな影響を与えています。占冠支署では感染防止策として、救急車内に簡易的な間仕切り(C_001)を設けていました。しかし、この作業は養生に時間を要することや、出場途上において剥がれ落ちるなど、隊員に大きな負担を強いてきました。今回新しい間仕切りを考案した(C_002)ので紹介します。
001
以前の間仕切り
002
ロール網戸式間仕切り
新しい間仕切り
窓につける横引きの網戸と同じ構造物を作成し間仕切りとしました。
間仕切りは2つの部品からなります。ロール式網戸と同じ構造のロール式間仕切りシートと、それを救急車内に取り付ける取付金属です。
仕切りシートとして0.3mm糸入りコーティング施工シートを用いました。コーティングによりインフルエンザ・新型コロナウィルスへの抗菌作用を期待しています。シートは枠の中に収められ(C_003)、シートは引っ張ると出てきます(C_004)。巻き取り径は小さく、収納時の動作もスムーズです。
取付金属は軽量かつ丈夫な素材を用い(C_005)、走行中にガタガタと音を立てないようにゴム製固定具を使って救急車に取り付けました(C_006)。
傷病者搬送後はシートを消毒液で清拭し(C_007)感染を防いでいます。
003
シートが枠内に収まっているところ
004
引っ張ればシートが出てくる
005
取付金属
006
ゴム製固定具で救急車内に固定する
007
シートを消毒液で清拭
考察
利点として、以下の5つが挙げられます。
(1)安価で(材料費)
(2)感染ごみの減少
(3)患者収容部からの感染軽減
(4)機関員等への負担軽減
(5)消毒作業の時間短縮
今後も検証を重ね、質の向上と安全管理に努めていきます。
協力
株式会社メンテイト(仕上げ)
株式会社ソシヤ(コーティング)
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