ガイドライン2010:AED

 
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110114ガイドライン2010:AED

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 ガイドライン2010(G2010)解説の2回目として、AED(除細動)についてお伝えする。大きな変更は1歳未満の乳児にもAED使用が認められたことで、その他にもいくつ下辺黄点がある。

乳児もAED使用可能

 ガイドライン2005(G2005)の段階では、1歳から8歳の小児に対してはAEDの使用を認めるが小児用パッドを用いること(なければ成人用でも可)、1歳未満の乳児についてはデータ不足を理由にその可否を保留していた。これに対し、G2010では乳児のAEDの使用を勧めている。乳児の場合第一選択は手動式の除細動器であり、次に小児用の除細動器もしくはパッド、これらがない場合には成人用の除細動器で成人用のパッドを貼って除細動する。

 乳児に成人並みの電流を流して大丈夫なのだろうか。動物実験では乳児相当の心臓は高電流高電圧によく耐えることが分かっている。今までの乳児の症例報告においても成人用の除細動器で除細動に成功し何らの後遺症も残さなかった症例がいくつか報告されている。ただ乳児のAEDは今のところ症例報告に留まっており、本当に有効なのかは分からない。恐らく大規模研究は開始されているとは思うのだが、AEDがすぐ使える環境にある国や地方でそんなに乳児が亡くなるわけはないので、ほんとうに有効なのかどうか分かるまでにはまだ時間がかかるだろう。

 ちなみに、小児用と成人用のパッドの分かれ目については、日本語版G2010によると幼稚園児(6歳未満)が小児用で小学生(6歳以上)からが成人用である。世界的に見ると成人用を用いるのは8歳以上なのだが、日本では小学校の途中になり学校で両方のパッドを用意する必要がでてくるため、小学校からは成人扱いとしている。

公共施設のAED配置

 G2010ではAED配置よりその運営に重点が置かれている。

 日本ではありとあらゆるところで見られるようになったAED。東京マラソンでのタレントの蘇生例など、多くの奏功事例が報告されている。ただ成功例の影に隠れて、人目につかないところにAEDがあったり誰も場所を知らないといった失敗例は表に出ない。G2010日本版では、せっかく配置されたAEDを有効に使い蘇生率を向上するように設置や教育を含めた総合的な計画(=PADプログラム)策定を求めている、らしいのだが何をどうしたいのかよく分からない。日本版では「PADプログラムの普及にあたっては、対象集団の特性(例えば、心停止が目撃される率)とプログラムの特性(例えば、応答時間)が生存率に影響する点を考慮」し、プログラム立案者は「さまざまな要因を考慮すべき」としているが、それは当たり前のことだ。具体的なことは何も書いていないのである。

 アメリカ版も公共施設でのAED配置については観念的なことが書かれているが、「公安部の第一応答者による心肺蘇生とAEDの使用が推奨される」との具体的な提言もある。警察官や警備員がCPRとAEDに精通せよ、と言うことだ。
一般家庭へのAED配置については、家庭にあれば安全に使えるが、家庭内にあったからといって生存率が上がるわけではない、としている。

ショックファーストとCPRファースト

 G2005ではCPRファーストとして5サイクルもしくは2分間のCPRが決められていたのだが、G2010では「やってもやらなくてもいい」「何分でもいい」と受け取れる、曖昧な表現となった。

 G2005では目撃がある卒倒の場合は現場で充実したCPRが行われていた場合にはできるだけ早く除細動を行うようにされていたのだが、G2005以降の論文では目撃がある卒倒ではショックファーストもCPRファーストも結果は同じとするものがでている。目撃がない、もしくは卒倒後5分以上放置された症例ではショックファーストよりもCPRファーストのほうが転帰がいいという論文と、転帰は同じという論文がでている。G2005の時点では信頼できる論文が1つしかなく、それが4ー5分でショックファーストとCPRファーストを規定していたのだが、その後の論文で結果が芳しくないことを反映して、ガイドラインとして強くは出られなくなったようである。じゃあどうすればいいのか。恐らく現在のままショックファーストが第一選択とされるだろう。

パッドは心臓を挟めばよい

 G2005ではAEDパッドは右は鎖骨下、左は左胸の脇下に貼るのが原則であり、その原則が守れない場合のみ別の部分に貼ってもいいとしていた。G2010では心臓を挟めばどこでも貼っていいことになった。どこに貼っても効果は同じという結果が出たためである。といっても第一選択はパッドに絵が書いていあるとおりの位置であり、絵を見ることで判断に迷わず教育も容易であるのがその理由である。

ペースメーカーを避けて貼る

 G2005ではペースメーカーから2.5cm以上離してパッドを貼るとしていた。G2010ではパッドはペースメーカーを避けて貼る、と簡単になった。これは、G2005では杓子定規にパッドの位置を決めていた手前、例外は認めづらかったのに対して、G2010ではどこに貼っても良くなったからである。原則的な位置にパッドを貼りたい場合は、2.5cmとする必要はなく、ペースメーカーにパッドがかからなければよい。


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11.1.14/6:02 PM

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