月刊消防 2025/11/01, 47(11)通巻557号 p78
ととのう
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今年の夏は本当に暑かった。しかも、40℃を越える日まであった。気温が体温を超えると、外に出ているだけで「これは修行か」と思うような感覚になる。
じっとしていても汗が噴き出し、体が勝手に熱を放散しようとする。そんな環境の中で現場活動をすれば、防火衣や感染防止衣に包まれてさらに体温は上昇する。まさに体力と精神力の勝負だ。
自分はサウナ好きで、唯一の趣味とも言える。勤務日以外は、ほぼサウナに通っている。そんな中でふと考えた。「サウナのおかげか、他の人より暑さに強いのではないか?」と。
たしかに、周囲が暑い暑いと言っていても、「サウナに比べれば」と思ってしまう。
気になって調べてみると、サウナが暑さへの耐性を高める、つまり「暑熱順化」に寄与するという研究があることが分かった。
例えば、運動後に高温サウナへ定期的に入ると、体温の上昇が抑えられたり、安静時の心拍数が下がったり、発汗量が増えたりするという。
体が効率よく放熱し、熱をコントロールできるように適応している証拠だ。
さらにフィンランドの大規模研究では、週4~7回サウナに入る人は、週1回だけの人に比べて脳卒中や認知症のリスクが大幅に低下するという結果が示されている。
つまり、サウナは単なるリフレッシュの場ではなく、心身の健康を守る生活習慣としても働いているのだ。
「サウナで暑さに強くなっているのでは?」という私の直感も、あながち的外れではなかったわけである。
消防の世界でも「暑熱順化訓練」が行われている。炎天下での走行や放水訓練は、熱中症に注意しながら身体を慣らし、実際の活動に備えるためのものだ。
言い換えれば、現場版の“暑さに体を慣らすトレーニング”であり、サウナと同じ理屈が背景にある。熱ストレスを繰り返すことで体は少しずつ適応し、負担を減らせるようになる。
ただし、サウナにも訓練にも忘れてはいけない注意点がある。大量の発汗は体液を失わせ、血液を濃くする。脱水が進めば血栓のリスクが高まり、せっかく健康のための習慣が逆効果になりかねない。整ったつもりが、血液の方が“ドロドロに整って”しまっては笑えない。だからこそ「汗をかく」と「水を飲む」は必ずセット。水風呂に飛び込む爽快感だけで満足せず、一杯の水をしっかり飲んでこそ、本当に体も心も整うのだ。
私自身、サウナでの「整う」瞬間は特別だ。高温のサウナでじっくり汗をかき、水風呂で一気に冷やす。外気浴で椅子に腰掛け、風に当たりながら深呼吸すると、体の芯からスッと力が抜けていく。耳鳴りのような静けさの中で、頭がクリアになり、不思議と前向きな気持ちが湧いてくる。この「整い」を知ってしまうと、日常の疲れやストレスを忘れ、無心になれる瞬間だ。
結局のところ、サウナでは熱と水風呂のコントラストで「整う」。頭も体もリセットされ、妙に前向きになれる不思議な時間だ。今年の猛暑を乗り切れたのも、この“整い習慣”のおかげかもしれない。
みなさん、来年に向けて、心も体も整える準備を一緒に始めませんか?まずはサウナで一緒に「整う」時間を作ってみて、来年の夏、暑熱順化を体感してみませんか。
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