210522応急処置アップデート the movie (7) 骨折時の固定法

 
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基本手技

雑誌 健康教室 2020年10月号p50-51

応急処置アップデート the movie

(7)骨折時の固定法

今回は骨折の固定です。いつもお世話になっているM先生にアドバイスをもらい、保健室で経験しやすい上腕と下腿の骨折に絞って動画を撮影しています。

 

東山書房 / 『健康教室』2020年10月号「応急処置アップデート THE MOVIE」#07

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今回はソフトシーネを用います。 シーネがない場合には雑誌や傘など固くて長いものを副木として使用します。

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シーネを、当てる部分に合うように折り曲げます

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包帯を巻き、シーネを固定します。その際には指先を必ず露出させます。指先の色が悪くなったり腫れてきたりするようなら固定がきつくて循環障害を起こしている可能性があるので適度なキツさに巻きなおします。

 

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三角巾で固定します。腕を吊り下げるだけではまだ痛いようなら、包帯でシーネごと体感に固定します。

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固定後に痛みが増強するようであれば固定を解き、もとの状態に戻して救急車が到着するのを待ちます。

目次

骨折の固定 アップデート

1.固定の目的

現場での固定の目的は

・悪化を防ぐ(図1)

・痛みの軽減

の二つです。

図1

固定することで血管や神経が折れた骨に刺ささることを防ぎます

 

固定の原則は

・そのままの形で固定する(図2)

図2

固定の原則は「そのままの形で固定」

 

固定することによって状態を悪化させたり痛みが増したりするようなら固定せずに救急隊の到着を待ちます。

2.短時間なら固定不要の場合も

救急車の到着時間も考える必要があります。例えば、大腿骨が複数個に折れ、足がありえない方向に曲がっている場合。学校内の事故で救急車が5分程度で来るなら固定をせずにそのまま動かさないよう命じ、救急隊に固定を任せましょう。しかし野外授業で救急車到着まで30分以上かかるのでしたら、不用意な動きでの損傷を避けるために固定すべきです(図2)。

3.血圧が下がる

骨折すると内出血が起きます。血管の中の血液が足りなくなるので正常人では心拍数が増加し循環血液量を保とうとしますが、さらに出血すると血圧が下がってショック状態になります。

内出血量は、老人に多い大腿骨頚部外側骨折で790mL、大腿骨頚部内側骨折(関節内骨折)で581mL 1)、骨盤骨折のうち安定型では476±535mL, 不安定型では1,005±649mLの出血があるとされています 2)(図3)。ですので、骨折部だけにとらわれず、ショック状態にならないかしっかり観察してください。

 

図3

骨折と出血量

文献

1)Clin Interv Aging 2016;11:1539-43

2)Ann Transl Med 2016;4:366

 

 

次回は止血法です

 

 

監督

原口良介(はらぐちりょうすけ)

hataguchi.jpg

唐津市消防本部消防署救急第一係

消防士長

消防士拝命:平成21年4月

救命士運用:令和元年7月

趣味:カメラ、動画編集

 

玉川進(たまかわすすむ)

医学監修・解説

玉川進(たまかわすすむ)

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旭川医療センター病理診断科

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