120414スキーブーツの脱がせ方

 
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120414スキーブーツの脱がせ方

 

 

講師

氏   名:石田 英俊

(いしだ ひでとし)

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所   属:富良野広域連合富良野消防署 山部(やまべ)出張所消防救急係

 

出 身 地:富良野市

 

消防士拝命:平成8年4月1日

 

趣   味:水泳、スキー、バスケットボール、映画鑑賞

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写真4

ブーツ離脱の目的は、骨折した下肢において動揺の防止、動揺による二次損傷の防止、及び痛みの軽減である。必要な初期観察及び全身観察を実施し、ブーツ離脱のタイミングを判断する。

 

※現場及び搬送途上で必ず離脱しなければならないスキルではない(後述のポイント参照)いたずらに現場滞在時間を延ばさないよう注意する。

・最も出回っているフロントバックルタイプのブーツで説明する。

 

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1.先ずバックル・ベルクロを全て開放する。

 

※開放の際は固く締められていることが多いので反動による動揺に注意する。

※フックは反転しておくと後のシェル開放時に引っかからない。(ブーツによってはできないものもある)

※普段、どのように脱着しているか・ブーツのタイプなどを事前に聴取し、より効果的な離脱方法を考える。

 

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2.副木をひざ下に当て、つま先側の先端をインナーに可能な限り挿入し、三角巾で固定する。 インナー部分は三角巾をシェルとインナーの間に滑り込ませ、インナーごと縛り付ける。

 

※インナーごと縛り付けることで足首やつま先まである程度の固定を行う事ができる。

※最近のトップレーシングモデルなどでは、インナーが編み上げ靴のように紐で縛り付け、強力にフィットしている場合がある。このような場合、副木の挿入は難しいので留意すること。

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3.しっかりと固定することで、ブーツ離脱時の動揺を最小限にする。

 

※無理に整復をすると神経・血管損傷など二次的損傷を与えてしまうので留意し、場合によりそのままの形で固定を実施する。

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4.補助者1名が下腿部をしっかりと保持した後、離脱実施者は傷病者に正対しブーツのアッパーシェル(足首~脛を覆う部分)バックル部シェルが折り重なっている箇所を両手で展開、内部のインナーが露出するまで左右に可能な限り展開する。

※シェルは硬質プラスチック製なため展開にはかなりの力を要する。現場は寒冷であるため、さらに硬いことが予想される。

※怪我防止のため皮手袋を使用するのが望ましい

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5.さらにそのまま手を足首付近までスライドさせ、同様の要領(上記3を参照)でロアシェル(つま先~踵を覆う部分)を展開する。

 

※ブーツの構造によっては、3と4の手技が逆になる場合も考慮する。

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6.離脱実施者が中心となり、3及び4の展開を維持しながら補助者と協力してインナーの踵部を浮かすようにブーツをロールする。

 

※傷病者の下腿部を保持している補助者は離脱手技中、常に踵が動揺しないよう留意し観察をする。

 

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7.インナー踵部がシェルから離脱したのを確認した後、シェルを上方に引き上げ完全に離脱する。

 

※離脱中、シェルがインナーにぶつからないよう注意する。

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8.完全にシェルを離脱した後は、インナーの離脱を行う。2でインナーごと縛り付けた部分の三角巾を解いてからインナーを離脱する。

 

※前述のとおり、最近のトップレーシングモデルなどでは、インナーが編み上げ靴のように紐で縛り付け、強力にフィットしているタイプがあるので留意する。

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9.インナーは合成樹脂による発砲フォーム素材のため弾力性があり柔らかく離脱は容易であるが、傷病者の下腿が動揺しないよう注意する。
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10.離脱後は速やかに再固定を実施し安定化を図る。場合によっては、副木を交換し長さを合わせる、より安定した固定具を使用するなどを考慮する。

 

 

○ブーツ離脱のポイント及びタイミングについて

・ABCのアプローチに従うこと。(高エネルギー事故と判断したならば、JPTECのプロトコールに従うこと。)派手な外傷に気を取られない!

・活動性の出血が伴う場合、止血する際にブーツが障害になるようなら速やかに脱がせる。

・ゴールデンアワーを無駄に浪費しない。生命に危険が及んでいる場合、ブーツ離脱及び四肢の固定は搬送途上の車内で、または院内搬入後医療スタッフの協力のもと行う。四肢よりも生命が重要である。

・受傷機転を重要視する。これにより骨折や合併症の予測が可能となり、重症度の手掛かりとなる。

・スキーパトロール員により適切に止血・固定が行われている場合、処置を行った時間を聴取、止血時間を考慮する。また骨折による固定に対しても必要な観察を実施する。

・下肢に骨折が疑われる場合、固定が適切でないとブーツの重みや搬送に伴う揺れなどにより大きく動揺し強い痛みを与え、さらには筋肉・神経・血管に損傷を与えてしまう可能性がある。

・傷病者が安定した状態であれば、搬送前にブーツを離脱し固定する。

・骨折部の屈曲が強く脈拍が触知できない場合、予後に機能障害が残る可能性があるため整復を試みるが、抵抗があれば屈曲したままの状態で搬送する。

・低温環境下であることを念頭に、傷病者の低体温症にも留意した活動を実施すること。

・スキーパトロールはスキー事故に特化したノウハウを持っているため、積極的に協力や助言を求めるのも一つである。また、ブーツの分解・破壊器具を詰め所に置いている場合もあるので、様々な事態を想定した上で活動する。

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