手技53:ログロール以外のバックボードへの収容法

 
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基本手技

手技53:ログロール以外のバックボードへの収容法

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手技53:ログロール以外のバックボードへの収容法

講師:松田幸司

紋別地区消防組合消防署興部支署


 

目次

完全な記事はこちらです。

某検索エンジンに「この記事はアダルトである」と指摘されたための写真を削除しました。男たちが組み合っている写真がまずかったようだ

 

これからも差し止めの写真が出てくるかもしれません

立位からのバックボードへの収容

要救助者は仰臥位や伏臥位など寝ている場合ばかりではない。交通事故の際、自力で車外に出て立位でいることも多くある。その際でも脊椎損傷を疑えば全脊柱固定が必要である。

(写真1)1名の隊員が頭部を保持
(写真2)要救助者の背部にバックボードを用意
(写真3)両側に位置した隊員が要救助者の腋下から腕を入れバックボードをつかむ。ボードをつかむ位置は要救助者の腋下より高い位置をつかみ、要救助者を持ち上げるように保持する。
(写真4)頭部も両側から用手にて固定
(写真5・6)3人でゆっくり倒していく。
不安を感じるので、声掛けが重要である。


ログリフト・ファイヤーマンズリフト

骨盤骨折が疑われる場合や穿通性異物を固定した際などはログロールを行うことにより動揺で悪化させる危険性がある。そのため、ログリフト、ファイヤーマンズリフトやスクープストレッチャーを使用して収容する。

ログリフト

(写真7・8)1名の隊員が頭部を保持
3名以上の隊員で要救助者をまたぎ、持ち上げる。
もう1名の隊員が要救助者の足側からバックボードを差し込む。


ファイヤーマンズリフト

 

(写真9・10)1名の隊員が頭部を保持
4名以上の隊員で要救助者の横側から手を差し込み持ち上げる。
もう1名の隊員が要救助者の足側からバックボードを差し込む。
※上げる際に上げる高さを隊員間で決めると良い。(例、くるぶしまで。〇〇隊員の膝までなど)


3名でのログリフト

ログリフト、ファイヤーマンズリフトの利点はログロールより動揺が少ない。欠点は隊員が多く必要。
通常3名の救急隊で、隊員が多く必要な手技は使用が難しい。そこで3人でリフト出来ないか考えてみた。
(写真11)1名の隊員が頭部を保持
(写真12)要救助者をまたぎ、抱きつくような体勢になり、脇から手を差し込み、頭部を保持し、頭部保持を交代する。(手で頭部を前腕で背中を支える)
(写真13)要救助者の足を持ち上げ、大腿ぐらいまでバックボードを差し込む。
(写真14)腰を保持する。
(写真15)頭部保持者の合図でバックボードが入るスペース分持ち上げ、もう1名の隊員が足側からバックボードを差し込む。
※欠点として傷病者を二人で支えるため、持てる体重に限界がある。救助者、要救助者の体格差によっては使用出来ない。ログリフト、ファイヤーマンズリフトよりは動揺する。密着するので感染防御に問題がある。などが挙げられる。


階段からのバックボード収容

応用として最後に階段からのバックボード収容を紹介する。
(写真16)要救助者状況
(写真17)頭部を保持する。
(写真18)要救助者をまたぎ、体幹を保持する。
(写真19)頭部保持者の合図で要救助者を持ち上げ、バックボードを差し込む。
(写真20)バックボードを出来る限り水平に保つ。

 

↑(写真21・22)バックボード上は滑るので角度が着くと要救助者が滑り落ちる可能性がある。

(写真23)頭部保持者の合図で、要救助者を頭部側に移動。

 

↑(写真24・25)頭部保持を交代し、左右からバックボードを保持。↑

(写真26)活動しやすいスペースまで移動する。

 

終わりに

今回紹介した3名でのログリフト、階段からのバックボード収容は応用の一例である。
この他にも様々な応用法が考えられるが、バックボードへの収容で大切なことは基本のログロール同様、脊椎軸の動揺が最小限になるように、そして安全に迅速に収容することである。
実際の救急現場においては、様々な要救助者の体位(仰臥位や坐位など)、状況(平面、階段、狭隘など)に応じて、収容方法を選択しなければならない。そのためにも普段から様々な収容方法を訓練し、利点・欠点を理解しておく必要があると考える。


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