191117応急処置アップデート(20)止血

 
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基本手技

健康教室2019年11月号p50-1

応急処置アップデート

20 止血

目次

ポイント

  1. (1)10分以上押さえる
  2. (2)感染に注意

今回は止血です。私が医者になる前から止血の方法は3つあり、今も変わっていません。(1)直接圧迫止血(2)止血点圧迫法(3)緊縛帯です。

1.血が止まる仕組み

2つの段階を経て血が止まります。

(1)一次止血(図1)

穴が空いた部分にとりあえずの蓋をする仕組みです。

血管が敗れると、血管が収縮し、それに伴って傷口が小さくなります。血小板が傷口に集まって積み重なり、傷口に蓋をします。地面にあいた穴を「多数の木片」で塞ぐようなものです。

(2)二次止血(図2)

穴に置いた「木片」をしっかり固める仕組みです。

血中にある凝固因子が傷ついた血管に触れることで活性化し、活性化した凝固因子がまた次の凝固因子を活性化させることで最終的にはフィブリン(線維素)の網が一次止血で出来上がった「多数の木の枝」を包み込んで血栓が完成します。

有名な血友病は凝固因子の一部の量が足りないために血が止まらなくなる病気です。

2.止血法

原則は直接圧迫法です。ずっと圧迫し続ければ9割以上は止血に成功します。例外は大きな動脈が露出した場合だけです。この場合も動脈を押さえ続けたまま救急隊に引き渡しましょう。緊縛法は血液が噴き出している状態で圧迫止血の効果が薄い時に行います。

(1)圧迫止血法(図3)


 

清潔なガーゼなどで血の出ている部分を直接圧迫します。可能ならどこから血が出ているのか確認し、その出血源だけを押さえるようにしましょう。

ガーゼなどが血でベチャベチャになった時は、「ガーゼを替える」とするものと「そのまま押さえ続ける」という二つの方法が紹介されています。私は「ガーゼを替える」派で、ベチャベチャになるのは出血源をちゃんと押さえていないためと考え、替える時に出血源をきちんと確認しています。「そのまま」派は、ガーゼ交換によってせっかくできた蓋がガーゼとともに剥ぎ取られることを懸念しています。

出血が止まってきても、処置が可能となるまではそのまま押さえ続けましょう。手足の場合はガーゼの上から弾力包帯を巻きつけます。

(2)止血点圧迫法(図4)

教科書に必ず載っていますが、私は一度も試したことはありません。周りの医者や救急隊員に聞いてもやったことはないそうです。

こんな離れた場所を押さえるくらいなら出血源を押さえましょう。

(3)緊縛法

東京オリンピックを控えて消防で盛り上がっている方法です。テロで爆発物で手足が吹き飛ばされた時に手足を紐で締め上げるものです。

タオルやネクタイを手足の断端から5-8cm離れたところに巻き、棒でを捻り上げ、血が止まった場所で棒を固定します。固定したらその時間を記録します(図5)。1本では血が止まらない場合は上流にもう1本加え、2本で締めます。タオルはだんだん緩んで血が出てきますので、棒を回してさらに締め上げます。一旦締め始めたら病院で医者がタオルを解くまで締め上げ続けます以前は定期的に緩めるとされていましたが今は締め続けることになりました。

3.注意点

(1)感染防御

血液を通じて感染する感染症がいくつもあります。相手の血液に直接触れないように手袋やビニール袋を用います(図6)。

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(2)繰り返す出血は病院へ

大してぶつけてもいないのに出血したり青タンを作ったりするのは、重大な病気が隠れている場合があります。血友病が夢いですが、紫斑病なども青少年に多い病気です。鼻血でも患部に薬を塗布することで改善します。

 

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