月刊消防 2024/05/01, p82
月刊消防「VOICE」
「人をもって城と成す」薩摩の歴史より学ぶ
吉永 雄栄 ヨシナガタケヒロ
吉永 雄栄 ヨシナガタケヒロ
「人をもって城と成す」薩摩の歴史より学ぶ
私が紹介したい薩摩の歴史から二つの言葉があります。
私が紹介したい薩摩の歴史から二つの言葉があります。
まず一つ目に,
『郷中(ごじゅう)教育』
武家の男子により、先輩が後輩を指導する教育システムが徹底して行われていました。幼いうちから責任を持たせ教育を行い、年上の自覚を持たせるとともに、仲間意識を強固にし、組織の団結を図るというシステムです。
つぎに
『城をもって城とせず 人をもって城と成す』
この言葉は江戸時代に薩摩藩独自のと 外城(とじょう)制度(一国一城令に対し、藩主が住む城のほか、それぞれの地域に城をおき、地方行政を管理する仕組み)として語り継がれたものです。
それぞれの地域で、それぞれの責任のもと互いに切磋琢磨し、藩全体の統治のため組織づくりを行っていました。
この二つのキーワードを結び付け我々、消防組織の教訓とすることができないか。
「郷中教育」に関しては、当たり前のような事柄に感じますが、はたして現代で効果的に機能しているのでしょうか。さまざまな種類のハラスメントが指摘されるなか、上司より部下に気を遣わねばならなくなっているのが本音ではないでしょうか。この教育システムを徹底し見習い、年上の者は自身を律し、職務に関する知識・技術、さらに人となりを教え育まなければならないと考えます。
二つ目のキーワード「人をもって城と成す」これまでに経験のないコロナウイルスが出現し、生活様式が一変。24時間、現場はもちろん、寝食を共にする消防の職場環境へも影響をもたらしました。今でこそ疎遠になりつつある造語ですが、三密(密閉・密集・密接)や黙食、ソーシャルディスタンスで密接な接触を減少させるなど、職員同士のコミュニケーションをとる機会が減少し、人と人との繋がりが希薄となり、職場環境が好転しているとは言い難い状況となりました。希薄な人間関係のなか、密接な連携が必要となる現場で効率よく迅速に活動ができるとは到底思えません。
また近年、便利な社会となり、スマートフォンで検索すればほとんどの情報・知識を得ることが出来ます。現代人はこの影響で、諸課題を発見し解決する力が低下しているといわれています。
人と人とが意見や考えを共有・交換・すり合わせを緻密に行うことが解決策となるのではないでしょうか。「人をもって城と成す」とあるように、組織として成り立つ職種ゆえに、各個人が研鑽し組織統制のため、この言葉を肝に銘じなければならないと考えます。
以上のことから、『郷中教育』を人間形成の礎に『人をもって城と成す』結束・団結力のある組織づくりに努め城(組織)と成さなければなりません。
我々が遂行する消防業務は多種多様な知識・技術が必要です。その中で、人間関係を強固にし、業務内容の改善に努め、各種災害に立ち向かわなければなりません。紹介した二つの言葉を教訓に全国各地、同じ志しで消防業務に励む仲間たちと共に職務を全うできればと思います。
P.S 文章作成にあたり、鹿児島に関するさまざまな勉強をすることが出来たことに感謝し、鹿児島に生まれたことを誇りに思います。ありがとうございました。
最後に、鹿児島雑学をもうひとつ、「日の丸」の国旗と「君が代」の国歌は鹿児島産ということをご存知でしたか?(私は知りませんでした)

名前:吉永 雄栄 ヨシナガタケヒロ
所属:鹿児島県
指宿南九州消防組合 南九州消防署
出身地:鹿児島県 南九州市
消防士拝命:平成19年4月1日
救命士合格年:平成17年
趣味:朝活(読書,筋トレ,ジョギング)
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