月刊消防2020/11/1, p86
月に行きたい
非番日の過ごし方
普通ならセミナーの日だのだけど…
Facebookを開いてみた。登山にキャンプ、釣り。週末に旅行に出かけることはとても出来ないので、遊び方は自然と限られてしまう。「それにしても、この子お父さんそっくりだよね。」「キャンプ道具めっちゃこだわってるし!」画面に映し出されるのは、よく知る友人と家族の楽しそうな笑顔だ。これまでの投稿は、週末となればMCLSやAHAのような「教育コースに参加してきたよ」的な近況報告が多かったが、新型コロナウイルスのせいで軒並み中止となり、その手の投稿を目にすることは無くなってしまった。
リンク
かくいう私も、コースの役員とか、委員会とか、様々手伝っている。消防の勤務が終わって家に帰ると、まずはパソコンを開いてメールチェック。コースに関する協議事項、申請、問い合わせの対応を行うのが日課だった。電話での問い合わせも多い。郵送することも多く、郵便局にも足繁く通う。非番によくこんなこと出来るなぁ思うときもあったけど、何より成長を感じるし、達成感もある。こんなことを10年以上も続けていると、これらはもう日常レベルで、特に苦も感じなくなっていた。
今年の2月くらいからか、10年以上続けてきた非番のあらゆる作業がパタリと止まった。あるのは「感染者を出さないようにコースを開催するにはどうすればよいか。」という超難問。もともとボランティアなので、収入が減って困ったということはないが、ここまでやることが無くなってしまうとどうも空虚感に襲われてしまう。非番日にパソコンを開くことはほとんどない。目線は家族に向いていて、趣味も少し増えた。「土日になればどこか県外へ出かけてしまうお父さん」から、「あの手この手でいつも遊んでくれるお父さん」に変身することになり、子供や妻の笑顔も増えたような気がする。これはこれでもちろん楽しいし幸せだ。たいていの消防のお父さんって、こんな感じで非番日を過ごすのかな?今まであんまり子供に構ってあげてなかったな。と思ったりもした。
オンライン研修会も上手に使えば、移動時間もないし、準備の手間も大きく省ける。それだけ自分の時間も増えて、結果的に幸せな人もきっと増えるだろう。そんな話を教育コースの委員長と話をしていると、「じゃあ試行コース考えてくれる?」とやっぱり振られてしまった。私の日常になりつつあった家族にやさしいお父さんは、意外とあっさり終わりを迎えたようである。「お父さんパソコン開くの久しぶりだよね。」「私、パソコン覚えたいんだけど教えてくれる?どうせお父さんも暇でしょ。」と反抗期のツンデレ娘が話しかけてきた。これも家族に優しいお父さん効果なのか!?売り言葉に買い言葉。「ま、いいけど?」とそっけなく返事をしてみたが、やっぱり顔がにやけてしまった。
ウイルスに怯えながら過ごすこの状況は一体いつまでつづくのだろうか。忙しい非番の日々が、非日常のように感じてしまうには十分な時間が経ってしまった。はやくいつも通りに戻ってほしいという気持ちと、教育コースが再開したときに、これまでのメンバーがコースに戻ってきてくれるだろうかという不安が入り混じる。かくいう私も、かわいい娘のこういった姿を見ると、もう少しバランスを考えてもいいのかなと思い始めている。
リンク
コメント