090709手を握って欲しい♪
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090709手を握って欲しい♪
作)マイミク
先日の勤務の時、もう少しでゲィに目覚めるところでした。
現場に行くと、上着と首筋に血をつけた青年が座っていました。あーこいつ、少し危なくて、ヒッキーな青年だなって、マイミクの独り言。
「大丈夫か?」って問うと、「はい」と返事をして、50メートル先の自宅まで小走りで逃げる。
「おーい」と追っかける、若い隊員二人。
マイミク、見ていた人から状況を聴取して、ぶつけたと思える、看板の基礎部分のコンクリートを携帯カメラで撮影。
聴取したところ、スケートリンク状になっていた駐車場を小走りで滑って転倒し、頭をコンクリート製の基礎部にぶつけたとのことであった。
とりあえず自宅に向かい、頭部の挫創の止血処置と被服、病院に行く事を説明し保険証などを持参してもらい、救急車に同乗を求める。
「おまえ、走って行ったら、あぶないべ。だめだよ。なしたのよ?」って聞いたら、
「救急車を見た瞬間、怖くなった。また、保険証を取りにいかないとだめだと思った」
との返事だった。
病院についたら、医師と看護師に状況の説明と、現場の写真を見せる。
写真をみせたら、医師も看護師も納得する。我ながらさすがと自画自賛する。
看護師に縫合処置をするので、麻酔と処置の協力を依頼され身体の抑制をした。
この患者、過去にも目の下を切り、縫合時の麻酔で暴れたらしい・・・
「おーいこれから、麻酔打つから。少しチクッとするから、あとは縫って終わりだ。その前に少し自慢のロンゲ剃るからな。」
「髪剃るんですか?はげるの嫌だな・・・・」って
「おまえの剃られるのはごく一部、ほら俺の頭見れ、全部剃られているんだぞ」って帽子を脱ぎマイミクのハゲ頭を見せる。医師も看護師も笑って、仕事にならない。
さらに会話で和ませる作戦に出た。医師に合図を送り注射するように促した。
「兄ちゃん、ゲームか?アイドルか?パソコンか?普段何やっているんだ?」
無職の少年には趣味の会話が一番だろうと思った。
「ネットが好きで、一日中パソコンに向かっている。ファイターズが好きだ」と答えた。
さらに「マイミクさんの写真もネットで見たことあるよ」って言われて、照れてしまった。
会話も弾み先生が麻酔の注射をしようとした。
「あのーマイミクさん、手を握って欲しい」と23歳の男に言われた
「あーどうぞ♡」久しぶりの手を握る感触、しかも相手は男・・・・
声かけをして、手をつよく握る。相手も痛いのをがまんして強く握り返す。
涙もよだれも出てきた。さっと拭いてあげる。
彼女のことをいたわって、激しく抱いた遠い昔を思い出した♪
縫合処置も無事におわり、兄ちゃんに話して消防に戻ることを告げた。
兄ちゃんは何度も、「どーもどーも」を繰り返した。
処置もおわり、病院の帰りに、消防に顔を出してくれた。
頭は包帯でぐるぐる巻きにされていた。
また、「どーも、どーも」を繰り返していた。
「兄ちゃん、気をつけて歩けよ。人生は躓いてもいい。またそこから起き上がって次につなげればいい。しかし、道にはつまづくな、怪我するからな。親には、苦労はかけても迷惑はかけるなよ。それから自分らしく、一度の人生楽しめ。遊んでもいいけど、本気になるな。」
って言いたかったけど、言える訳もないので、マイミクの心に響かせ、自分にそういい聞かせた。
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09.7.9/10:36 PM
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