手技25:外傷症例以外でのバックボードの利用
手技25:外傷症例以外でのバックボードの利用
講師:大井雅博
紋別地区消防組合消防署興部支署
○はじめに
- 外傷の現場において、今やバックボードは必須の器具であり、その有用さは広く認識されているものと思われる。
- 今では多くの救急車に積載され、また救急外来など病院内においても備えられるようになったバックボードであるが、その使用は何も外傷症例に限られたものではない。
- 急病をはじめとする外傷症例以外の傷病者にも「搬送用器具」としてバックボードは十分に活用することができる。
- 非外傷症例において、バックボードを利用する上での利点と欠点について以下に記載する。
○ まずはストレッチャーとの比較をしてみる。
リンク
ストレッチャー(ファーノ社製) バックボード(レールダル社製) 長 さ 199cm 183cm 幅 58cm 40cm 厚 さ 30cm 6.5cm 重 さ 16kg 6.2kg 耐荷重 159kg 1、100kg*
*レールダルのホームページには確かに1トン100kgと書いてある
○利点について
- 大きさ→ストレッチャーと比べて一回り小さく、取り回しがしやすい。住宅内などの狭い空間での搬送に便利
- 重 さ→ストレッチャーと比べてかなり軽い。隊員の負担軽減となる。
- 材 質→非金属製のため搬送の際、戸枠などにぶつかっても傷を付けてしまう危険性が少ない。
- 収 容→ログロールの要領で容易に傷病者を収容できる。
- その他→CPR実施時、蘇生用背板としての機能も果たす。
大きさの比較。バックボードは小さく薄い。
幅が狭く取り周りが楽
ストレッチャーはそれ自体が運びづらい
通常の蘇生用背板
バックボードが背板の代わりになる
リンク
○欠点について
- 固 さ→その固さ故、寝心地はあまりよくない。バックボードの上に毛布を敷くなどの配慮が必要。
- 体位変換→バックボード上では、起座位やショック体位をとらすことが困難である。
- その他→大柄な体格の傷病者ではバックボードからはみ出すことがあり、ストラップによる固定に手間取ることがある。
バックボードでは起座位やファーラー位はできない
○ まとめ
- バックボードは搬送用器具としても有用であり、非外傷症例でも使用できる。
- 搬送経路の状況や傷病者の状態などを総合的に判断して、その時々に最も適した搬送用器具を選択する必要があることは言うまでもない。
コメント