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目次
原著・投稿
ツーウェイチューブ挿入困難の1例〜その原因と対応策について
北海道・留萌消防組合消防本部
中路和也・梅澤卓也・三好正志・柴崎武則・中黒康二・大川寿幸
留萌市立総合病院麻酔科
玉川進
留萌市立総合病院院長
西條登
著者連結先:〒077北海道留萌市高砂町3−6−11
1 はじめに
ツーウェイチューブ挿入時には抵抗を感じることが多い1・2)。抵抗なくスムースに挿入できれば迅速かつ安全な気道確保が可能となる。ツーウェイチューブ挿入困難のためラリンゲアルマスクに切り替えて気道確保した症例を観察し、挿入困難の原因と対策について考察したので報告する。
なお、本症例は、留萌市立総合病院において救急救命士の就業後病院研修時に経験したものであり1,3)、医療行為は医師によってなされた。
2 症例 54歳男性。足関節の手術が予定された。患者には医師が本研究の目的と危険性を十分説明し、ツーウェイチューブにて全身麻酔を行うことを説明し同意を得た。
全身麻酔導入後、レントゲン透視下で患者 の頭頚部側面を観察しながら下顎と舌根を垂 直に持ち上げツーウェイチューブを挿入した ところ、抵抗があり挿入困難であった。これ は食道内に挿入されているチューブの先端が 食道前壁に当たり、直進的ではなく斜めに食 道を押し広げていたためであった(写真1)。
挿入を断念し、ラリンゲアルマスクによる気道 確保に切り替えた。ラリンゲアルマスクはスム ースに挿入でき、換気が確認できた(写真2)。
3 考察(1)ツーウェイチューブ挿入困難の原因について
ツーウェイチューブは、盲目的に挿入できる4)ことが利点とされている。また、ラリンゲアルマスクと比較すると頭位の変換も必要ないことから、救急救命の現場で広く用いられている。しかし、挿入に当たっては抵抗を感じる場合が多い1・2)。
標準タイプのツーウェイチューブは彎曲が強く、また先端部が14.5×13.8mmと太く硬い。本症例ではチューブの先端が食道前壁に当たった状態で斜めに食道を押し広げていた。この状態で無理に押し進めた場合、食道穿孔の恐れがある。
(2)ラリンゲアルマスクの挿入が容易であった理由
頭部後屈で気道を確保し、ラリンゲアルマスクを盲目的に挿入したところ容易に挿入できた。ラリンゲアルマスクはカフが柔らかく食道に入る部分が少ない。さらに気管口を被うので、食道に無理がかからないことも容易に挿入できた理由と考えられる。
4 結論 ツーウェイチューブがスムースに挿入できず抵抗があるときには、チューブの湾曲と食道の向きを考えて、やや後屈に頭位の変換をする。それでも抵抗のあるときは食道等の損傷を避けるために無理に押し込まず、抜管してバッグマスクで換気し、他の方法としてラリンゲアルマスク等による気道確保を行う必要がある。【文 献】
1)中路和也,梅澤卓也,三好正志,他:2Wayチューブ挿入に関する臨床的研究.第24回日本救急医学会救急隊員部会学術総会抄録集1996.
2)鈴木孝,須藤和則,廣田幸次郎,他:コンビチューブによる人工呼吸管理例.プレ・ホスピタル・ケア1994;7(2):139−144.
3)梅澤卓也,中路和也,三好正志,他:ツーウェイチューブ挿入におけるカフ容量とリーク率の変化.プレ・ホスピタル・ケア1996;9(4):51-53.
4)Kendall Sheridan healthcare productscompany:COMBITUBE Esophagealtracheal double lumen airway with X−ray line,1995.
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