151106女性救命士として教育現場で働く立場から

 
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シリーズ 救命の輪をつなげ!女性救命士

第5回

女性救命士として教育現場で働く立場から

佐々木 千紘(ササキ チヒロ)
sasaki.jpg
生年月日:1987年4月19日(27歳)
出身地:岩手県
救命士取得:平成21年4月
就職:平成21年4月~現在  湘央生命科学技術専門学校救急救命学科
趣味:ドライブ、野球観戦
特技:書道

 


シリーズ構成

冨高 祥子(とみたか しょうこ)
会津若松地方広域市町村圏整備組合消防本部 会津若松消防署


はじめに

湘央生命科学技術専門学校は神奈川県綾瀬市にあります応用生物科学科(バイオコース/動物看護コース)と救急救命学科からなる専門学校です。同敷地内に湘央医学技術専門学校臨床検査技術学科、沖縄県に浦添看護学校第一・第二看護学科と沖縄アカデミー専門学校介護福祉学科を有しており、学校法人湘央学園として総学生数800名を越える医療従事者の養成を行っています。『生命を尊重する、人間性豊かな専門職業人の育成』を建学の理念とし、『愛・智・技』の校是のもと質の高い技術と豊富な知識はもちろん、人や動物に対して優しさや気配りといった思いやりのある専門職業人の育成に努めています。救急救命学科は平成5年に設立され、救急救命士養成校としては本州で最も古い学校です。平成18年4月からは2年制から3年制への変更も経て、今年の3月で19期生約700名の卒業生を全国に輩出している歴史ある学科です。

写真1
救急救命学科の学生たち

救急救命士を目指した理由

高校3年の4月頃、消防士である父と進路について話をしている時でした。当時、私の出身である岩手県には2名の女性消防官が在職していましたが、2人とも救急救命士の資格は持っておらず、「救命士の資格があればもっと活躍する場があるかもしれない」という父の一言から救急救命士に興味を持ちました。それまでは養護教諭になることを目指していましたが、進学先検討中に、家の近くの川で溺水事故があり、そこに救助に来た父の姿を見て、普段の楽しい父とは違い、真剣な顔つきで危険な現場へ向かう姿は本当に格好良く、尊敬と憧れを抱き、救急救命士として父のような消防官になりたいと思いました。進学先は高い国家試験合格率と臨床で活躍されている救急医が講義されるという点、実習施設に恵まれている点から現在の職場である湘央生命科学技術専門学校救急救命学科を志望し、救急救命士を目指しました。

写真2
私の講義風景。ここでは心臓の解剖整理を教えています。

救急救命士として教員へ

父に憧れて消防官を目指し進学した私ですが、在学中に現役救急救命士の話を聞く事で体力面や結婚・出産し育児との両立など、やはり女性の救急救命士が現場で働くのはとても大変な事だと思い知らされました。病院で働くことや看護学校への進学も考えましたが、決断するまでには至らず、進路について悩んでいたところ、当時の担任の先生に「うち(湘央)で働いてみないか?」と声をかけていただきました。最初は迷いましたが、もともと“先生”という仕事には興味があったので、やってみる事にしました。
平成21年4月に救急救命士の資格を取得し、湘央学園へ就職。3年間の実習助手経験と教員研修などを経て、平成24年度から専任教員として働いています。

写真3
現場ですぐにでも活躍できる人材を育成するのが目標です

救急救命士の育成

本校の救急救命学科は1クラス40名という少人数で担任制をとっています。生徒1人1人とコミュニケーションがしっかりとれることでお互いの信頼関係も築く事ができ、またフォローアップ体制もとれることが高い国家試験合格率を出せる要因の1つだと思っています。私は少しでも多く学生と接する時間を確保し、それぞれにあった学習方法や生活の仕方を一緒に考え、提供できたらと考えています。また、教員としてだけでなく先輩として同じ視点に立ってアドバイスする事で少しでも役に立てたらと思っています。
湘央の救急救命学科は『現場ですぐにでも活躍できる人材を育成する』ことを目標にしています。そのためには『知識・技術・経験』が必要だと考えます。3年間の中で知識や基本技術を得ることは可能ですが、経験は習得できません。そこで、経験を補うために『思考力』をつける訓練を行っています。基礎実習だけでなく民家や屋外を使った実地訓練を通して1つ1つの言動に意味を持たせ、偶発的な判断でなく根拠に基づいた判断ができるよう日々訓練しています。しかし、経験に勝るものはないと実感しています。民間養成校の卒業生は基本的な知識・技術は持ち合わせていますが、採用された消防本部において、現役の救急救命士による現場で活きる知識と技術のご指導により、第一線で活躍できる救急救命士になれるものだと思っております。

写真4
根拠に基づいた判断ができるよう日々訓練しています

最後に

私は教員として、これからますます飛躍していくであろう救急救命士の育成に携われることに誇りを持ち、より優れた救急救命士を各機関に輩出できるよう日々精進していきたいと思っております。
また、本学の救急救命学科へ協力いただいている各消防機関、病院施設の皆様には心より御礼申し上げます。今後とも救急救命士の育成に多大なるご指導を承りますようお願い申し上げます。


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15.11.6/5:34 PM

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