190310応急処置アップデート(10)虫刺されとダニ

 
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基本手技

雑誌 健康教室 2019年1月号

応急処置アップデート

虫刺されとダニ

目次

ポイント

1.予防が大切
2.全身症状が強いときは病院へ

今回は虫刺されとダニです。徳島県の養護の先生の大会で講演した際、役員の先生方から「ゲジゲジに咬まれたときはどうすべきか」と質問されました。聞くと10cmにもなるムカデだそうで、北海道にはそんな大きなものはいません。今回の原稿は私が経験したものを元にしていますので、北海道の札幌以北に生息しているものが対象になります。ケムシも南に行けば皮膚炎を起こすものがいるようですがこれも治療経験はありません。

1.蚊

家の中ではアカイエカが、草むらではヒトスジシマカが代表的です(が北海道にはヒトスジシマカはいないので見たことない)。蚊は刺した後に吸血しやすいように口針から唾液と消化酵素を皮膚に注入します。この注入した物質に対するアレルギー反応によって腫れと痒みが起きます。アレルギーは即時型反応と遅延型反応の両方が関与していて、前者は刺された直後に見られる皮膚の盛り上がりと発赤、後者は長期間続く皮膚の発赤に関与しています。
アレルギー反応ですので刺されたときの反応は人によって大きく異なります。また脱感作もおきます。私の場合、その年で初めて刺された場合は大きく長時間腫れますが、秋になると腫れもその期間も減少します。以前に沖縄に行ったときに浜で売り子をしている方に聞いたところ、蚊に刺されてもちょっと痒いだけですぐ治まるし、腫れもしないと聞いて大変驚きました。
治療は軽度であれば市販の抗ヒスタミン薬の塗布を、赤みや痒みが強い場合はステロイド入りの軟膏を塗布します。刺された場所以外にも赤いところができたり痒みが広範囲の場合にはステロイドの内服も必要になってきますので病院を受診します。
ポイズンリムーバーが市販されています。私は使ったことはないのですが、使った人によると痒みも腫れも軽く済むとのことです。刺されてから時間が経った後ではアレルギー反応が進行してしまい効果はありませんが、刺された直後なら効果が期待できます。

2.アブとブヨ

ハエと間違えるような形をした昆虫で、アブは体が蜂で顔がハエ、ブヨはハエの半分以下の大きさの虫です。分類では、アブはハエに近く、ブヨは蚊に近いことになっています。
アブもブヨも川の周辺で生活しているため、キャンプや野外活動で咬まれます。アブの場合は家畜の血も吸いますので牧場も危険です。これらは蚊と異なり皮膚を噛み切って吸血するため激痛があります。吸血の際には蚊と同じく唾液と酵素を注入します。この注入物に対するアレルギー反応は遅延型が主なため、咬まれた翌日から2週間、ひどければ1ヶ月以上腫れと痒みが続きます。
咬まれたときに激痛があること、症状が長く続くことから、ポイズンリムーバーの良い適応となります。ポイズンリムーバーで素早く傷口の毒素を吸い取り、ステロイド入りの軟膏を塗布します。
予防として、肌の露出を避ける、虫除けのスプレーを使う(ブヨ専用のスプレー市販されている。ハッカ油も有効)、黒い服は避け白い服を着ることが勧められます。香水や柔軟剤の匂いにも虫が引き寄せられますので、着るものやお化粧には注意しましょう。

3.ダニ

教科書には家ダニに咬まれることが多いと書かれていますが、家ダニに咬まれた患者を治療した経験はありません。よく経験するのが野良仕事や山菜採りで山に入ったときにマダニに食われる患者です。体の柔らかい部分(脇の下や腹)もしくは頭部に頭部を埋めてせっせと血を吸い腹部を血液で満たしていきます。原っぱを散歩してきた犬や野良猫の耳にマダニがぶら下がっていることもあります。ダニに咬まれても痛みは感じず、患者の多くは数時間後に痒みを覚えるか、皮膚にぶら下がっているダニを発見して噛まれたことを知ります。そのまま放っておくと血液を吸えるだけ吸って離脱しますが、ダニはライム病やツツガムシ病、重症熱性血小板減少症候群といった重大な感染症を媒介し、感染リスクは咬まれ続けた時間に比例しますので、見つけ次第ただちに除去します。
ダニの頭を細いピンセットでつまみ、回転させつつ引っ張ります。傷口を観察し、頭部の遺残がなければ洗浄し場合によっては消毒し傷口を被覆します。頭部が残っている場合は病院で皮膚を切開して頭部を取り除きます。

ダニをワセリンで覆い、30分後にピンセットで取れば簡単確実に除去できることを、兵庫医科大学皮膚科の夏秋優先生が紹介しています。ワセリンは皮膚を柔らかくするために用いているようで、ワセリンがなければバターやマーガリンをたっぷり塗ってラップで閉鎖すれば同等の効果が得られるようです(図)。

4.ハチ

 

スズメバチが8割、残りがアシナガバチやミツバチなどです。アシナガバチはスズメバチに似ていますが、体が細く足が長いのが特徴です。スズメバチは営巣活動が活発となる8月から9月にかけて巣を守るために積極的に外敵を刺しに向かいます。アシナガバチはスズメバチに比べ攻撃性は弱く巣にいたずらしない限り刺されることはありません。ミツバチもヒトが積極的に巣を荒らさない限り刺しに来ることはありません。
蜂に刺された場合も他の虫に刺された場合と同じで、ポイズンリムーバーで毒を吸い出し、患部を洗浄し、ステロイド軟膏を塗ります。ミツバチの場合は皮膚に針が残っていることがあります。針をつまむと針内の毒素を注入してしまうので、針は指先ではじいて抜去し、その後ポイズンリムーバーを使います。アシナガバチやスズメバチは針は残りません。傷の処置をし、全身症状があるようなら病院へ行きます。ハチによるアナフィラキシーショックに付いては後日解説します。

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