月刊消防 2022/08, p68
月刊消防「VOICE」
230320_VOICE#79_障害者からの入電システム
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障害者からの入電システム
尼崎市消防局
神田佐登司
「救急隊です。どうされましたか?」から始まる傷病者とのコミュニケーション。
10月某日の夜間、「70代の男性が室内で転倒し顔面を負傷している。」と尼崎市WEB119での救急要請。傷病者とその妻は聴覚障害者でした。寒風吹き荒れる共同住宅4階のエレベーター前に妻が誘導者として出ており、通報後、救急隊到着まで立っていたと思われますが、「寒い中、お待たせしました。」の一言をお伝えできずに妻と傷病者宅へ向かいました。
尼崎市消防局は尼崎市WEB119と尼崎市FAX119を聴覚や言語に障害のある方の通報手段としています。尼崎市WEB119とは、携帯電話やスマートフォンのインターネット接続機能を利用し、画面を見ながら、消防指令センターとリアルタイムに緊急時の通報や状況確認が行えるシステムで、尼崎市FAX119はダイヤル番号によりFAXで緊急時の通報を行えるシステムで、「119番緊急通報連絡票」に必要事項を記入し送信するシステムです。
尼崎市では1756名の聴覚障害者が在住されており、うち84名が尼崎市WEB119に登録しています。(令和3年10月現在)。令和2年度の利用状況は尼崎市WEB119利用が2件、尼崎市FAX119は2件、令和3年度は10月末現在でWEB119が1件、FAX119は3件でした。
聴覚障害者のコミュニケーションは主に手話、指文字、読話、筆談、空字、ジェスチャー等で行います。本件傷病者の妻とのコミュニケーションは主に筆談で行いました。読話は口の動き等により推測するものですが、感染防止の観点からマスクを外せない状況です。また、手話通訳者を必要とされる方の対応として、コミュニケーション支援センターに電話連絡し、対応できるコーディネーターを要請する、若しくは障害福祉課の設置手話通訳者が対応するのが現状ですが、緊急を要する救急現場ではコーディネーターや担当者を待っている時間はありません。過去、手話講座を受講したことはありますが、現場で咄嗟に出来るか不安です。
救急隊として救急業務に関する知識や技術の習得はもちろんのこと、市が開催するコミュニケーション支援者養成講座等に参加したり、また、市が提供するハンドブック等を活用し、市民サービスの「質の向上」を目指し、広く識見を養うよう努力する所存です。
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