220327応急処置アップデート the movie (19)擦り傷

 
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基本手技

2022      雑誌 健康教室 2021年10月号 p52-3

応急処置アップデート the movie

#19

擦り傷

擦り傷

今回は擦り傷です。応急処置の分野でこの10年間で最も変化した分野です。基本はよく洗って被覆することです。

 

目次

動画解説

 

https://www.higashiyama.co.jp/movie/2110/

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001

擦りむいたところをよく洗います。水道水が最適です。異物がついていれば洗い流します。

 

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002

消毒は不要です。

 

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傷絆創膏で被覆します。あとで述べる湿潤療法では傷を密閉できる保護剤を用います。

 

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004

病院へ行く基準は広さと場所です。顔(美容上の問題)と陰部(機能障害の危険)では病院受診を考慮します。また市販の傷絆創膏で覆えない広さの擦り傷も病院受診を考えましょう

 

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005

洗った傷口をよく観察してください。小石や泥などが取れない場合は、感染や外傷性刺青のリスクがありますのでこれも病院受診となります。

 

アップデート

 

擦り傷はがっちり水で洗って被覆する。消毒薬は使わない。今では当たり前になったこの方法が形成外科医の夏井睦先生によって紹介されだしてからまだ20年しか経っていません。私の小さい頃は水銀化合物である赤チンを傷に塗っていました。オキシドールやヨードチンキ、その後に出たマキロンに比べて傷に全く染みることがありませんでした。ですが赤チンを塗っていてもよく化膿していたので、今考えると大した効果はなかったような気がします。

1.湿潤療法

この連載でも何度か取り上げています。詳しくは健康教室 2018年●月号「応急処置アップデート「湿潤療法」」をご覧ください。旭川近郊のH先生によれば、「ご家庭では、傷パワーパッドの使用も増えてきました。学校では高価なので購入していません。「学校は貧乏だから高価ないいのは買えないの(←H先生の学校は貧乏で買えないのですが、備品として置いている学校も結構多くなってきました)。水洗いしといたから、続きは家で張り替えてもらってね」と伝えますよ。時折、汁がもれた~と来室があるので、ケースbyケースで上に軽く包帯を巻いたり、普通の大判絆創膏に張り替えることもあります。」

2.被覆材

湿潤療法は原理から言えば傷にラップフィルムやセロハンテープを巻いて放置すれば目的は達成されます。ですがこれでは売り物にならないので、市販品は色々な工夫がされています(zu_001)。

 

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最も売れているジョンソンエンドジョンソンのキズパワーパッド(TM)はふわふわしています。これは紙おむつにも入っている吸水材が埋め込まれているためで、貼っていると傷口からの滲出液を吸収してパッドが厚くなります。外科手術などの術後は、セロハンテープの大きいもの、もしくはキスパワーパッド(TM)に似た大きいものを創面に貼って、感染兆候がない限りはそのまま数日まで放置します。以前は毎日消毒とガーゼ交換をしていましたから楽になりました。

3.皮膚潰瘍の治療

皮膚潰瘍の一種である褥瘡(とこずれ)は治療に難渋します。褥瘡は寝たきりの人が起こすと思われがちですが、どんな人でも30分動かずに寝ていれば発生する可能性があります。また糖尿病患者では難治性の皮膚潰瘍を起こします。

皮膚潰瘍は、浅いものと深いものに分けられ、それぞれで治療法が異なります。浅い潰瘍は熱傷の1度から2度に相当するもので、皮膚が赤くなるものから水泡ができて破れる状態までを含みます。この場合、透明なフイルムやキズパワーパッド(TM)のようなウレタン材で傷を覆います。皮膚の再生を促すために軟膏を塗ってから被覆材を用いることもあります。

深い潰瘍では、脂肪組織が見えるのはまだ良い方で、骨が見えることも多くあり、治療に難渋します。壊死組織を除去し感染をコントロールして組織の再生を待つのですが、滲出液が治療の障害となります。それも、液が多いと創面がふやけてしまい、少ないと乾燥してしまいます。そのため褥瘡にある程度圧力をかけて水が滲み出るのを防いだり、陰圧をかけて水を積極的に抜くことが行われます(zu_002)。治療に抵抗する褥瘡には体の別のところから皮膚を取ってきて植えたり、筋肉付きの皮膚組織を持ってきて褥瘡に充填する方法も取られます。      

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原口良介(はらぐちりょうすけ)

原口良介(はらぐちりょうすけ)

 

監督

原口良介(はらぐちりょうすけ)

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唐津市消防本部消防署救急第一係

消防士長

消防士拝命:平成21年4月

救命士運用:令和元年7月

趣味:カメラ、動画編集

 

玉川進(たまかわすすむ)

医学監修・解説

玉川進(たまかわすすむ)

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旭川医療センター病理診断科

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