190403救急隊員日誌(178)「ビビるやつと、グイグイくるやつ」

 
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救急隊員日誌
月刊消防2019年3月号
ペンネーム:月に行きたい
「ビビるやつと、グイグイくるやつ」
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 2年くらい前だろうか、私は処置拡大2行為講習を受けるために、消防学校で数日間寝泊まりした。心停止前輸液とブドウ糖投与認定を受けるために、県下から集まった数十名救急救命士達とトレーニングをする。普段、教育側にいる私にとって、こ期間は非常に新鮮だ。指導を担当してくださるは、各消防本部から選ばれた指導救命士と呼ばれる方々。いわば各消防本部エリート救命士からご教授いただけるこチャンスは無駄にはできない。最終日は効果測定があって、医師と指導救命士数人が私針先を見つめる。「さすが文句なしシミュレーションですね!手技も確実で時間も早い!」顔見知り医師が褒めてくださったはありがたいが、本音を言うと手が震えるを誤魔化すには、素早く動くが一番だったりするだ。様々な教育コースでインストラクターをする私だが、残念な結果にならずにホッとしている。

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 追加講習は気管挿管から始まって何度かあったが、もう一つ楽しみがある。それは、様々な年代救急救命士が集まると言うことだ。下は20歳、上は50歳まで救急救命士が集まって同じ内容を受講する。普段教育立場にいる私にとって、20〜30代彼らが他消防本部でどんな成長をしているか非常に興味があるところだ。シミュレーション一つとっても、「面白い」と答えるももいれば、「あと何回隊長をしなければならいか」と指を折って数えているももいる。指導救命士から厳しい指摘を受けた反応も様々で、「もうダメだ」と悲観的になるやつもいれば、「次も隊長していいですか?」とグイグイくるやつもいるから面白い。
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 同じ体験に対してなぜこんなに違った反応をするか。それは、「過去に失敗した時周り反応はどうだったかによる。」と説明するは早稲田大学名誉教授である社会学者加藤諦三さん。私が採用された頃消防はまさに軍隊式教育で、ミスをすれば怒涛ごとく罵られ、手が飛んでくるは当たり前だった。現代消防はさすがにそうではないとは言ったも一度刷り込まれ記憶はなかなか上書きされることはない。失敗をいかに生かすか後輩に説いている私ですら、上司から怒鳴られそうになると昔記憶が蘇り、しばらく落ち込んでしまったりそ場から逃げたりすることすらある。こことについて加藤さんは、失敗を恐れる人は「体はここにあるに心が過去にある人」だと言う。「失敗は怖いも」と思い知らされた体験が過去にある。「心が過去にある」ことに気付かないと自分人生を一生棒に振ってしまうことになりかねない。最悪自殺だってあり得ると・・・。
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 ビビりまくっているそ子に聞いてみると、やはり私と同じような体験をしていた。消防教育ってまだまだ発展途上なんだなあ。拡大2行為講習はずが、思わぬ勉強をしてしまった。
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 ついでにグイグイくるやつにも聞いて見た。「なんかムカつくんですよね!あ指導救命士エラそうに話すんで!もう一回やりますっ!」こいつはまた、いいような悪いような。ただ、心はすでに未来へ向いているようなで、これはこれでいいかな。

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