201123今さら聞けない資機材の使い方(88) ホース誤離脱防止リング(京田辺市消防本部 福井佑都)

 
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基本手技

近代消防 2020/9月号 p93-95

今さら聞けない資機材の使い方

ホース誤離脱防止リング

目次

1 はじめに

皆さんはじめまして。この度「今さら聞けない資器材の使い方」で執筆をさせていただくことになりました京田辺市消防本部の福井佑都と申します。
京田辺市消防本部は京都府の南部に位置し、1本部1署3分署で構成され、京田辺市、井手町、宇治田原町を管轄しています。管内人口は86,925人で総面積は119.12㎢になります。大阪府及び奈良県、滋賀県と隣接し、京都市や大阪市などの大都市のベットタウンとして人口の増加が続いています。さらに第二京阪道路・新名神高速道路などの建設や北陸新幹線の延伸に伴う新駅の建設予定地に選定されるなど今後も発展していくことが予想されています。
京田辺市消防本部は昭和45年12月1日に田辺町消防本部として発足、平成4年12月1日に井手町、宇治田原町の消防受託業務を開始しました。平成9年4月1日には田辺町の市制移行に伴い京田辺市消防本部となり、今年度は発足50周年という節目の年を迎えました。
次に私の自己紹介をさせていただきます。私は平成30年4月に消防士を拝命し、今年で3年目になります。まだまだ現場経験は少ないですが、知識と技術を多く身につけ、市民から信頼される消防職員になれるよう持ち前の元気と笑顔で日々業務を行っています。

2 ホース誤離脱防止リングについて

今回紹介させていただく資器材は「ホース誤離脱防止リング」です(写真1)。「ホース誤離脱防止リング」はホースの結合部に取り付けてホースが誤って離脱することを未然に防ぐ資器材です。主にホースカーによるホース延長時に使用します(写真2・3)。
ホース延長する際に「要救助者はいるのか」「ホースラインは整っているか」など多くの不安や焦りを感じながら活動されているのではないでしょうか。私も実際の火災現場において、普段の訓練ではできていることでも焦りから時間がかかってしまった経験があります。現場活動を終え反省する中で、少しでも不安要素を解消できる資機材はないか、事前に準備しておけるものはないかと考えてきました。そこで先輩に相談して発案したのがこの資器材です。是非、参考にしてみてください。

001
ホース誤離脱防止リング

 

002
京田辺市消防本部の訓練風景

003
ホースカー

3 作成方法及び使用方法

ホース誤離脱防止リングは。すでに販売されている商品や、私と同様に発案され使用されている消防本部もありますが、今回はホームセンター等で販売されている塩ビパイプを使用し作成しました。作成にかかる時間は10分程度ですが刃物を使用するので十分注意して作成してください。

(1)準備物

ア 塩ビパイプ(直径6.5cm)
イ 塩ビパイプカッター
ウ ビニールテープ
エ やすり

(2)作成方法

ア ホースの押し輪の幅に合うようにカットする。 ※怪我に注意
イ カットした塩ビパイプに3cm程度の切り目を入れる。
ウ やすりをかけて角を取り除く。 ※怪我に注意
エ ビニールテープを巻き付ける。

• 取り付け方法

ア 雄金具と雌金具の間にホース誤離脱防止リングを取り付けます。
(写真4)
イ 取り付けた状態。(写真5)

 

004
雄金具と雌金具の間にホース誤離脱防止リングを取り付ける

 

005
ホース誤離脱防止リングを取り付けた状態

 

4 注目してほしいポイント

今回、私が注目していただきたい使用方法は3つあります。

(1)あらかじめ取り付けておく

1つ目はホースカーに積載するホースの結合部にあらかじめ取り付けておくことです。ホースカーを使用したホース延長では結合部の確認を必ず行っています(写真6)。そこでこのホース誤離脱防止リングが付いていれば結合が外れる心配もなく安心してホース延長をすることができます(写真7)。

(2)テープを貼り番号を付ける

2つ目はビニールテープを取り付けることです。京田辺市消防本部では各署のイメージカラーが決まっています(写真8)。その色ごとにビニールテープを変えることで現場活動中にどの小隊がどのホースラインを使用しているのか一目瞭然になります。またホースを離脱したい際にもビニールテープを引っ張ることによって簡単に離脱することができます(写真9)。さらにビニールテープに番号を記入しておくことで何本ホースを延長したのか確認が簡単にできます(写真10)。

(3)不安に思う箇所に使用する

3つ目は通水した勢いで結合部の金具が階段の段差や建物の角、突起物等にぶつかってしまいホースが離脱することを防ぎます(写真11・12・13)。ホース誤離脱防止リングをたくさん用意できない場合はホースカーなどで携行して不安に思う箇所にのみ使用することも可能です。

 

006
結合部の確認時にホース誤離脱防止リングが付いているか確認する

 

007
リングが付いていれば安心してホースを延長できる

 

008
各署のイメージカラーに合わせてテープを貼る

 

009
ビニールテープを引っ張ればリングが外れる

 

010
番号を記入すればホースの延長数を簡単できる

 

011
リングは階段の段差や建物の角、突起物等にぶつかってホースが離脱することを防ぐ

 

012
ホースが離脱しやすい場所。階段の段差

 

013
ホースが離脱しやすい場所。建物の角

5 おわりに

今回は「ホース誤離脱防止リング」の紹介をさせていただきました。この資器材を使用することで安全・確実・迅速に現場活動を行うことができます。また小さな資器材ですが市民の生命・身体・財産を守る大きな力になる資機材であると思います。
日々の生活や業務から得たヒントやきっかけから消防の業務を改善することがが今後の消防人生に活きていくと感じました。
今回、紹介させていただいた資機材が現場活動や訓練の参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

             プロフィール

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氏名 福井 佑都(ふくいゆうと)
所属 京都府 京田辺市消防本部
出身地 京都府京田辺市
消防士拝命 平成30年4月1日
趣味 泳ぐこと 旅行

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