250116_今さら聞けない資機材の使い方_131_発表スライドの作り方(1)症例報告編_国立病院機構旭川医療センター_玉川進

 
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基本手技

 

近代消防 2024/04/11 (2024/05月号)p90-3 

 


今さら聞けない資機材の使い方

発表スライドの作り方

(1)症例報告編

目次

はじめに

みなさんこんにちは。近代消防「救急活動事例研究」の取りまとめを担当しています玉川進と申します。この連載は、年に1回行われる全国救急隊員シンポジウムの発表演題の中から毎月1題を掲載しているものです。発表者からスライドと発表原稿を受け取り、私が雑誌掲載の形にして近代消防編集室に送っています。

今回と次回は、発表スライドを見ていて気づいた点を元に、どうすれば参加者に理解してもらえるスライドになるか解説します。今回は症例報告編、次回は研究編です。

1.原則

(1)言いたいこと(=結論=ゴール)をはっきりさせる

まず、この報告で言いたいことを整理してからスライドや発表原稿作成に入りましょう。

                

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発表の前に抄録を提出しているはずです。消防さんで多いのが、症例の概要だけを書いたものです。この場合は結論はあたらに作らなければなりません。

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結論は何ですか。ナビゲーターである発表者にゴールが見えていなければ、参加者も道に迷ってしまいます。スライドを作る前に結論をはっきりさせましょう。考察まで書いてあれば、その中から結論を決めます。スライドの赤文字が結論です。この結論に沿って発表を組み立てていきます。

(2)発表スライドはパッと見て理解できるように作る

発表スライドは約5分という短時間で自分の主張を参加者に伝えるものです。そのため一目で理解できるものを作る必要があります。

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たまに、これだけの情報量を1枚に詰め込んでくる人がいます。これは総務省消防庁が公表している検討会の資料です。これはスライドとして投影するものではなく、検討委員に配って説明するものです。検討委員は専門家が任命されているとはいえ、短時間で理解するのは大変でしょう。私も検討委員に入れてもらったことがありますが、もらった資料はいつも家に帰る途中で見返していました。

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001の抄録をスライドにするとこのようになります。発表5分、スライド10枚とすると、このスライドは30秒だけ写されます。文字を目で追うだけで30秒経ってしまいます。

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002のスライドの文字を減らしました。見てすぐ理解できます。

2.各パートで気をつける点

(1)題名:副題をつける

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多いのが症例についてそのまま書いてあるものです。ここに自分の最も言いたいことを加えれば、見る方は「この人はこれが言いたいのか」と理解しながら聞くことができますので、理解がスムーズに進みます。

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副題をつけてみました。これで、発表者の意図が見る人にダイレクトに伝わります。ただ、副題の分だけ文字数が多くなりますので、主題を削ることも考えましょう。

(2)症例:文字数・写真・時系列

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症例はどうしても文字数が多くなりがちです。

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必要な項目だけを載せるようにしましょう。

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もしそれができない場合には、注目してほしい項目に色をつけます。

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患者の状態を文字で表現しても見ている方には伝わりづらいものです。

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再現写真で置き換えられないか考えましょう。理解度が全く異なります。なお、再現写真を示す場合は「再現写真」と断るか、誰がみても再現である写真(消防の服を着ている、ゼッケンをつけているなど)を用います。(引用:伊豫田悠。近代消防2023年8月号p58-61)

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活動の時系列を表で示すのは止めましょう。どの活動に時間がかかったのかすぐには理解できません。消防さんは見慣れているからこれが普通だと思っているでしょうが、消防でない私はいつも頭の中でアナログ時計を浮かべています。

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時系列は数直線とすればすぐわかります。

(3)考察:喋れば良い

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考察を文字で長く書く必要はありません。症例は事実を提示するためある程度の文字数が必要になりますが、考察は単に発表者の考えであり、どうにでもなる部分です。文字が多ければ見る人は文字を追いかけるため発表者の話を聞かなくなります。

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考察が複数にわたる場合、まず考察の概要を示します。そうすることで、これから何が出てくる内容を参加者に準備させます。

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次に、それぞれの内容の要約を別のスライドで示し、その要約に沿って喋っていきます。なお、スライドの枚数制限がきつい場合はこの方法は使えませんので、考察は1枚で終わらせるようにしましょう。

(4)結論:なくても良いがあったほうが良い・箇条書き

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結論や結語は作らない人もいます。私はゴールを示すために入れるべきと考えています。結論でもダラダラと文章を載せる人がいますが、結論なら短い言葉で示せるはずです。最後まで参加者が理解できるように努めましょう。

次回は

発表スライドの作り方(2)研究編

です

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