240426_VOICE#93_調整と合意形成

 
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主張

月刊消防 2023/10/01, p55

月刊消防「VOICE」


調整と合意形成
 
新型コロナウイルスの感染拡大により、救急活動にも様々な障害が発生し、「救急隊員の感染リスク管理」や「搬送困難症例への対応」など、これまで経験したことのない多くの問題と向き合うこととなりました。
新たに発生した問題について対策を各部署と調整し、直ちにこれを実施する。言葉にするのは簡単ですが、実際にやってみるとなると非常に大変なことです。自身も感染拡大の当初から、新型コロナ対策について署内や医療機関との調整を図る立場にあったこともあり、失敗から学んだことも多くありました。
救急活動時の感染リスクを低減させるため、個人装備や消毒方法などの感染対策を従来のものから強化した内容に変更しようとしたところ、コストや隊員への負担などを理由に、一部の対策について反対意見がありました。しかし、感染者の急増により、早期に対策を実施する必要があったため、反対意見が残ったまま対策をスタートした結果、反対されていた一部の対策については実施率が低かったという問題が発生しました。
何事も基本的にはメリットとデメリットが存在しますので、同じ内容であっても個々の立場や価値観の違いにより、割合に差はあれど「賛成」と「反対」に意見が分かれてしまうことは当然のことといえます。
では、急を要する対策の場合、反対意見にどう対処すべきか?この問いに対して、「反対」している人を「賛成」に変えるという目標設定は難易度も高く、費やす時間も相当なものとなります。今回の失敗を振り返ると、「反対」を「賛成」に変えることは得策ではなく、反対する人から良い意味での「妥協」を引き出し、「合意」を形成することを目標としてプレゼンテーションを展開・調整していく必要があったと思いました。
改めて対策のプレゼンテーションを行った際は「問題意識の共有」と「対策の根拠・必要性」に重点を置いて説明し、反対意見の根拠や理由についての聴取も実施しています。その結果、全てではありませんが反対意見の人からも合意を形成することができ、反対されていた対策の実施率も改善しています。
 近頃はリモートでのコミュニケーションツールが豊富に利用できるようになりましたが、リモートでのプレゼンテーションや会議では情報発信が一方的になりやすく、反対を始めとした様々な意見を見逃してしまいがちです。自身のプレゼンテーションも一方的なものであったため、様々な意見を見逃してしまったことに失敗の一因があったと反省しています。
 相手に自分の考えを正しく理解してもらい、反対する人からの意見にも傾聴して合意を形成する。これらの調整スキルは部下への指導や市民対応など、様々な場面において活用可能です。今後も多様化する業務上の問題に対応するため、この経験を糧として調整力を磨いていきたいと思います。
・氏名
  折戸 直樹


・読み仮名
  オリト ナオキ


・所属
  三田市消防本部


・出身地
  兵庫県伊丹市


・消防士拝命年
  平成15年


・救命士合格年
  平成24年


・趣味
  ラグビー観戦、釣り、スキー
主張
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