手技8:心電図読影
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基本的な心電図くらいは読めなくては救急隊員は務まらない。
心電図の勉強
心電図は難しいと思っている諸兄が多いと思うが、心電図は決して難しいものではない。少なくとも救急現場で役に立つレベルなら、1日もあれば修得できる。心電図の学習のコツを教えよう。
1)理論は無視する
アイントーベンの三角は覚えなくていい。単極誘導も双極誘導も無視して良い。心電図はパターン認識だと思って、ひたすら図だけ見ていく。
2)能率的に読む心電図には読む順番がある。
a. リズムを見る
整脈か不整脈か
b. Pを見る
あるかないか
c. QRSを見る
正常か上室性不整脈か心室性不整脈か
d. ST-Tを見る
正常か下降か
3)正常値はマス目の数で覚える
時間軸(x軸)は大きなマス5mmが0.2秒で小さなマス1mmが0.04秒である。電位軸(y軸)は大きなマス5mmが0.5mVである。しかし、そんなことは覚えなくても良い。PR間隔は3〜5マスで、QRSは2.5マスであることを覚える。マス目で覚えるほうがずっと実用的だ。
4)危険な不整脈のみを覚える
救急隊にとって大切なのは、危ないか大丈夫か判断をつけることである。生命に危険な不整脈は数えるほどしかない。PVC, VF, VT, R on Tくらいなら特徴的なのでそう苦労しないで覚えられる。あとは無視する。無視していても関心さえあればいつかは覚えられる。
↓これが正常です。何も考えないで、これが正常だと思いこむ。
1)
すると、↓は正常でしょうか。
変な大きい波が3つ出ています。感覚も変です。これは不整脈です。
では↓はどうでしょう。
3)
これも変ですね。とんがった波が全くなくなっています。これも不整脈です。
これは↓どうでしょう。
4)
正常↓と比べてみましょう。
1)再掲
山の高さが違いますが、形は同じ。密度が違う。脈の間隔は一定です。4)はただ脈が速くなっただけで正常です。
脈が速いものには↓もありますが、どうでしょう。
5)
これは変でしょう。脈が速いし、形も変です。これも不整脈です。
尖った波の形が同じのも↓あります。
6)
形は同じでも間隔はまちまちです。これも不整脈です。
まとめ
不整脈というときには2つの意味があります。
- 脈の間隔が乱れているもの(文字通り不整脈です)
- 間隔は一定でも心電図の波の形が明らかに変なもの(広い意味の不整脈です)
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