221112応急処置アップデート Q and A 2-1 異常所見はないけれど…

 
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救急の周辺

 雑誌 健康教室 2022年5月号p46

応急処置アップデート Q and A

#2-1

異常所見はないけれど

 

目次

Q

『異常所見はないけれど…』

 体育のマット運動で転倒したなどで「背中や腰をぶつけた」と来室した場合、患部に腫脹、変色、変形、圧痛、介達痛等といった異常所見がない場合はどのような処置を行えばよいでしょうか?また、どのような所見に気をつけたらよいでしょうか(状況に応じて、アイシングや湿布の貼付を行うのですが、どうすべきかと悩みます)?

A1

気にするべきは骨折です。ですが時間が経たなければ分からないこともあります。

処置:アイシングや湿布をします

所見:日を追って痛みが軽減するか確認します

解説1

1.観察の順序(001)

 

 

痛みの少ない順に行います。また触るときは痛い場所をすぐ触るのではなく、周辺から触っていきましょう。

1)見る

2)触る

3)押す

4)叩く

骨折の場合重要なのは介達痛です。これは押す場所にかかわらず、どこを押しても骨折した部分を痛がるものです(002)。だた骨折するような大きな力が加わった場合だとそこかしこを痛がるため判断が難しい場合があります。

 

2.打撲と骨折の違い

打撲だけで骨折がない場合には、2-3日で腫れが引き、痛みが少なくなっていきます。しかし骨折があれば骨折部分が擦れるのと骨折部から血液が流出するため1週間経っても痛みや腫れはそれほど軽減しません(003)。

 

打撲した直後で異常所見がない場合は湿布などで様子を見て構いません。軽微な骨折は医者でも見逃す事が多くありますので、変だと思ったら病院を受診させてください。

こんなことがありました

体育の授業中、マット運動の「前方倒立回転跳び」をしていた小学6年生男子がバランスを崩し、腰をマット上に打ってしまいました。「おしりが痛い」と訴え歩いて来室。打撲部位を見ても変色や腫れもなく、普通に歩けているのでとりあえず湿布をしました。おしりのあたりに湿布を貼るのは本人の羞恥心もあり、さっと済ませました。翌日以降、廊下で見かけたら声をかけるようにしていましたが、数日間痛みが続くので、後日病院を受診したら尾骨にヒビが入っていたそうです。

 

 

 

玉川進(たまかわすすむ)

医学監修・解説

玉川進(たまかわすすむ)

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旭川医療センター病理診断科

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