手技86:ベテラン救急隊員が伝承したい経験と知識(1)救急業務の歴史と救急隊員の役割

 
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手技86:救急隊員を目指す初任科生へ

ベテラン救急隊員が伝承したい経験と知識(1)救急業務の歴史と救急隊員の役割

今月の先輩

石川信行(いしかわ のぶゆき)

北海道空知郡南富良野町出身

富良野地区消防組合富良野消防署南富良野支署

昭和49年消防士拝命

趣味:登山・写真撮影


「救急隊員を目指す初任科生へ〜ベテラン救急隊員が伝承したい経験と知識」

シリーズ構成

亀山洋児(猿払)


はじめに
(図1)8名の定年退職者が見込まれている南富良野支署の全景写真  『救急隊はチームです。全てのことが分からなくても、チームの一員として役割分担を理解できれば良いのです。知識の多くは消防学校の教育や教科書から習います。また、JPTEC(1)やMC(2)プロトコール(3)などで外傷や内因性(4)傷病者については標準化されプログラム化されています』 しかし、これは理想であり現実は違います。標準化はごく最近の話であり現状では完全に整備されたわけではありません。マニュアルがあったとしても、現場で経験して得たものに勝るものはありません。

団塊世代(5)の定年退職期を迎え、その経験と技術をいかに引き継ぐかが大きな社会問題になっています。消防では昭和49年常備消防化に伴い、前職を持ちながら消防職員として採用された職員が多数おり、それらが一斉に退職するのです。我が所属においても今後5年の間に私を含めて8名の定年退職者が見込まれています(図1)。所属では救急出動体制の充実を図るために救急救命士(6)の有資格者採用で欠員を補う計画を立てていますが、現在の体制下で教育・研修期間をクリアして行くことは人員的にも財政的にも非常に厳しいのが実情です。もちろん消防隊・救急隊兼務ですから消防職員として採用になれば一早く現場で活躍されることが期待されます。私たちが経験してきた知識と技術を伝承することは、現在の体制下での不足を補うことに繋がると思われます。

この項では救急業務の理想と現実を、私の経験を加えつつ説明していきます。

救急業務の始まり
(図2)2B車  昭和38年の消防法の改正(7)で救急業務に関する規定が法制化されました。その後の改正で昭和53年に「救急隊員の応急処置等の基準(8)」、平成3年に「応急処置などの範囲拡大(9)」を経て隊員の資格要件や隊員教育の救急標準課程(10)が設けられていきました。平成3年に救急救命士法(11)が制定され、心肺停止(12)に陥った傷病者に対し高度な応急処置(13)ができるようになりました。救急救命士に対しては平成15年からは包括的指示(14)下で除細動(15)の実施、平成16年から具体的指示下での気管挿管(16)、平成18年から医師の具体的指示の下で薬剤投与(17)が認められました。また、平成16年には一定の講習を修了した非医療従事者にもAED(18)の使用が認められ標準課程救急隊員も早期除細動が可能になっています。 私は、昭和50年救急業務開始以来救急隊員として携わって来たわけですが、当時は2B型(図2)の車に2名乗務でした。
(図3)当時用意できた酸素や三角巾、包帯と簡単な固定具 積載資器材も酸素や三角巾、包帯と簡単な固定具しかありませんでした(図3)。私も含めて全員が素人で色々な職種の前歴持った者の集まりで車の運転だけは任せておけと言うような感じの文字通り運び屋にすぎませんでした。4 年後の昭和54年に消防学校の救急専科教育に入校し、応急処置等の基準による135時間の講習(1課程)で隊員の資格を得たものの、やることは無資格時代と大して変わりません。 車体がつぶれてドアが開かない事故車両では、ウィンドガラスが破れていたので潔く車内に潜り込み、「痛いですか。我慢してね」と声かけして二人で思いっきり引きずり出し、そのまま病院へ運んだたことがありました。傷病者は相当痛かったのでしょう。耐えきれず失禁し白衣が濡れていました。

またある時には「病院まで救急車一台お願いします」というので現場に到着してみると、入院準備か大きな荷物を持って患者さんが玄関前に立っていたことがありました。傷病者も救急車を病院までのタクシーと思っていた時代でした。

その中でも一番大きな失敗は「孫がヒキツケタ」の通報を受けた者が「孫がヒーツケタ」と聞き違い、サイレンを鳴らし消防団を招集して消防車で出動してしまい、もの凄く怒られてしまったことです。さらに心に残ることは搬送途上に命を落とされることです。防ぎえた外傷死も当然ありました。そのたびに自分たちの知識・技術のなさを痛感させられたものです。

平成11年の救急2課程の受講は自分自身の意識改革のきっかけとなりました。所属でも救急車の更新に伴い応急処置範囲拡大によるモニター等の積載器具が増えていましたが、21年間の救急1課程生活、心電図の見方も分からず、喉頭展開や気道確保すら知らない私に、「処置の流れではないよ。一つ一つの手技を理解しましょう」と教えてくれた講師の言葉は今になっても活動に生きています。医師に対する引継の時に観察したこと処置したことの要点を伝える大切さもこの時に習いました。この講義では病院から「患者を置いて逃げるように帰ってしまった」と言われるなど多くの失敗した経験を思い出させてくれました。さらに2課程講習では新しい仲間とも出会いました。彼らからは今も刺激を受け続けています。

救急隊の構成
(図4)高規格救急車  救急隊は救急自動車1台と救急隊員3人以上をもって編成します。救急自動車には2名以上の傷病者を収容し一定の資器材を積載した2B型と救急救命士が高度な救命処置をできる構造や設備を備えた高規格救急車(19)(図4)があります。救急隊員は消防学校の救急標準課程等を修了した者となっています。
救急隊員の責務
(図5)搬送集の傷病者。右大腿部の固定、右側頭部列創三角巾固定、ノーマル酸素投与。当時の再現  救急隊員は的確性、確実性、迅速性が要求されます。現場では状況評価や傷病者の観察を的確に行い、必要な応急処置を確実に実施して適切な医療機関を選定し迅速に搬送し医師に引き継ぎます。救急隊は救急隊長と救急隊員と機関員が一体となりチームワークのとれた活動が求められます。救急隊員・機関員は隊長の指揮監督のもと救急活動を行います。救急活動は傷病者や家族、関係者の立場や心情を理解して、思いやりを持った対応が必要です。 的確性、確実性、迅速性はどれもないがしろにできません。ある交通事故でのこと、初雪の降る中トラックが路外に逸脱して横転、車外に放り出された傷病者が上司らの手により救助されていました。大腿部に骨折が疑われたため固定処置をしましたがその他の外見上に異常は認めませんでした。初冬であり着衣は厚く取り除いての観察は困難と思い、問いかけにもしっかりと答えたため他は大丈夫だと判断しました。搬送途上に段々と呼吸は荒くなり「ウーッ、ウー」と唸りだしたため酸素を投与しましたがさらに手足を動かします。同乗してくれた傷病者の上司と励ますことしかできずにいたところ、突然「ウーッ」と唸りとともに上体を起したとたん息絶えてしまいました(図5)。心臓マッサージ(20)をするにも一人では上手く行かず、その上司にバッグマスク(21)による換気をしてもらい、ともに涙しながら必死の思いで心肺蘇生法(22)を試みましたが叶いませんでした。二十代半ばの若い方で、この時の脱力感と悔しさは今でも忘れることはできません。
役割分担
(図6)隊長・隊員・機関員  役割分担は現場活動において必要な事項を隊長・隊員・機関員(図6)それぞれに割り振られており、活動の重複を避け互いの作業の進行状況を把握し能動的に活動することで互いに補い合い円滑な業務の遂行に努めます。
(図7)救急隊長。状況評価の写真 1)救急隊長(図7)
(図8)安全管理を第一に優先して感染防御をする。ヘルメット、ゴーグル、マスク、グローブ、ディスポ白衣  「人の命を守るには我が身を守れ」と聞いたことがあります。救急事案は気象や場所の条件の良いところはほとんどありません。安全管理(23)を徹底し二次災害の危険を排除することが救急隊長の第一の役割です。その上で感染防御(24)(図8)、
(図9)携行資器材をもって現場へ向かう。救命士バッグ、携帯酸素、吸引器、除細動器 携行資器材(25)(図9)の的確な指示を行います。通報内容からあらゆる事案を想定し、
(図10)ドクターヘリ。現場活動写真 事案によっては増援隊やドクターヘリ(26)(図10)の要請なども行います。
(図11)救助隊との連携 消防隊や救助隊との連携(27)(図11)や一般市民から救命の鎖を引き継ぐこともあります。
(図12)周囲の状況評価を評価する 現場到着時に周囲の状況評価(28)(図12)を行い、関係者から簡略に発症目撃等の情報収集、傷病者に接触し、
(図13)呼びかけにより意識、呼吸、循環の確認しているところ 呼びかけにより意識、呼吸、循環の確認(29)(図13)を行い、観察(30)を開始して
(図14)応急処置。頭部保持、気道の確保 必要に応じて隊員に応急処置(図14)の指示を出します。最近は救急隊長が標準課程資格者で救急隊員が救急救命士の資格を有しているといった形で救急救命士を運用している救急隊も増えています。
(図15)心肺停止の確認。循環の確認、チェックパルス、呼吸の確認をする 心肺停止(図15)になり
(図16)救急救命士の特定行為。ラリンゲアルチューブ挿入 救急救命士の特定行為(図16)が必要と認める場合には
(図17)隊長の指示により医師に指示要請をおこなう 救急救命士の資格を持つ救急隊員に特定行為の指示を出し(図17)、適切に行われるように補助をします。 前述のように、救急隊長は通報内容から様々な状況を想定して現場に至るまでの間に救急隊員と機関員に指示を出しますが、ここで一番困ることは警察からの通報や通行人による頼まれ通報で通報内容が正確性に欠く場合です。「○○にて交通事故、怪我人がいる模様、詳細不明」との通報により現場に到着すると多数傷病者のいる大型事故だったり、既に心肺停止状態(31)だったりと、想定を超えた惨状に遭遇することが時折あります。そういった時こそ救急隊を束ねて態勢を立て直し実際の現場に臨機応変に対応する救急隊長としての真価が問われます。

ある交通事故では、出場途上、国道走行なのに対向する車が全くない異様な雰囲気のことがありました。「これは大きな事故に間違いないぞ」と気を引き締め現場到着すると、はたして大型トレーラー同士の正面衝突で双方とも大破していました。増援要請するとともに診療所の医師にも出場要請しました。傷病者の1名はすでに心肺停止、対向車の運転手も瀕死の状態で酸素を与えていると「こっちにも怪我人がいるぞ」と声が聞こえました。冬の坂道ツルツル道路を2台のトレーラーが塞いでいたので、やむを得ず車の腹の下をかいくぐって坂の上に進むとトラック1台と乗用車1台がさらに追突していました。幸い怪我の重症度は低いと判断し当初の現場に戻ると医師が到着していて皮下注射を処置しており「早くこの患者を救出して」と言われました。救助器具もあまりない時代であり他のドライバーにも手伝ってもらいながら救出して搬送しました。この時が所属にとって初めての医師要請であり、今思えば初めてのトリアージでもあったと思います。

(図18)救急隊員。ラリンゲアルチューブ挿入のあとBVM一人法と心臓マッサージを同時に行っているところ 2)救急隊員(図18)
(図19)体位変換。ログロール  救急隊員は常に救急隊長と共に活動し隊長の活動をサポートします。救急資器材を現場に携行して、生命の危機を排除することを念頭に症状の悪化を防止して隊長の指示により応急処置を施します。心肺蘇生法は最大の手技ですから最新ガイドライン(32)に沿ったリズムを身に付けておく必要があります。傷病者に負担がかかったり、悪影響を及ぼさないように慎重に体位変換(33)(図19)したり、
(図20)傷病者の頭部に位置して搬送収容する救急隊員 ストレッチャー(34)収容操作や搬送に留意する(図20)必要があります。 傷病者や関係者は色々な思いで救急隊員に要求してきます。要領よく話を聞き情報を聞き出し理解をしてやり、不安や苦痛を取り除くことに努力して、安心感を与えることが必要です。

隊長の指示で言葉が出てこなくて「あれとかこれして」と変な指示が出たとしても、機転を利かし行動していれば、隊の中に信頼関係がもたらされるものです。例え間違ったとしても、言葉に出してはいけません。私語は禁物です。

(図21)運転席に乗車し無線マイクを近づける機関員 3)機関員(図21)
(図22)機関員。左右確認してハンドルを操作  機関員は緊急車輌の運行については傷病者に影響を及ぼさないよう安全・迅速に搬送する(図22)ことはもちろんのこと、
(図23)除細動のパドル貼りや点滴回路を作製する 現場に到着したら二次災害の防止に配慮し救急資器材の携行、ストレチャーの搬送準備、隊長指示による応急処置や救急救命士が行う特定行為(35)の補助(図23)などが重要な任務となっています。特に救命に関わる資器材は救急車に取りに戻ることは極力避けなくてはなりません。積載備品についてどこにあるか、どのように使うかは絶対に覚えておきましょう。 また、機関員にとって搬送途上の交通事故は絶対に起こしてはいけません。しかし、思えば危ない橋も渡って来ました。吹雪の出動で、道路脇に駐車中の車を交わしての進行中に除雪車が対向してきたのです。この時の機関員は運転だけは任せておけという男、見事なハンドル・アクセル・ブレーキ捌きで一瞬に交わしてくれました。冷や汗ものでしたが一層の信頼関係の構築ができました。チームは信頼関係が一番だと思います。私の所属ではこうした交通事故がなかったことが一番の自慢でもあります。
救急のプロとして成長するために 小規模消防署での救急隊員は兼務であり、出動のつど一緒に出動する相手が変わり救急隊としての技術も一定とは言えないのが現状です。救急隊の中で上席であったり年功が上であるだけで救急隊長になったりしますし、救急救命士の特定行為が必要な場合には現場で救急隊長が交代することもあるなど、役割も責任も流動します。

新人隊員も同じです。常に同じ役割、同じ責任ということはあり得ません。あなたは3名しかいないチームの一員です。期待がかけられるのは当然です。救急車を要請した傷病者や家族の目には例え新入隊員であっても救急服を着て現場に来た以上は他のベテラン隊員と同じ救急隊員に映るのです。

現場の状況や症状は同じことはありません。役割分担を理解しましょう。隊長の指示に漫然と従うのではなく、それぞれの活動を瞬時に判断し行動しましょう。もし行うべき処置の欠落や他にいい方法があったとしたら隊長に提言できる勇気も必要です。失敗して隊長に言葉を荒げられる事もあるかもしれません。しかし、これらの積み重ねで一人前になるものなのです。


用語解説木村 亨(きむら とおる)

富良野地区消防組合富良野消防署南富良野支署

(写真1)JPTECガイドラインの本 (1)JPTEC:ジェイピーテック。Japan(日本) Prehospital(病院前) Trauma(外傷、ケガ) Evaluation(評価) and(と) Care(手当)の略。日本救急医学会公認の病院前外傷観察・処置プログラムのこと。(写真1)
(写真2)MCの図解 (2)MC:エムシー。medical(医学の) Control(管理・調整)の略。医学的観点から救急救命士を含む救急隊員が行う応急処置等の質を保障することを指す。各地域にMC協議会がある。(写真2)
(写真3)心肺蘇生もプロトコールの一つ (3)プロトコール:Protocol。あることを実行するために定められた手順を言う。日本語では「規定」。覚知から病院収容まであらゆることろにプロトコールがある。(写真3)
(写真4)内因性疾患。心室細動確認後の除細動 (4)内因性:ないいんせい。外から与えられたものではなく、体内の条件によって起こることをいう。(写真4)
(写真5)団塊世代。その世代の職員と若い職員での会議の様子 (5)団塊世代:だんかいせだい。昭和22-24年(1947-49年)ごろの第一次ベビーブーム時代に生まれた世代。他世代に比較して人数が多いことからいう。(写真5)
(写真6)救急救命士 (6)救急救命士:きゅうきゅうきゅうめいし。救急患者に対し、病院到着前に、気道確保・除細動・輸液点滴などの高度な応急処置を行う専門職。平成3年(1991年)公布の救急救命士法に基づく制度。(写真6)
(7)消防法の改正:しょぼうほうかいせい。救急業務を消防の任務に追加して消防法第2条第9項の定義規定が設けられた。
(写真7)救急隊員の応急処置等の基準に含まれる血圧の測定 (8)救急隊員の応急処置等の基準:きゅうきゅうたいいいのおうきゅうしょちとうのきじゅん。救急隊員の資質向上のため教育訓練の充実を図り、応急処置の原則が示され、観察8項目、応急処置7項目の基準が制定された。(写真7)
(写真8)応急処置などの範囲拡大に含まれる喉頭異物除去 (9)応急処置などの範囲拡大:おうきゅうしょちなどのはんいかくだい。告示に定める講習の修了者は救急隊員の行う応急処置等の範囲を意識、呼吸、循環の障害にに対する処置と、血圧の保持に関する処置並びに骨折に対する。処置に拡大した。拡大9項目ともいう。(写真8)
(写真9)救急標準課程で実施可能な呼吸音の聴取 (10)救急標準課程:きゅうきゅうひょうじゅんかてい。応急処置等に必要な課程を含むものであって、新しく救急隊員の資格を取得しようとする者を対象とするものであり、「救急I課程」及び「救急II課程」を合わせたものに相当するものである。最近は救急科とも言う。(写真9)
(11)救急救命士法:きゅうきゅうきゅうめいしほう。救急救命士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。生命が危険な状態にある傷病者が病院又は診療所に搬送されるまでの間に、当該重度傷病者に対し行われる気道の確保、心拍の回復その他の処置であって、当該重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し、又はその生命の危険を回避するために制定された法律。
(写真10)心肺停止状態 (12)心肺停止:しんぱいていし。心機能停止かつ肺機能停止の状態。(写真10)
(写真11)高度な応急処置。正中静脈路確保 (13)高度な応急処置:こうどなおうきゅうしょち。点滴・除細動・気管挿管の「救命3点セット」と呼ばれるものである。(写真11)
(14)包括的指示:ほうかつしじ。医師の具体的指示を必要とする救急救命処置から除外し事前指示としたものである。
(写真12)除細動。VF波形から洞調律波形へ (15)除細動:じょさいどう。心臓の細動を取り除くという意味。(写真12)
(写真13)気管挿管。喉頭展開 チューブを手渡す所 (16)気管挿管:きかんそうかん。気管内挿管ともいう。心肺停止の傷病者の肺に空気を送り込むため口から気管にチューブを差し込む処置のこと。(写真13)
(写真14)薬剤投与 (17)薬剤投与:やくざいとうよ。止まった心臓を再び動かすには、専用の薬剤を注射することがとても効果的と言われている。これを薬剤投与と言う。現在認定救急救命士はエピネフリンの薬剤のみ使用が認められている。(写真14)
(写真15)AED (18)AED:えーいーでぃー。Automated(自動) External(外の) Defibrillator(細かい動きを取る)の略。自動体外式除細動器は心臓の突然の停止の際に電気ショックを与え(電気的除細動)、心臓の働きを戻すことを試みる医療機器。(写真15)
(19)高規格救急車:こうきかくきゅうきゅうしゃ。高度応急処置を行うに必要な構造及び設備を有するもの。車内空間、室内高、暖衝装置などについて一定の望ましい規格が示されている。救急救命士の救命処置に必要な資器材のほか、従来型に比べ排気量が大きく、室内の高さが1.8mあり、救急隊員が立ったまま処置が行え、またベッドがスライドするので傷病者の左右から処置行えるような設備になっている。(図4)
(写真16)心臓マッサージ (20)心臓マッサージ:しんぞうまっさーじ。乳頭と乳頭を結ぶ線の真ん中を圧迫する行為。1分間に100回のリズムで胸骨を圧迫する。ガイドライン2005からは胸骨圧迫と呼び名が改められた。(写真16)
(写真17)バックマスク (21)バックマスク:Bag Mask。ふいご状のバックとマスクが、一方向弁で繋がれたもので、これ自体は人工呼吸の道具を指すが、この道具を用いた人工呼吸手技を指すこともある。一方向弁がついているものをバックバルブマスク(BVM)と言うこともある。(写真17)
(22)心肺蘇生法:しんぱいそせいほう。気道確保、人工呼吸、胸骨圧迫心臓マッサージなどの一次救命処置(BLS)と医療器具や薬品使用する二次救命処置(ACLS)に分けられる。
(写真18)安全管理二次災害の防止。現場写真 (23)安全管理:あんぜんかんり。二次災害の絶無、危険や障害の排除もしくは防止処置、各種装備し事故防止に救急隊員個々が十分注意すること。(写真18)
(24)感染防止:かんせんぼうし。グローブ、マスク、グローブ、ガウンなど各種装備し、感染の危険から自分の身を守ること。また、感染に注意しながら現場活動することをいう。(図8)
(25)携行資機材:けいこうしきざい。救急現場において必要な用具または器具を救急現場へ持っていく資機材のこと。(図9)
(写真19)ドクターヘリ。離陸の場面 (26)ドクターヘリ:Doctor Hericopter。救急救命処置を必要とする傷病者が発生した医療現場等に救急医療に精通した医師及び看護師を迅速に到達させ、可能な限り速やかに適切な救急処置が開始されるようにするために用いられる救急医療専用ヘリコプターのこと。(写真19)
(27)消防隊や救助隊との連携:しょうぼうたいやきゅうじょたいとのれんけい。有機的な連携を図り、感染防止まで配慮した安全管理に留意し傷病者管理にあたる。救出・搬送困難、安全確保等必要に応じて連携する。(図11)
(写真20)状況評価 現着時の写真 (28)状況評価:じょうきょうひょうか。出動から現場到着し、傷病者へ接触するまでの間に確認すべき項目。感染防御、携行資機材の確認、現場の安全確認、傷病者数の把握、応援要請も要否、受傷機転の把握を指す。(写真20)
(29)意識、呼吸、循環の確認:いしき、こきゅう、じゅんかんのかくにん。呼びかけの有無、呼吸の有無、息・咳・動き(体動)の有無を確認すること。(図13)
(30)観察:かんさつ。救急現場周囲の状況を観察する環境観察と、傷病者自身に身体所見を観察する傷病者観察があり、この2つができて初めて安全かつ適切な現場活動が可能となる。
(31)心肺停止状態:しんぱいていしじょうたい。文字どおり心臓の機能と呼吸が停止している状態をいう。

(写真21)最新ガイドライン。ガイドライン2005
(32)最新ガイドライン:さいしんがいどらいん。ガイドライン2005および日本版救急蘇生ガイドラインを踏まえた各種プロトコールの見直したもの。(写真21)
(写真22)体位変換 (33)体位変換:たいいへんかん。傷病者の苦痛の軽減、症状の悪化の防止を図り、受傷部位や症状を考慮した体位にすること。また、搬送する場合に継続して処置できる体位とする必要がある。(写真22)
(写真22)ストレッチャー (34)ストレッチャー:Strecher。傷病者を救急現場から救急車へ、救急車から医療機関等に収容する場合に使用するもの。(写真23)
(写真24)特定行為の許可を得るため医師に連絡しているところ (35)特定行為:とくていこうい。除細動・気管挿管等の気道確保・静脈路確保(点滴)・薬剤(アドレナリン)投与を傷病者に対して実施すること。(写真24)

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07.7.22/11:48 AM

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