091224言葉の難しさ

 
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091224言葉の難しさ

作)たんぽぽ


100207匂い 091224言葉の難しさ 090707常連さん 070810別れの時間


メールいただきました(09-12-25)

 意識状態は3桁と悪かったものの、一過性の脳虚血だったらしく・・・とありますがTIAでは意識消失は定義には入っていません。椎骨脳底動脈系のTIAであれば確かに意識消失はあるでしょうが、そのほかに神経学的所見があるのではないでしょうか。

 今回の場合は意識消失時間が長いようなので失神よりは意識障害として扱った方が無難かもしれません。


 ある日の出動。帰署後しばらくして、通報者である関係者から一本の電話がありました。署長が対応している様子を見ると、どうやら平謝りしているようです。「さっきの活動に誤りはなかったはず、なんだろう?」不安だけが頭をよぎります。

 正午頃の救急要請でした。友人の家に遊びに来ていた70代女性が、急に意識を失ったというものでした。現場に到着すると、意識状態は3桁と悪かったものの、一過性の脳虚血だったらしく、観察を始めしばらくすると意識状態も改善。そんな状態なので、特に活動も難しくはなく、直近の診療所へ搬送し帰署したものでした。

 電話を終えた署長は、渋い顔をしています。「関係者が言うには、救急隊が来た時に、もうこの人は駄目だと言っていたと訴えている。そんな言葉は現場で救急隊は絶対に言う事はないと伝えたが、納得してもらえなかった。かなり先方は怒っていたが、事の真意はどうなのか?」と問われました。

 思い当たる節が一つだけありました。現場到着時に、バイタルを測定しようとしていた隊員がもたついていました。問えば携帯用血中酸素飽和度測定器の電池が切れているそうで、その場で電池交換をしようとしていたのです。「もうその電池が駄目なら、手を掛けなくていいから、早く車内収容しろ。」と指示しました。その一連の言動を勘違いされたようです。

 後日、その関係者と街中で会う機会があり、気になっていたので詳しく話を聞いたところ、やはりその隊員とのやりとりを「この傷病者はもう駄目だから、すぐ運んでしまえと言っていたように聞こえた。」との事でした。その誤解は、状況をきちんと説明した事で無事晴れました。

 我々救急隊としては、ごく普通の隊員間でのやりとりでしたが、関係者にとっては、言葉の一節だけが耳に残って、おかしなイメージになっていたようです。現場で傷病者や関係者と接する時には、いつも以上に言葉と態度には気を付けていたつもりでしたが、言葉使いの難しさに気付かされた一例でした。

 救急現場等私たちが働く現場は、我々にとっては、慣れてしまえばごく当たり前の日常の業務の一つでしかありません。しかし、要請する人にとってみては、いつもの日常とは違う全く異質な時間が流れており、精神的にも非常に神経質になっているのをよく目にします。何度同じ説明をしても、言葉が耳に入ってないような関係者も居ます。逆にこの事例のように、言葉の一節だけが強烈なイメージとして残る人も居るようです。

 なるべく現場で傷病者や関係者に接する時の言葉使いには、気をつけるようにしていたつもりでしたが、この関係者に指摘されたように「駄目」という言葉が耳に残った場合を考えると、もう少し言葉を選ぶべきだったのかと反省してしまいます。今はネット社会でメールのやりとり等で、言葉が軽くなったとも言われていますし、ネット上での言葉の行き違いでトラブルになったのもたくさん見ています。

 言葉の難しさを痛感する日々です。


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10.2.7/4:35 PM

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