近代消防 2025/04/15 (2025/05月号)p42-4
加古川消防式トリアージタッグ
兵庫県加古川市消防本部
小山真弘
目次
1.はじめに
当本部では令和3年度から多数傷病者対応に関する活動要領の改正について検討を始めました。これに併せてトリアージタッグの仕様について見直しを図りました。地元企業協力のもと開発を行い、令和5年度からこの「加古川消防式トリアージタッグ」の運用を開始しています。
2.加古川消防式トリアージタッグ
1枚目(001)、2枚目(002)、3枚目(003)、4枚目(004,005)の4枚綴りです

001
1枚目

002
2枚目

003
3枚目

004
4枚目

005
4枚目の裏
(1)特徴
・指揮本部用のタッグを追加
・チェック方式。記入は最低限
(2)1枚目(006)

記入に必要な箇所は色付けをしています。記入時やトリアージタッグの確認時に目線の動きが最小となるよう、レイアウトを設定しました。
上段の個人情報記入欄は太枠で囲っています。これで傷病者が自身で記入する時にこちらが指示しやすくなります。
中段にSTART法による区分の根拠を記入することで、例えば二次トリアージを行い症状が過換気のみであった場合、一次トリアージで赤とした根拠が呼吸回数であったことが分かるなど、二次トリアージでの軽症化・重症化の判断材料とすることが可能となりました。
下段には一次トリアージのフローチャートを明示し、トリアージに不慣れな救急隊以外のものであっても、対応できるようにしました。
(3)2枚目以降(007)

記入の必要な箇所は色付けし、明示しました。また、災害現場におけるトリアージタッグの流れを最上部に明示し、切り取るタイミングのイメージが訓練を積まなくても容易となりました。
そして2回目、3回目のトリアージ実施時の記入箇所は、必要な部分の文字を太字にすることで、さらに分かりやすくしました。
(4)裏面(008)。

従来のものは自由記載の部分が多く、記入に統一感がなく、必要な情報について、記入漏れが散見されていましたが、誰が記入しても統一した内容となるようにしました。
トリアージ実施時刻、実施場所から始まり、意識ABCの順番に記入するようにしました。バイタルサインの記入は数字のみです。
さらに二次トリアージで赤と区分した根拠をチェック方式で記入するようにすることで、回を重ねたトリアージを行う際、誰が見ても傷病者の情報を把握しやすく、救護所における傷病者管理も容易となりました。
3.開発の経緯
従来のトリアージタックの問題点は
・トリアージタッグの枚数に応じた記入箇所が分かりにくいため記入漏れが多い
・実施機関を記入する箇所など、記入に時間のかかるものが多く、訓練を積まなければスピーディーなSTART法ができない
・従来の3枚綴りは「災害現場用」、「搬送機関用」、「医療機関用」の3種類しかない。搬送を開始するまで指揮本部の手元にある1枚目のトリアージタッグは一次トリアージの結果しか記入がないため、二次トリアージ後の傷病者情報を指揮本部に集約するためには、救護所と指揮本部との間で多くの情報を交換する必要があった
「加古川消防式トリアージタッグ」では二次トリアージ後の傷病者情報が指揮本部で集約することができるよう、4枚目のタッグとして指揮本部用を新たに追加することとしました。次いで、「いつ・誰が見ても使用でき、記入に時間を要しないもの」に改良することとしました。
4.使用感及び改善点
指揮隊・消防隊・救助隊・救急隊の合計150人を対象にアンケート調査を行いました。
(1)使用感(009)

84%の職員が「使いやすくなった」と回答しました。その理由として、「経験の浅い職員が初見でも使用できそう」「各場面で記入すべき箇所が色付けされ使いやすい」「観察項目がチェック方式で記入に時間を要しない」などの意見がありました。
(2)改善点

65%の職員が「改善点はなく、このままでよい」と回答しました。
反対に「改善点はある」と回答した職員の意見として、「1枚目にSTART法のフローチャートがあるため、傷病者を救出する際に、トリアージ区分の確認が一目でわからないことがある」、「他機関と連携活動を行う場合、使いこなせるかどうか懸念がある」などの意見がありました。また、「もっと使い込まなければ改善点が分からない」と回答した職員もありました。
5.最後に
「加古川消防式トリアージタッグ」は「いつ・誰が見ても使用でき、記入に時間を要しないもの」という点については、一定レベルの水準はクリアできたのではないかと考えます。しかし、オリジナルのトリアージタッグを使用するということは、「実災害において、他の消防本部や医療機関などと連携した活動が必要となった場合、機能するのか」といった点が懸念材料として残る結果となり、全国統一の様式を検討する必要があると強く感じました。
これらを踏まえ、今後は引き続き使用を積み重ねることで改善点を模索し、「加古川消防式トリアージタッグ」が全国標準式と言われるよう、完成度を高めていきたいと考えています。
ご案内
加古川市消防本部では「加古川消防式トリアージタッグ」を広く普及させたいと考えております。詳細についてのお問い合わせは 当消防本部救急課 電話 079-424-0119 までご連絡いただけると幸いです。

プロフィール
名前 :小山 真弘
読み仮名 :こやま まさひろ
所属 :加古川市東消防署野口分署
出身地 :兵庫県加古川市
消防士拝命年:平成23年
救命士合格年:平成29年
趣味 :スポーツ観戦、ゴルフ、読書


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