月刊消防2020/1/1
月に行きたい
「残念な上司にならないために」
最近、私の職場で上司への不満が多く聞かれるようになった。人事異動のたびに上司は変わってしまうので、前任者と比較してしまうのは仕方ない。でも1ヶ月もすればそれは日常になるので、いつの間にか私たち働きアリは、不満を言うことよりも上司対策に心血を注ぐようになっていく。乱暴な発言も、この上司ならいつものことかと割り切ることもできるし、普段穏やかな上司から叱責を受けた時は、これはよっぽどのことだから注意しなければならないと考えたりもする。このように部下というものは、上司がもっている「常識」の範囲を常に計っていて、上司の「常識」からはみ出さないように努力している。
上司への不満が爆発するのは、その「常識」を推し量ることができなくなるからだ。最初は理解できなくても、ことが終わってしまえば上司の思惑通りに円満解決していたという経験を持つ読者諸兄も多いかもしれないが、それでも“部下が抱えた不満は変わらない”から面白い。それだけ「常識」を推し量ることができないという事実は、部下にとって大きなストレスとなるものなのだ。良い「常識外れ」なら結果的に組織のためになっているからまだいい。私たち部下が困っているのは、箸にも棒にもかからない「常識外れ」だ。様々な本を読んだが上司に対する不満の内容は概ね決まっていて、代表的なものがこの2つだったので紹介しておきたい。
まず一つ目、「自分の不満を、叱ることでぶちまける。」上司が部下を叱るのは、部下を成長させるために叱るものだと思う。例として、「考えたらわかるだろう?」「指示もしていないのに勝手なことをするな」という発言がこれにあたる。おそらくその上司は、自分の思うように仕事が進まないから腹が立っているだけである。時間が経ってからグチグチ掘り返されるのもまた、部下にとっては迷惑でしかない。
二つ目、「指示がわかりにくいうえ、何度もやり直しをさせる。」何をどのように、いつまでにやってほしいという指示がわかりにくいうえ、質問しても「自分で考えて」「任せる」と言われた挙句に、やり直しを何度も言われると部下の不満は爆発してしまう。
心あたりがないか思い出してほしい。上司のあなたに心当たりがあるなら改めるべきである。部下のあなたに心当たりがあるなら、そんなくだらない事であなたが悩む必要はない。悪いのはあなたではなく上司なのである。
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そんな残念な上司にならないために、私たちにはどんな準備ができるだろうか。私は、渋沢栄一著、現代語訳「論語と算盤」を強烈に推薦したい。渋沢栄一は、約470社もの企業の設立、発展に貢献した実業家であり、次期一万円札の肖像が決定している偉人である。この書籍の中では仕事上の「常識」について触れている。かいつまんで説明すると、常識はどんな地位にいても必要であり、「知恵と情愛と意志のバランスである」ということや、仕事をする上で「善人が善人であり続けることもないように、悪人が悪人であり続けることもない。」と説明している。渋沢栄一についてもっと細かく説明したいが、この本の場合、私が中途半端に説明するより書籍を手に取った方がいいだろう。マンガ版も出ているので、こちらから読むこともいい。渋沢栄一や、出版社から紹介料をもらっているわけではないが、これからの人生に絶対に必要な一冊だと私は思っている。
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