130407今さら聞けない資器材の使い方(1)三連はしご

 
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基本手技
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今更聞けない資機材の使い方

第1回三連はしご

目次

シリーズ構成者ご挨拶

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松本直樹(まつもとなおき)

所属:留萌消防組合消防署


出身:留萌市


消防士拝命:昭和62年4月


救命士合格:平成11年11月(東京研修所第16期)


趣味日曜大工・サイクリング

このたび、「今さら聞けない資機材の使い方」について担当することになりました留萌(るもい)消防組合消防署救急救命士松本直樹と申します。昭和62年4月に留萌市職員として採用され消防吏員の拝命を受けております。
留萌消防組合は小規模消防のため消防隊と救急隊は兼任となっています。消防活動で取り扱う資機材については大体は理解しているつもりですが、改めて見直すことで「あ~、こんなことも出来るんだ」とか「じゃあ、これもありか?」などと再発見の場となりそうで、この連載をとても楽しみにしております。
短い期間ですが皆様と一緒に楽しく学べ情報の共有をしていけたら幸いです。
なお、今回このような機会を与えていただいた職場及び関係機関の皆様に感謝いたします。

 

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名前:山内正彦(やまうち まさひこ)


所属:留萌消防組合消防署

年齢:28歳

出身地:北海道 留萌市


消防士拝命年月日:平成15年4月


趣味:サッカー、登山、読書

『第1回三連はしご』

皆さんはじめまして、北海道留萌消防組合消防署の山内正彦です。
今更聞けない資機材の使い方 第1回目は『三連はしご』です。

1. はじめに

三連はしごこそ我々消防職員にとって神器と呼べる最強・最大の武器ではないでしょうか?
今回はそんな『King of Rescue』こと、三連はしご(注1、注2)について解説します。
三連はしごと聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?高所への進入ですか?低所への進入ですか?それとも梯子救出操法ですか?どれも正解です。他にも正解はたくさんあると思います。今回は基本的な三連はしごの使い方と合わせて、私の所属で実践している方法も紹介させて頂きたいと思います。

注1
今回使用する三連はしご(チタン製)(写真1,図1)

写真1
三連はしご

図1


三連はしご各部の名称

共上げ・裏引き式
重量約30kg
全伸梯約8.7m
全縮梯約3.5m

私の所属ではチタン製のものを使用していますが、この他にも鋼管製やステンレス製のものもあります。諸元性能は各所属で使用しているものを確認してください。

注2

今回用いる用語。

「てい」とは「梯(てい。はしごの意味)」のことです。


起(き)てい・・・はしごを起こすこと


伸(しん)てい・・・はしごを伸ばすこと


縮(しゅく)てい・・・はしごを縮めること


架(か)てい・・・はしごを架けること


伏(ふく)てい・・・はしごを伏せること


登(とう)てい・・・はしごを登ること
降(こう)てい・・・はしごを降りること

2. 取扱い方法(基本編)

(1)搬送

写真2

基底部側から搬送します

基底部側から搬送します(写真2)。基底部から搬送する事によって、狭い路地等反転ができない場所でもそのまま架ていすることができます。また、石突(ゴム足)によって簡単な破壊をする事ができ、万一障害物があり急停止した場合でも2、3連目の飛び出しを防止することができます。(私の所属では長距離搬送の場合のみ肩に担いで搬送しています。また、搬送途上の引っ掛かりを防止するため、引き綱を隊員側に向けて搬送しています。)

(2)起てい

写真3

傾斜や凹凸のない平らな場所を選択します

基底部は、はしごの転倒を防止するために傾斜や凹凸のない平らな場所を選択してください(写真3)(?現場状況により安定していない場所で使用する場合は敷板やホースブリッジを使用することによって安定が得られる場合もあります)。

写真4

確保者は足でしっかりと基底部を押さえます

確保者は足でしっかりと基底部を押さえてください(写真4)(?私の住む北海道では冬期間地面が凍結しており一見安定しているよう見えて実はツルツル・・・といった事が多々あります。

写真5

ツメ付敷板の表(はしご側)

写真6
ツメ付敷板の地面側。木ネジはスパイクの代わりです

そんな時はツメ付の敷板(写真5,6)で対応しています。ちなみに、この敷板はベニヤ板と垂木を組み合わせて職員が手作りしたもので、木ネジをスパイク代わりに用いています)。

(3)伸てい

写真7
伸ていでは上方に障害物がないか確認

上方に障害物がないか確認をしてから伸ていします(写真7)。左右にある掛金を確実にかけて引き綱も確実に結着し、引き綱結着の際は、はしごの不意な落下を防止するために引き綱は張った状態を維持します。

写真8
センサー

最近では、掛金がかかった事をセンサー(写真8)で知らせてくれる機種もありますが、必ず隊員の『目』でも確認するようにしましょう。

(4)架てい(写真9)

写真9

架てい角度はおおむね75。

架てい角度はおおむね75。とします(写真9)。
開口部から進入する場合、はしごの横ズレを防止するために、はしごの先端を建物内にいれて、左右どちらかに寄せます。また、可能であればはしごの上部をロープ等で結着します。

写真10

破壊を要する場合は開口部直近の壁体に架ていします

火災現場等開口部の破壊を要する場合は開口部直近の壁体に架ていします(写真10)。

写真11

確保者は登てい者の操作が完了するまで上方を向いてはいけません

危害防止のため、破壊作業時、登てい者は確保者の位置に留意し、確保者は登てい者の操作が完了するまで上方を向いてはいけません(写真11)。

写真12

登てい、降てい時は『三点支持』が原則

登てい、降てい時は『三点支持』が原則です(写真12)。

(5)縮てい

写真13

引き綱操作者と確保者間の意思疎通をはかります

引き綱を解く際も伸てい時同様、はしごの不意な落下を防止するために、引き綱は張った状態を維持します。特に伸てい時・縮てい時は、はしご転倒のリスクが高まることから引き綱操作者と確保者間の意思疎通をはかり、スムーズな操作を習得することが必要です

(6)伏てい

写真14

障害物がないか確認

はしごの伏てい動線上に障害物が無いか確認(写真14)をしてから伏ていします。

3. 取扱い方法(応用編)


今回は、私の所属で行っているものをひとつご紹介させていただきます。

(1)スロープ救出

スロープ救出

主に、側溝や防波堤、平屋建て住宅など2~3m程度の高所や低所からの救出に用いています(写真15)。バスケットストレッチャーの横ずれを防止するために、確保者と梯上救助者のしっかりとした連携が必要です。



4. おわりに

資器材操作習熟への近道はありません。見て、聞いて、触れた量が技術に比例していきます。諸元性能の把握はもちろんのこと、音や動き、指先の感覚など『自分が感じること』の全てを武器にしていきましょう。
すべては消防を信じ待っている要救助者のために・・・

次回は「気管挿管と枕」です

13.4.7/9:44 PM

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