260216救急隊員日誌(250)とある日の会話

救急隊員日誌
月刊消防 2025/06/01, 47(06)通巻552号 p78
ラーメンおじさん

長い勤務が終わった。今も出動続きで、疲労困憊である疲れた体を癒すには、やっぱりラーメンしかない。

私「今は行くぞ」
同僚「おう、もうそのつもりで準備してた」
私たちは前から気になっていた朝からやってるラーメン屋へ向かった。暖簾をくぐる醤油の香ばしい香りがふわっ鼻をくすぐる。席につき、迷わず特製醤油ラーメンを注文。程なくして、湯気を立てる一杯が目の前に置かれた。

私「やっぱりこの瞬間が最高だな」
同僚「このために頑張ってる言っても過言じゃない」
レンゲですくい、スープをひ口。魚介の旨みが体に染み渡る。疲れた体に、この一杯はたまらない。麺をすすりながら、ふ同僚が言った。

同僚「ラーメンってさ、救急活動に似てるよな?」
私「また変なこ言い出したな」
俺が笑う、同僚は真顔で続ける。

同僚「考えてみろ。まず、ラーメンを作るのは々の訓練だ。最高の一杯を提供するために、職人は何度も試行錯誤を重ねる。俺たちも同じだろ? 訓練を積み重ねて、現場で最高の活動を提供する」
私「ほう?」

同僚「で、注文が入るのが救急要請だ。オーダーが来たら、職人は全力で一杯を作る。俺たちも、要請が入れば全力で現場に向かい、最善を尽くす」
私「なるほどな」
同僚「食べてもらうのは、現場での処置判断。職人が手間ひまかけた一杯を客が味わうように、俺たちが積み重ねた知識技術が、傷病者の命を左右する」
私「確かに」
同僚「そして、完食してもらうのが病院への搬送だ。ラーメンは最後の一滴まで味わってもらってこそ完成する。俺たちも、傷病者を観察して処置して適切な医療機関に搬送して、ようやく任務が完了する」
私「でも、一つだけ違うころがあるな」
同僚「ん?」
私「ラーメンはまた食べに来てほしいけど、救急要請はリピートして欲しくないな」
同僚「……確かに!」
私「搬送した傷病者には、後遺症なく常生活に戻ってほしいからな。」
同僚「それが一番だな」

私たちは笑いながら、ラーメンをすすった。勤務中は緊張の連続で、人の命を預かる以上、ミスが許されない仕事だ。でも、勤務以外でのこういうくだらない話が、々の疲れを癒してくれる。
スープを飲み干し、丼を空にする。私たちは満足げに店を後にし、の勤務に備えるこにした。

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