230409救急隊員日誌(220)進歩

 
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救急隊員日誌
月刊消防 2022/09/01, p67
 
 
 
空飛ぶクルマ
 
 
 

考えよう そうすれば解決策は見つかる

 

ここ数年、私たちを取り巻く環境は目まぐるしく変化してきた。日常生活の中でもあらゆる面で進歩している。ICT(情報通信技術)は日進月歩であり、私たちの生活においてICT技術を使わない日は1日としてない。携帯電話、メール、LINE、Facebook、YouTubeの閲覧など当たり前の風景となっている。携帯電話の普及に始まり、手紙は葉書や封筒を使った郵便物は激減し、その代わりの情報ツールとして電子メールがほぼ主流となった。そして、現在はその文明の利器となった携帯電話も今やガラケーと呼ばれ、スマートフォンの時代である。平成元年には、スマートフォンが当たり前になっている今の暮らしは想像できなかったはずである。スマートフォンはまさに小さなコンピューターである。電話ツールというよりもコンピューターに電話機能が付帯しているという感覚かもしれない。


同じくして医療機器も進化が進んできている。私が、救急救命士となった時の気管挿管は、喉頭鏡を用いて声門を確認して実施していた。喉頭鏡は、マッキントッシュタイプのものを使っていたが、声門の確認が容易ではない症例に遭遇することもあった。そのような挿管困難症例の場合、医師であれば、盲目的に挿管することや、ファイバースコープを用いて挿管することができるが、救急救命士には認められていない。


数年前にビデオ喉頭鏡が登場した。ビデオ喉頭鏡は、喉頭鏡の先端に小型カメラと光源を装着し、口腔内の様子や挿入具合を小さなスクリーンに映し出して画面で観察しながら挿入できるようになっており、カメラを通じて間接的に声門を確認できる。気管チューブが声門を通過する様子も視認できるため、食道への挿管も防止できる。ビデオ喉頭鏡の登場で声門の視認性が向上し、気管挿管の安全性が格段に向上している。


 「人間は考える葦(あし)である。」とは、17世紀フランスの思想家ブレーズ・パスカルの有名な言葉である。人間は無に等しく「一茎の葦」のごとく弱い存在にすぎないが、それは「考える葦」であるという意味で、これは「考える」ということができる人間の偉大さを表現している。人間の考える力で良い医療機器が開発されている。


ここ数年のAI(人工知能)の進歩は著しく、顔認証、ビックデータ解析など、数年前には存在しなかった技術も実用段階にきている。現在、AI(人工知能)を活用したアプリなどを用いて、救急隊が病院に患者情報を送信することで、搬送時間の短縮や病院側の受け入れ準備を実証実験している地域がある。また、新聞やニュースなどでもAIの文字を見ることが多くなったように感じている。あと20年30年先には、今の私たちには想像が出来ないくらい医療が進歩し、環境が進化しているであろう。どのようになっているか楽しみだ。

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