月刊消防 2021/07/01, p49
月刊消防「VOICE」
根拠を意識する
菅原 康一(すがわら こういち)
小山市消防本部小山市消防署 消防・救急業務推進係
出身地 宮城県黒川郡大和町
消防士拝命 平成3年4月
救命士拝命 平成17年5月
趣味 サッカー観戦(主に栃木SC)
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私は、令和3年3月末で勤続30年となりました。過去を振り返ると警防、救助業務に携わり、救急救命士資格を取得、平成23年4月から2年間消防庁へ委託研修生として派遣され、現在は消防署で警防課的に消防及び救急業務に関する事務を担当しています。
今の私の揺るぎない仕事に対する考え方は、「根拠を意識した仕事をする。」ということです。
長い現場経験の中で培った経験則や慣例、前例踏襲という公務員気質とも言える変化を求めない仕事を「良し」としていたときもありました。過去の報告書を見て、事案に合わせた一部修正を行うことで報告書を完成させることもありましたが、結果としてそもそもの記載要領に目を通していない状況でした。また、当時は、現場活動が主であったため、正直、法令などの根拠はあまり意識していませんでした。
しかし、消防庁へ委託研修生として派遣されたとき、20年という現場経験で得た知識や感覚は業務遂行の補足的要素にしかすぎず、自らが行っている業務、特に現場活動の根拠を明確にしておくことができなければ、真に消防業務を遂行することできないことを思い知らされました。当然、消防は現場活動があるのだから、どのようにすれば安全かつ確実に、そして迅速に、効率良く活動できるかを考えることが必要不可欠ですが、一方で今、活動を行っている根拠はなにかを常に意識する必要があるのです。そもそも良かれと思って活動していたことが根拠もなく、ややもすると法令やプロトコルから逸脱する行為などということになれば、本末転倒の話となってしまいます。
根拠ということで言えば、法令もそうですが、活動記録に基づく様々な統計データもひとつの根拠と言えます。私が消防庁で担当していた救急救助の現況や消防白書といった統計データは、単に数を示すだけのものではなく、様々な施策を考え、実行するための根拠になるものだということを知りました。
「だと思う。」「きっとそうだ。」という主観は、真に仕事を進める上では全く説得力がなく、無力です。
まず自らが業務として行う根拠はなにか。業務には、消防法令、市例規、消防本部の内規、救急活動プロトコルなど必ず根拠があるはずです。もう一度、原点に立ち返って根拠を意識した仕事をしていただければと思います。また、様々な施策を行う場合にも、統計データなどと照らし合わせ、根拠を意識しぶれずに施策を行うことが非常に大切だと思います。
これからも根拠を明確に揺るぎない業務を全うすることで、全ての住民が安寧に日々暮らせるよう微力ながら一消防人として日々精進したいと思います。
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