240719最新救急事情(247)新しい薬の話

 
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最新救急事情

月刊消防 2023/12/01号 p76-7

目次

新しい


今回は救急から離れて、慢性疾患話をしたい。取り上げるは糖尿病・肥満・アトピーである。


糖尿病 SGLT2阻害

糖尿病は高血糖により様々な症状が出現する病気である。原因はインスリン働きが悪くなる(インスリン量が少なくなる場合と、体がインスリンに反応しなくなる場合がある)ためで、小児発症が多いI型糖尿病ではインスリン注射が絶対に必要となり、成人満で発症するII型糖尿病でも早期にインスリンを導入して膵臓負担を軽減させるようになってきている。


現在急速に普及してきているがSGLT2(Sodium glucose co-transporter 2)阻害である。市場へは2014年から流通している。血液は腎臓を通ることで不要物が濾過され尿となって排出される。こちブドウ糖については糸球体を通過する際に一度は尿に混じって排泄されるだが、正常人では近位尿細管で全て再吸収されるで尿に糖は混じらない。こ再吸収はSGLT2が90%を受け持ち、残り10%はSGLT1が受け持っている。糖尿病患者ではSGLT2発現が増加していることがわかっている。つまり、血糖を高める方向になっているである。


ここでSGLT2阻害を投与することで尿糖再吸収を阻害して糖が尿と一緒に出るため、血糖値が下がる。また血糖値以外にも心不全や腎機能障害進行を防ぐといった効果が明らかになったことから、心疾患や腎疾患患者にも用いられるようになっている。副作用としては体重減少(単純に体重が減るというより筋肉量が落ちるらしい)や尿量増加があり、また尿に糖が混じることから陰部感染症危険性が高まる。



インスリン 1週間に1回注射 


糖尿病でインスリンを注射する方法はいろいろあって、例えば1日1回注射を行い、食事ごとに飲みを飲むという方法もある。これを基礎インスリン補充療法と言っている。


現在は基礎インスリン補充療法では1日1回注射が必要である。それを1週間に一回とする開発が最終段階を迎えている。名称はInsulin icodec。すでに患者に使われている1日1回投与タイプンスリンであるDegludecと比較した研究1)では、icodecはDegludecと比較してヘモグロビンA1cを下げる効果は同等であった。重大な副作用である低血糖発生率は0-26週目まではicodecはDegludecより発生率が高く、発生率は同等であった。


インスリンといえば、膵臓抽出物が血糖を下げることが報告されが1921年である。それから100年以上経っているに、いまだに注射しかない。ワクチンもmRNAで作られるようになっただから、経口インスリンも早くできてほしいもである。



肥満症 GLP-1受容体作動


こちらは2023年3月に承認を受けたである。GLP-1(glucagon-like peptide-1)はGLP-1受容体を介して膵臓からインスリン分泌を促進するとともにグルカゴン分泌を抑制する。また尿ナトリウム排泄量を増加させ、腎保護作用を有する。さらに・過剰な食欲を抑える・満腹感が持続する・脂肪を分解しやすくなる、という作用がある。


痩せる効果からダイエットとして注目されているが、肥満があれば全て保険適用になるではないことに注意しよう。保険適応になる肥満症はBMIが35kg/m2以上なら高血圧、脂質異常症もしくは2型糖尿病いずれかを有し、BMIが27kg/m2以上ならそ二つを有していることが前提で、加えて食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合に限られる。保険適応が効かない人には、自由診療でを入手することもできるようだ。医者としてはどうかとは思うが、興味がある人はネットで調べれば多くクリニックがヒットする。



アトピー JAK阻害剤


アトピー性皮膚炎は掻痒感により皮膚がかきむしられ湿疹として発症する。こ疾患背景には「アトピー素因」と言われるアレルギー体質があるため、アトピー性皮膚炎患者では喘息やアレルギー性鼻炎を併発していることが多い。


掻痒感や皮膚炎発症には炎症を引き起こすサイトカインが関与している。こうち、JAK(Janus kinase)阻害剤はJAK-STAT(single transducers and activator of transcription)シグナル経路を阻害する剤であり、炎症やかゆみ信号が送られてきてもそ信号を遮断して症状を抑える。JAK阻害剤は2013年関節リウマチへ適応が最初であり、そ後潰瘍性大腸炎や喘息、乾癬、クローン病が適応症として認可された。


アトピー性皮膚炎へ適応は2021年なで最近ことである。15歳、もしくは12歳以上に投与でき、安全性も高い。皮膚症状改善も期待できるがかゆみ軽減効果方が大きい。問題となはそ値段で、保険で3割負担だと一ヶ月で4万円以上出費となる。



どんどんは出てくるがみな高価


新しいは遺伝子レベル研究から生まれたもばかりで、みんながみんなとても高価である。癌免疫チェックポイント阻害剤がそ最たるもだが、アトピーもなかなかももである。私も含めて、いつ病気になるかわからない。国民皆保険日本であっても、病気になる時ためにちゃんとお金を貯めておこう。


文献

1)Jama 2023 Jul 18; 330(3):228-37

 

 

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