130525ペット

 
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作)みいたん

 ペットといえば犬や猫がすぐに想像出来、家族同様に飼っている家庭も数多く目にします。しかし、犬嫌いや猫嫌いの人が存在しています。

 ある日の夕方、50代男性の意識が悪いという通報がありました。通報があった家の人は消防と面識が多く、室内犬を数頭飼っているということは皆が知っていましたが、その日は誰もが犬嫌いと認める後輩が隊員でした。

 現場へ到着しましたが、「私はあとから資器材を持っていきます。」と隊員。極度の犬嫌いは分かっていたので、外で待機していても良いと指示を出して家の中へ入りました。

 玄関に入ると、普段とは違う雰囲気を感じているのか、吠えながら走り回っている室内犬がウロウロしています。家の住人ではない私たちを侵入者と思ったのか、今にも飛びかかってきそうな勢いで救急隊へ向かって吠えてきます。犬にも「救急隊が来たので安心ですよ。」と声をかけながら居間に向かいました。

 居間では傷病者が床の上に仰臥位で倒れています。意識状態を確認しようとしますが、倒れている主人に近づいた私に向かって、室内犬が今にも飛びかかってきそうな勢いで吠えてきます。その鳴き声で呼吸の状態もよく聴き取れない程です。傍にいた家族に犬を離してもらうようお願いしますが、興奮した様子の犬はなかなか言う事を聞いてくれないようで手間取っています。酸素投与をしようとしましたが、すぐ傍らを犬が走り回る状態のために断念します。

 喧騒の中、意識状態が二桁と確認出来なんとかバイタルも取れ車内収容ですが、傷病者は体格がよく、どうしても外で待機している隊員の力が必要です。まだ全ての犬が隔離されてはいませんでしたが、意識状態も悪く酸素投与を早期に行いたいため、隊員を呼びよせました。

 ストレッチャーを持ち家に入ってきた隊員を見た犬は、見慣れないものを見て更に興奮したのか、隊員に向かって激しく吠えだしました。隊員の顔は真っ青で今にも泣きだしそうに立ちつくしています。程なくして全ての室内犬が隔離され、青い顔をしていた隊員もなんとか活動を再開しますが、犬は吠えることを止めず、その鳴き声のためか隊員は大きな汗を流していました。

 周囲の安全を確認した後に傷病者に接触するのが原則ですので、傷病者の状態がやや切迫していたとはいえ、救急隊に危害を及ぼす可能性があった室内犬がウロウロしていた状況で活動を継続したことが反省点となりました。

 今はペットも多種多様で、僕が嫌いな爬虫類系のペットがもし家の中にいたらと考えると、背中を冷たいものが走ります。


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13.5.25/1:02 PM

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