先日の事務室で救急隊長の一言。「今日の救急事案、うっ血があったのに、静脈路確保しなかった。病院収容したら看護師はすぐに静脈路確保取ったけど。看護師は毎日静脈路確保をしているから、看護師には勝てない。救急救命士で静脈路確保ミスするのは仕方ない。」その話を聞いて、救急隊長に発言して雰囲気が悪くなるといけないから、心の中でつぶやいた。「なぜ、積極的に静脈路確保を実施しないのか。」と。
昼休み。救急隊長の話を聞いていた後輩救急救命士が相談してきた。「救急隊長のモチベーションで人の命が救えるのか。私たち救急隊は、最善の処置をして搬送すべきではないか。」私は「プロトコールに従って、積極的に静脈路確保を実施すべきだよ」と答えた。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授は、「嫌な上司がいたら愚痴も言いつつ、前向きに対応策を考えるとか、いい部分も探してみるとかしたほうが幸せ感は上がる。要はバランスです。ストレスがないと成長しない。変化していく爽快感や、刺激を受け成長することは幸せ因子の一つ。悪いストレスに至らない範囲でよいストレスをかけるのが大事です。」と言っている。
後日、救急隊長(上司)に意見することで救急隊長との人間関係が悪化し、仕事が円滑に進めていけなくなるのではないかと思ったが、勇気を出して、病院研修への取組み方、低血糖事案のことなど話してみた。威圧的・感情的な上司であったが、腹を割って話せたことで、前向きに静脈路確保にトライすべきであったと言ってくれた。
消防士にとって、肉体的にも精神的にも辛い現場は多々あるが、最もストレスとなっているのは人間関係であると私は感じている。人間関係が良い隊・職場なら、仕事が大変でもこれが当たり前と割り切ることができる。人間関係が壊れた隊での24時間、キリキリとした雰囲気は、どんな災害現場のストレスよりも大きくなる。今現在は、上司とのコミュニケーションを取り話したことで良好な人間関係となっている。
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