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HTMLにまとめて下さいました粥川正彦氏に感謝いたします
目次
私たちの研究
留萌市における救急搬送傷病別統計
留萌消防組合消防本部:菊池智人
旭川医科大学第一病理学講座:玉川進
著者連絡先:〒077−0021北海道留萌市高砂町3−6−11
はじめに
留萌市の救急体制と救急搬送における傷病別の統計を平成8、9、10年の過去3年間分を集計し報告する。救急体制は都市部における専従化、他市町村による消防隊との兼務と様々である。また、救急活動統計においても他市町村同様に担当医師による診断後の傷病内容照会により救急活動統計並びに国表統計として集計し活用しているが、それらは重症度や時間的なデータが多く実際の活動にフイードバックさせるには情報が不足するきらいがあった。今回報告する統計においては、救急活動訓練及び学習プログラムをより効果的に行うために傷病名を統計処理し、留萌市での救急業務の特徴や代表的傷病に目を向けたものとした。統計の対象と方法北海道留萌市 人口29,800人:面積 297.3km2
留萌消防署管轄において発生した救急活動報告書をもとに集計した。救急体制については平成10年のもの、救急搬送傷病別統計では平成8、9、10年分を用いた。
救急体制 北海道留萌消防組合消防署は消防職員52名からなり、救急隊1隊2車両、うち高規格救急車1台を有する。第一次出動隊は救急指令係11名(救急救命士8名、II課程修了者3名)、第二次出動は消防隊より当務隊長の指示によりII課程修了者を対象に編成し3名にて出動する。主体となる救急指令係11名は隔日勤務5、6名2交代制で消防隊と兼務の形式をとっている。
平成10年における救急救命士の乗車率は3名乗車が17.9%、2名乗車が44.5%、1名乗車が31.5%、乗車なしが6.0%となっている。このうち乗車のないものについては、同時間帯に発生したことによる2次出動や交通事故などにより多数の傷病者が発生し、2車両での同時出動である。この他に救急隊員4名での出動が平成10年には19回を数える。4名による出動の対象となるものは、119番通報の初期段階において意識がない場合あるいはCPAと判断できた場合、又は、3階以上の建物でエレベーターがないことが確認された場合は当務隊長の指示により4名出動の対象となる。ほかに救急救助出動時において現場の救助隊より支援を受け4名にて病院搬送した場合も含まれている。
救急搬送傷病別統計表1拡大
3年間(平成8〜10年)救急搬送傷病別統 計では救急件数1,701件、1,698名、1,985傷病名 (但し1名で複数傷病あり)であった。傷病名 で最も多いものは、頭部打撲90名、不明86名、脳梗塞82名となった(表1)。
内科系と外科系 の対比は内科系が58.5%、外科系41.5%となっ た(図1)。内科系における系統別では、脳神 経23.0%と最も多く、次いで消化器17.6%とな った(図2)。外科において上位を占めたもの は、打撲及び捻挫47.3%、骨折20.7%、創傷 19.3%という結果となった(図3)。
考察 留萌市における救急体制は救急業務に従事する隊員を少数化することにより専従化に近づけた形式をとっている。専従化に近づけることは、救急隊員が限定されることにより救急活動に洗練された技術及び学力の向上が見込まれる。
今回の傷病別統計において、各年における搬送数の多い傷病はほぼ同様に推移しており、例えば、神経内科に分類される脳梗塞は各年において上位を占め、3年間に82名の搬送を数えた。上位を予想していた脳出血、くも膜下出血をはるかに上回った。小児搬送においては、その大半が熱性痙攣であったし、内科系において性差の出たものは女性による過換気症候群が多く上位を占めるものであった。また、外科系では頚部打撲及び捻挫、頭部打撲、胸部打撲という傷病で大半を占めた結果より交通事故による機転がうかがえ、これらは覚知から病院到着まで高度かつ総合的な技術を必要とするものである。救急隊員は、いかなるケースにおいても、より迅速かつ的確な救急活動が必要である。この救急搬送傷病別統計を継続させ救急搬送率の高いものに目を向けた救急活動訓練及び学習プログラム策定に役立てていきたい。
今回の統計結果を他の報告1)と比較してみると脳血管障害の占める割合が高く、呼吸器、消化器疾患が低いことが分かる。この理由として、他の報告1)は大都市での結果であり、留萌市はこれらに比較して高齢者の割合が高いことが挙げられる。また、留萌市は海岸に面しており海産物の生産地であることから、住民の塩分摂取量、ひいては高血圧患者の割合が高いためかもしれない。
結論 留萌市における救急体制と救急発生の構造及び特徴を報告した。3年間の統計からは以下のことが分かった。
1 脳梗塞が内科系傷病のトップを占めており、頭部打撲、脳血管障害を含めると23%になる。これは住民の高齢化によるものである。
2 外科系傷病では交通事故による機転が多い。
3 小児では熱性痙攣、女性では過換気症候群が多く、患者家族との対応、接遇に配慮を有する。
【文献】
1)永井崇之,田村義孝,川村美和,他:当院時間外一時救急患者の現状と分析.大阪府病医誌1996;19(1):62−66.
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06.10.28/6:02 PM
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