110116とうちゃん格好いい!
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110116とうちゃん格好いい!
作)メイ
なにかと世間の目が厳しい公務員ですが、消防の仕事をしていて市民から「ありがとう」って感謝の言葉をいただいたり「おかげさまで退院しました」と元気な姿をみせていただくと、モチベーションもあがりますし、すごくうれしいですよね。今回、私は家族からうれしい言葉をもらいました。
ある猛暑の日曜日、私は週休だったので暑さから逃れるために久しぶりに家族で隣町のショッピングセンターへお出かけ。店内はエアコンが効いていて快適でした。
かみさんは「ゆっくり婦人服売り場をみたいわ!」
小学校に入ったばかりの娘は好きなゲームや遊具のある「キッズパークに行きたい!」というので、それぞれ好きなところを目指すことにしました。待ち合わせ時間と場所を約束して私は娘と行動を共にすることに。先を急ぐ娘に手を引かれエスカレーター乗り場に近づいた時、数メートル先には、いま乗り込もうとしている利用客がいました。
車いすに人を乗せて押しながらエスカレーターに乗ろうとする中年男性です。このエスカレーターはステップの奥行きが数十センチのタイプですから車いすを安全に載せられるものではありません。
車いすはエスカレーターに載せられドンドン上昇していきます。上に向かって角度がついた車いすは前輪が浮き上がりウイリーの状態。後ろで押していた男性は必死にひっくり返ろうとしている車いすを支えていますが、何せ人が乗っている車いすですから、その重みに耐えきれず徐々に二人とも仰向けに倒れていく様子がみえます。
その様子を見て思わず「あっ!」と大声をあげて走り出し、緊急停止ボタンを押しました。すぐにエスカレーターが停止。
気づいてみると私がエスカレーターのステップのところで半ばあぐらをかくような形で座り込み、車いすを押していた人の肩、首、頭を守るように下敷きになっていまいた。さらに左足は人を乗せたままの車いすのフレームを保持しひっくり返らないように支えていました。ドミノ倒し状態です。異変に気づいて近づいてきたお客さんに手伝ってもらい助け出してもらい、倒れた二人の様子を確認しましたが幸いにも怪我がなく、事なきを得ました。まもなくエスカレーターの緊急停止を知ったガードマンやショッピングセンターの職員の方が駆け付けてきたので、事故状況と利用者に出血や怪我がない事を申し送りました。
それにしてもなんで車いすを押してエスカレーターに乗ってしまったのか?
その理由はわかりません。
一件落着したところで近くにいた娘のもとへ戻ると、目を真ん丸にして仁王立ちの姿で立って言いました。「とっ!とうちゃん格好いい!」
一瞬の出来事でしたが、娘は一部始終をみていたんですね。父親が消防士だということはわかっているものの、生で体を張って人を助ける姿を目の前にして興奮していたのです。帰宅に向かう車の中で、かみさんにその様子を熱く語っていた娘は何か誇らしげでした。
娘から「格好いい」って言われるなんて、なんだか嬉しいですね。
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11.1.16/11:40 AM
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