2001/12/07(Vol.87)号「痛み外来とは」

 
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2001/12/07(Vol.87)号「痛み外来とは」

痛み外来とは

前回は麻酔科の業務範囲について書きました。今回は麻酔科医師が行っている「痛み外来」について紹介します。

人は歳をとってくればあちこちが痛んできます。膝が痛い、腰が痛い、肩が凝る・・・それらを適切な方法で治療するのが痛み外来です。痛む場所は同じであってもその原因や程度はさまざまです。飲み薬で良くなるものならそれが一番いいですし、注射で良くなるものなら注射をします。手術で良くなるのなら患者に説明をして手術を促します。今まで経験した症例を書いてみます。

1)頭痛 35歳女性いつも頭痛持ちで、月に1回吐くほどの頭痛に襲われます。いつもの頭痛は頭のてっぺんから首にかけての絞められるような痛みで、吐くほどの痛みはこれと違って頭の芯からズキズキとする痛みでした。母親も頭痛持ちだと言います。絞められるような痛みは肩こりの注射で、ズキズキする痛みは片頭痛の薬で症状は軽快しました。

2)肩痛 65歳男性肩が痛くて1年経ちます。医者に五十肩と言われたがいっこうに良くならないので来院。雪はねをしてから痛くなったと言います。痛い場所は五十肩と違い、既に肩関節は動かなくなっています。この人は肩の関節の袋が破けていたのに五十肩と言われ続け肩をダメにしてしまいました。整形外科の手術を受け入れるまでの間痛み止めの注射を続けました。

3)腰痛 70歳男性(私の叔父です)強度の腰痛と両足のしびれのため整形外科で腰の手術を受けました。3ヶ月後突然症状が再発し歩けなくなりました。整形外科で検査をしても全く問題ありません。来院すると「座っていられない」と横になっています。入院させ、レントゲンで見ながら腰骨の周りの神経にアルコールを注入する方法を行いました。翌日から座れるようになり、今でも元気に働いています。

4)膝痛 80歳女性若いときの重労働がたたって膝の関節は曲がっており、もう真っ直ぐになりません。医者からは手術を勧められますが、恐ろしいのでイヤだと言います。写真を撮ってみるともう関節の軟骨がなくなっています。相談して、なるべく長く関節を使えるように生活をさせ、定期的に関節に潤滑油を注射して痛みを少しでも和らげることにしました。注射をすると3日間は調子がいいと言います。今も手術を勧めていますが返事は変わりません。

5)ガン 30歳女性卵巣癌。全身の衰弱と共にだんだん腹痛が強くなってきました。痛みのために2歳の息子と遊んであげられないのが辛いと言います。モルヒネの点滴では眠くなる。背骨の前の神経を抑える注射をしましたがあまり効果がなく、最終的には脊髄に直接痛み止めを流す管を入れました。この方は最後まで息子さんと一緒にいることができました。

次回からは代表的な病気について説明していきます。

(置戸赤十字病院 麻酔科 玉川進)


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