260220_VOICE#113_未来の笑顔への挑戦

主張

月刊消防 2025/06/01, 47(06)通巻552、p79

月刊消防「VOICE」

 



題名:未来の笑顔への挑戦

令和6年8月8日、消防局事務室で執務中、全員の携帯電話が鳴り響く。平成28年熊本地震以来の経験だ。携帯電話の緊急地震速報とほぼ同時に大きくゆっくりとした横揺れが私達を襲った。熊本地震の余震?別の震源地?すぐにテレビを点けたところ、目に飛び込んできたのは宮崎で震度6弱、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)という耳慣れない言葉が飛び交う。私が所属する部署は、緊急消防援助隊派遣等の業務の主管課であるため、緊張感に包まれる中、当局を含む熊本県へ出動準備の依頼があり、対応にあたっていたが派遣には至らなかった。

その後、業務を終え自宅に帰り、当時の様子を妻に聞いたところ、地震発生時は妻と次男が家にいて、携帯電話が鳴り響き動揺したものの、揺れが収まってから、屋外に避難したとのことであった。周りを見渡すと、屋外に避難していたのは妻と次男だけ・・・もちろん大半の方が仕事などの理由で不在であったのかもしれない

私の住まいは、平成28年熊本地震で震度7を2度も観測した益城町である。それにもかかわらず、熊本地震から8年が経過し、地震への関心が薄くなり、地域における避難訓練等の取り組みが少なくなってきているように感じる。もちろん総務省消防庁を中心に今後発生し得る巨大地震に対応すべく消防力の充実強化は年々進められている。はたしてそれだけで住民の笑顔は守れるのか、地元の人達の強い結束力がもっと必要ではないのか。

熊本地震発生当時、私は中央消防署の特別高度救助小隊の隊員で5時間を超える救助現場を含む、数多くの救助現場で活動した。その中で、住民に対する声掛けや消防団との連携などもっとやれたことがあるのではないか。今考えると現場に対応する警防隊に所属していた時は、災害が発生した後の対応ばかりを考えていたように感じる。警防隊であればそれが当然なのかもしれないが、今後予測されている災害は私達の想像をはるかに超える規模で発生する可能性がある。私達には想定外という言葉は許されない。さらに、自然災害を未然に防ぐことはできない。しかし、発生した災害から一人でも多くの命を救い、被害を最小限に食い止める術は、準備することができる。

これらの課題をトータル的に改善していくためには地元に根強い消防団との連携を図り、ハード面のみの充実ではなく、ソフト面も充実していくことこそが今後重要となっていくと強く感じている。幸い、現在私がいる部署は、消防団全般に関する業務を行っている。まだ日勤1年目の私には、1つずつ仕事を覚え、早く1人前になることが求められる。そして2年目は、守りたい笑顔のために挑戦の年となる。

小形圭史(おがたよしふみ)
熊本市消防局警防部警防課消防団班
出身地:熊本県天草市
消防士拝命日:平成12年4月1日
階級:消防司令補
趣味:スポーツ観戦
主張
スポンサーリンク
シェアする
opsをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました