自殺に関する一般的考察

 
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自殺に関する一般的考察


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 自殺は搬送患者に限らず、身内や自分自身にも関わってくる重大な問題である。うつ状態から死を選ぶのが多く、それも適切な治療を受けぬまま死を選んでしまう。
 
 自殺の危険因子

 この危険因子をできるだけ排除することが予防につながる。

 1)自殺未遂歴:死にきれなかった人の10人に1人は結局自殺で命を失う。
 2)精神疾患の既往:中高年の自殺と関連するのはうつ病である。
 3)周囲からの孤立:未婚者、離婚者、配偶者との死別者は家族がいる人に比べて自殺率は3倍となる。労働者の自殺は職場での孤立が関係する。
 4)性別:未遂は女性に多く、既遂は男性が女性の2.5倍になる。
 5)年齢:中高年と老年で二つのピークを認める。年齢が高いほど危険。
 6)喪失体験:自分にとって大切なものを失うという体験。財産、仕事、配偶者など。個人によって異なる。
 7)自殺の家族歴:近親者やごく親しい人の自殺は、うつ状態の人間にとって呼び水になる。
 8)事故傾性:自殺に至る前にはさまざまな自己破壊傾向が出てくる。本人はそれを事故だと思っていることも多い。ミスを繰り返す、失踪する、薬を飲まなくなるなど。
 
 対応のしかた
 相談をせず自殺に走る人が多いが、何らかのサインは必ず出している。直接「死にたい」と言うばかりではなく、「もう生きている意味がない」「眠ったまま目が覚めなければいい」と言ったり、「お世話になりました」と不自然な感謝を述べたりする。自分の宝物を処分したり、自殺する手段を用意したり、自殺する場所の下見をした

りする。
 周囲や自分が「危ない」と感じたら、
 1)相談しやすい雰囲気をつくる
 2)相談された人が責任を背負わないようにする。責任をかぶせるのは本人も苦痛である
 3)「今のあなたは元気なときとは違う」と言って精神的負担を軽減し休養を勧める

 「自殺について話すことは自殺の可能性を高める」という意見は間違っている。もし自分が誰かから「自殺したい」と相談されたら、自殺以外に話題をそらしたり、表面的な激励をしたり、社会的通念を押しつけたりは厳禁である。その人は信頼できるのはあなただけだと信じて最期の話をしている。とにかく聞く。極端なことを言えば、うなずくだけでよい。相手の絶望感を理解しようという誠実な態度が相手には救いになるし、相手にとっては言葉で表すことは自分の気持ちを整理してからでないとできないことなので、混乱から少しでも脱出できる糸口となる。言葉にできれば心の負担は確実に軽くなる。相手の話が終わったら、適切な専門家の援助を求めるように真剣に語りかけよう。自分一人で相手の自を受けとめるにはあまりにも荷が重すぎるからだ。
 
 参考文献
 労働の科学 2000; 55(3): 154-162
 日本医師会雑誌 2000; 124(1): 59-62


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07.4.22/12:26 AM]]>

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