050704 JPTECの普及は本当に進んでいるのか
JPTECの普及は本当に進んでいるのか
作:うさぎ
今や、全国の津々浦々で毎月のように開催されている外傷セミナーですが、あなたは受講したことがありますか。まだ受講されたことがない方にも、そして、もう受講したという人にも、ちょっとだけ考えてみてもらいたいことがあります。それは「一番大切なことは何か」ということ。
外傷セミナーといえば”JPTEC”と言われるほど、JPTECの活動は広く認知されるようになりました。また、その活動の担い手として、JPTECのインストラクターやプロバイダーと呼ばれる人達も、その存在がそれぞれの地域や職場において認識をされはじめています。「防ぎ得た外傷死」を撲滅するという崇高な目標のもとに、献身的な活動を精力的に続けている彼ら彼女らに対して、称賛する声も一部から上がっています。そのような活動を行っているということは、誰の目から見ても立派なことと写るでしょう。ただ、こんな声が聞こえてきていることも事実なのです。
「うちの職場にもプロバイダーはいるんだけど、自分だけのものっていう感じで、全然教えてくれないんだよねぇ…」
「あの人、JPTECのセミナーとかじゃあちやほやされているんだろうけど、職場じゃちょっと浮いているんだよねぇ…」
あなたの職場にも、JPTECのプロバイダーがいるかもしれません。もしかしたら、インストラクターの資格を持つ人がいるという職場も、結構あるのかもしれませんね。そういった環境にある職場では、さぞかし熱心に訓練がなされていて、職員のスキルも高められていることであろうと、普通なら考えられるところです。しかし現実には、そうではない職場が多いそうです。なぜなんでしょうか?
せっかく外傷セミナーを受講してきたのに、現場でそれを生かすことができないのでは何の意味もありません。一番大切なことは何か、それはセミナーで学んだことを実践していくこと、そしてその結果として、救える可能性のある命をできる限り救うことです。そのことを実現していくためには、職場において、まず職員間の訓練を実施していく必要があるはずです。でもこれが、どうも上手くいっていないという話をよく耳にします。どうしてなのでしょうか。そこには、性質を異にする2つの問題がその原因として存在するようなのです。
1つ目の問題、それは、職場の上司や同僚の理解がなかなか得られないがために、職場においてJPTECに沿った活動を行うことができない、また、その前段階で、JPTECのインストラクターやプロバイダーの資格を持つ者が、他の職員に対して外傷セミナーなどで学んだことを広めていくことができないという問題です。残念なことですが、この問題はそう簡単には解消することができません。しかし、次に挙げる問題についてはどうでしょうか。一人一人に考えてみてもらいたいことはこのことなのです。
インストラクターやプロバイダーと呼ばれている人達の中に、こんな人はいませんか。指導をする側にいるということに”優越感”を抱いてはいませんか。あなたの仲間は、そんな心を敏感に感じ取っているはずです。自分は知っている、自分はできる、ということだけで”自己満足”に終わってしまってはいませんか。あなたの仲間は、そんなあなたに失望しているのかもしれません。自分は正しいんだと”独善的”な考えに陥ってはいませんか。ひとりよがりな人間を、仲間として受け入れることができるでしょうか。競うようにしてインストラクターを目指すことだけに、精力をそそぎ込んではいませんか。やるべきことが疎かになっているとしたなら、それが一番の問題だと思うのです。
最後にもう一度、考えてみて下さい。自分の方向性が正しいのかどうかを。
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