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今さら聞けない資機材の使い方(57)工具の正しい取扱い

今さら聞けない資機材の使い方(57)工具の正しい取扱い

2018年3月18日日曜日

タイトル「工具の正しい取扱い」

1 はじめに

全国の消防関係のみなさん初めまして、愛知県豊田市消防本部南消防署の村山です。当消防本部では消防力の向上のため、若手職員育成研修等を通じて若手職員の育成に励みつつ、消防力の維持向上の難しさを痛感しております。そこで、若手職員の自主性に期待し自主研究サークル「機械器具ものづくり研究会」を立ち上げ、若手職員を中心に廃棄可搬消防ポンプや自動車の分解による構造理解と工具の正しい使い方など、消防業務に関するあらゆる物事を題材にして自主活動を続けております。そんな中、「今さら聞けない資器材の使い方」について掲載依頼がありましたので、担当させていただきました。お題は、研究会の基礎の部分でもある「工具の正しい取扱い」についてとさせていただきます。

ここで、若手職員の皆さんに質問!「ねじを回すドライバーの使い方分かりますか?」

この質問、多くの方が、「え、ねじを回すだけですよね?それぐらい分かりますよ!」と答えるのではないでしょうか?

「分かりますよと」思った方、後輩や同僚に説明してみてください。うまく説明できない方が多いのではないでしょうか!

そのような方に、「なるほど!」と少しでも感じていただけたらと思っています。

2 プラスドライバー(ねじ回し)

  先端の形状の違いから1番~4番や精密ドライバーと呼ばれる0番や00番もあります。「え!プラスドライバーって全部同じじゃないの?」と思った方もいるのではないでしょうか。確かに私の場合、極端に2番の使用頻度が高く、4番のプラスドライバーを見たことがありませんので、そのように感じることもあるかもしれません。

主な用途は、ボルト、ビスなどのねじを締めたり緩めたりする場合に使用します。基本的な使用方法は、ドライバーをねじに押さえつけて回しますが、その力配分は概ね「押す:7割・回す:3割」程度を意識して力を加えます(写真2)。

そのほかにねじ及びドライバーの変形などの損傷がなく、ねじ上端とドライバーの先端がしっかりと噛み合っている必要があります。正しく取り扱えば、長い期間使用できる工具ですが、不用意に使用すると先端が変形し、ねじ穴も壊れ、作業は進まず、怪我をすることもあります。例えば、プラスドライバーの、1番と2番、2番と3番等番号が違えば全く別の工具になり、1番のプラスドライバーは3番のねじには、ほぼ噛み合いませんが、2番のねじには何となく噛み合う場合があります(写真3~5)。

この場合、いくら7:3の割合でねじを回しても、工具又はねじが破損するリスクが高まります。破損したねじに対して、破損していない工具を使用すると、場合によっては、工具に悪影響があり、このような注意を怠ると悪循環となり、整備室に工具は整然と並んでいるが、多くの工具が使い物にならないというような状況になりかねませんので、要注意です。そのほかのドライバーにマイナス、六角形、星形など色々な先端の形があり、シャフトの長さ、太さ、形状、素材、グリップの形状などいろいろな要素があり、用途に応じて使い分けがされています。例えば、六角形の穴が開いているボルト(①)は、六角レンチで絞めたり緩めたりしますが、プラスのボルト(②)や外側が六角形のボルト(③)と何が違うのでしょうか?一般的に②→③→①の順にねじそのものの強度が高くなる傾向があるようです。また、③と①を比較すると圧倒的に①が狭い場所で使われることが多いです。要するに①は、ボルトの上端の中央に六角形の穴をあけていることから、上端を小さく製造することが可能となり、六角レンチをボルト上端に刺して密着させることから、ボルト上端の周囲が狭くても操作性が確保できますが、③の場合は、ボルト上端の六角形状と工具の形状から考えると、ボルト上端周囲にある程度の空間がないと操作できません。例えば内燃機(エンジン)内部など、狭くて高い強度が求められる場所には特に①が使われているようです。このようなことから、工具を正しく使う上では、その対象がどのような性質を持っているのかを把握することはとても重要なことであり、意味を理解すると更に「なるほど!」と感じられると思います。

3 六角レンチ(ボールタイプ)

  六角形の穴が開いたボルトを締めたり緩めたりするのに使用します。L型の物やグリップハンドルの物等様々ですが、L型の六角レンチを紹介します。

 一般的には、短い六角レンチ側と長い六角レンチ側がL型に整形されている構造で、長い方の先端がボール状になっています(写真6)。

ボール状に加工している理由は、ボルトの回転軸延長線から六角レンチの差し込み角度がある程度斜めでも操作できるメリットがあります。使用方法は、強く締まっているボルトに対して、先端がボール状ではない短い方をボルトに差込み長い柄を利用して強い力を加えて緩めることが可能となります(写真7)。

その後、先端がボール状の長い方に差替えて柄が短くなり、斜めでも操作できるようになり、早回しが可能となります(写真8)。

4 スパナレンチ、メガネレンチ、コンビネーションレンチ

六角のボルト・ナット等を締めたり緩めたりする工具です。似たような工具ですが、使い分けが必要ですので、紹介します。

スパナレンチ(両口スパナ、オープンエンドと呼ぶこともある。)は、メガネレンチと比較して、ボルト・ナットに対して着脱しやすく、短いことから早回ししやすいが、強い力を加えるとボルト・ナットの六角部分が変形したり、スパナレンチを変形させたりしてしまうこともあります。また、両端のサイズが違うため1本で2サイズのボルト・ナットに対応できます。

※両端の形状をよく確認すると、首振り角度(15度)がついています。これは、六角形のボルトに対して掛け替えをする場合60度戻して掛け替えをする必要があります。ボルト周囲に障害物がなければ60度スパナを回して掛け替えれば良いが、ボルトの周囲に障害物があると、掛け替えができなくなり、作業ができなくなる。これをなるべく解消するために、端部に15度の角度をつけ、スパナレンチの裏表を反転することにより、30度の掛け替えができるように製造されている。この構造のおかげで、狭い場所でのねじ回しが可能となります(写真10)。

メガネレンチ スパナレンチと比較して、長く早回ししにくいが、強い力を加えることができます。スパナレンチのような端部の首振り角度がついていないため、端部は12個のギザギザ(写真11)があり、30度の角度での掛け替えが可能となっている物が多いです。また、両端のサイズが違うため1本で2サイズのボルト・ナットに対応できます。

コンビネーションレンチ スパナとメガネレンチの中間の長さで、強く締まっているボルトを緩める際に、メガネレンチ側を使って、強い力を加えて緩め、あとは、スパナ側で早回しして緩めることができ、スパナレンチとメガネレンチの良い所取りの様な感じだが、両端のサイズが同じため1サイズのボルト・ナットにしか対応できず、スパナやメガネレンチと同じサイズを用意するためには、2倍の数のコンビネーションレンチが必要になる。また、スパナレンチと比較して長いため狭い場所で早回ししにくく、メガネレンチと比較して短いため、メガネレンチほど強い力を加えることができず、中途 半端な工具と感じることもあります(写真9)。

5 ソケットレンチ

主にラチェットハンドル、T型ハンドル、スライドハンドル、エクステンションなどと組み合わせて使用します。ラチェットハンドルは、メガネレンチと比較して先端が大きく、狭い場所には適さない場合があるが、ソケットの種類やハンドルの種類が豊富で様々な形状のねじに対応することができます。これさえあれば何でもできると思われがちだが、それぞれ長所と短所があるため使分けが必要です。

6 モンキーレンチ

ウォームとラックのギヤの噛み合わせ調整により、口の開閉を調整できるため、一つのモンキーレンチで、幅広いサイズのボルト・ナットに合わせることができます。しかし、開閉機能を持たせたため、先端が極端に大きくなり、狭い場所では使いづらくなります。

7 プライヤー

汎用性が高く挟む(太い物と細い物の2段階)、切ることができます。自動車などの純正工具に採用されることが多いです。

8 ウォーターポンププライヤー

水道配管の修理など、パイプを挟むのに適しており、細いパイプから、太いパイプまである程度の保持力が期待できます。

9 ペンチ

プライヤーよりもぐらつきが少なくしっかりしたつくりで、切断能力も高い場合が多いが、プライヤーのように、開口幅を変更できないため、プライヤーの方が保持力が強い場合もあります。

10 ラジオペンチ

ペンチの先端を細く加工して、細かい作業ができるようにしたもので、用途に応じて様々な形状のが存在します。

11 パイプレンチ

主にパイプの保持に使用します。ウォーターポンププライヤーとは比べ物にならないほどの保持力があるが、挟まれるパイプへの負担も大きくなります。

12 まとめ

  今回、当消防本部の救助工作車に車載されている工具を中心に紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。「そうなんだ!なるほど!」と一つでも感じていただけたら幸いです。

  お伝えした情報は、各種規格などに存在しない内容や、個人的な考えや感想も含まれるため、正しくは皆様で調べ、更に教養を深めていただければと思います。

これをきっかけに、機械器具に興味を抱いた若手消防職員が増えることを期待しております。ありがとうございました。

著者

名前:村山 寛二(むらやま かんじ)

年齢:39歳

所属:豊田市消防本部 南消防署消防2課 救助警防担当

出身地 愛知県豊田市

消防士拝命:平成9年

趣味:物づくり、乗り物、生物飼育

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