140809世話好きな通報者

 
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140809世話好きな通報者

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140809世話好きな通報者

作)ゆうたん

 「○○さんのところの旦那さんが具合悪いようなので、病院に連れていってあげて下さい。私は頼まれて通報しているので状況は分かりません。」

 頼まれ通報は珍しくはないが、うちの町には困った通報者がいる。

 80代前半の元気な男性で、ある町内会の役員をしている世話好きな人だ。

 何事も嫌な顔一つせず引き受けてくれるらしく、その町内会は高齢者が多い地区でもあり、かなり頼りにされているようである。我々から見ると、少しお節介なように見えることも多いのだが、他人の為に何かをしてあげることが嬉しいようで、いつもニコニコしている。

 そんな男性だが、我々にとっては少々厄介な存在である。

 ある時は、この男性の通報で駆けつけると、「救急車を呼ぶつもりはなかったのに」と、少し困り顔な傷病者に出会い、またある時には、「救急車は頼んでいない」と、何故か我々が怒られたこともある。時には、「わざわざ救急車で来て下さってありがとう」と、恐縮する位感謝されることもある。

 町内会の役員をしていることから、地区の住民宅にはよく顔を出しているそうだ。また、電話で一人暮らしの高齢者の家に、頻繁に様子を伺う電話をしてうるらしい。その活動自体は素晴らしいことではあるのだが、その際に健康に関する相談等をすると、「よし!俺が救急車を呼んでやるから病院で診てもらってこい」となるようである。

 通報者として現場に居れば良いのだが、訪問ではなく電話で様子を伺う際に相談された時に多いようで「最近ちょっと身体の様子が気になって・・・。」と電話で話をしただけで傷病者が知らぬ間に要請があった場合などは、救急車がサイレンを鳴らして家に到着すると、傷病者も困っているようだが、我々も困ってしまう。何しろ主訴がほとんど無かったり、明らかに救急車の必要が無いことが多いからである。中には「うちでは救急車を呼んでいない」と驚かれることもある。

 「先日足をくじいて、歩くときに痛みがあって少し不自由。」
 「風邪をひいていて、数日寝込んでいて身体が少しだるい。」
そんな話を電話ですると、「○○さんの家で足を怪我した人がいるので・寝込んで動けない人がいるので、救急車で病院へ連れていってあげて下さい。頼まれているので、状況はわかりません。」という通報になるようである。

 その地域での通報の数割はその男性からではないかと思われるほどなので、中には本当に発見が早くて良かったということもあり、そんな際には「やはり自分が通報してあげてよかった」となるようである。

 過疎高齢化が深刻な地域では、このような世話好きな人の存在は非常に頼もしいものなので、我々も強くは指導できずにいる。

 通報時に、この男性の声を聞いただけで「あの地区からの通報だ」と分かる今日この頃である。
 


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14.8.9/4:38 PM

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