230111救急隊員日誌(217)会議が盛り上がらない時はこのセリフを言え!

 
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救急隊員日誌
月刊消防 2022/06/01, p86
 
 
 
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230111救急隊員日誌(217)会議が盛り上がらない時はこのセリフを言え!

 みなさんも心当たりがあるだろう。職場の会議って「つまらない」「忖度がある」。症例検討会って「雰囲気が重い」。症例検討会が終わった後の、仲間内で行うディスカッションが一番盛り上がるよね?みたいな。

 「それってあなたの感想ですよね?」「根拠を教えてください。」どんな大物相手でも躊躇なく切り込むこの男。2021年に一躍有名になった人といえば2チャンネル創設者のひろゆき氏だろう。論破王とまで囁かれ、悪役のようなイメージで捉えがちだが、彼の語る言葉はどこを切り取っても論理的である。本質を突かれて反撃する言葉もなく、ついに怒り出してしまう大物政治家の姿は視聴者から見ればとても面白く映る。しかし、今回はひろゆき氏の話ではない。 

 テレビ離れが叫ばれる中、私が欠かさず見ている番組がある。ひろゆき氏も時々コメンテーターとして登場する「ABEMA prime(通称、アベプラ)」だ。大物政治家、大学教授、芸能人など、様々なジャンルの方々が集まり、ある時事テーマについて論争を繰り広げる番組。各専門家の白熱する討論はもちろん面白いのだが、私はいつもこの番組の進行役である平石直之氏の仕切りに目を奪われてしまう。ふとした瞬間に、「会話が途切れてしまう。」「話が飛躍して、関係ないテーマに及んでしまう。」ついにはコメンテーター同士が喧嘩を始めそうになるこの番組だが、この平石氏が間に入ると面白いように議論が進んでいく。そう、この平石氏の回しがすごいのだ。個性あふれるコメンテーターを猛獣になぞらえて、彼は「アベプラの猛獣使い」という異名まで持っている。

 平石氏は著書「超ファシリテーション力」でその場にいる人の能力を最大限に引き出す、ファシリテーターのメソッドを記している。ちょっとした工夫が、眠くなる会議やつまらない会議をワクワクするものに変化させ、組織やチームを変化させてくれるのだという。その著書の中からいくつか紹介したい。

 まずは、「意見が出ず、会議が盛り上がらないとき」の対応だ。平石氏は、会議というものはみんなで大縄跳びをしているようなものであり、なかなか中に入れない人がいたらそっと背中を押してあげる配慮が必要と説明する。症例検討会でも、一部の積極的な人に発言が偏ってしまう場面は多く経験することだろう。そんな時は「これは重要なテーマですから、他の皆さんのご意見も聞いてみましょうか」と、大縄跳びの縄を少し緩めると良いのだそうだ。・・・なるほど。

 次に、参加者の本音を聞き出したいときはどうか。結局のところ管理職や消防署長の意見がものをいう世界。特にこのポジションの本音は上手に引き出したい。そんな時はこのセリフ、「ここは議事録には残しませんので。」・・・うーん。これも使えそうだ。

 会議中に劣勢な一方に加勢したい時は、「○○さんが指摘する〇〇の部分にも一理あると思いますが、この点についてはいかがでしょう。」会議では個人が個人を言い負かす事に意味はなく、いわば両輪を提示した上で適切に選択して行くのが理想とする。これが平石さんのスタイルなのだ。

 興味のある方は、この本を読んでみるといい。もしくは平石氏が出演する番組を見るとその凄さを実感することだろう。消防長や署長に対して、「それってあなたの感想ですよね?」とはとても言えないが、「ここは議事録に残しませんので」くらいはなんとかなりそうだ。あなたも「消防の猛獣使い」と呼ばれる日はそう遠くないだろう。え?その根拠を教えてくださいって・・?  えーーっと・・・あははは・・・。

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