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HTMLにまとめて下さいました粥川正彦氏に感謝いたします
目次
私の意見
医師に対する病院実習ガイドライン説明の必要性について
留萌消防組合消防本部:著者連絡先:〒077−0021北海道留萌市高砂町3−6−11
梅澤卓也・柴崎武則・中路和也・三好正志
はじめに
平成10年3月、救急救命士の病院内実習検討委員会から「救急救命士病院実習ガイドライン」(以下、ガイドライン)が示された。このガイドラインは、平成3年の救急救命士制度発足以来行われてきている救急救命士に対する病院実習の効果を上げることを目的に策定されている。その内容は、問題点、必要性、目的から始まり、実習項目、経験目標数、実習評価など詳細に謳われている。しかし、公になってから2年が経過したがガイドラインが関係者に浸透しているとは言い難い1)。今回、留萌消防本部では、留萌市立総合病院での医局会の場を借りて医師にガイドラインを説明する機会を与えられたので、その経過を考察を加え報告する。経過 留萌消防本部では平成7年から救急救命士病院実習を行っている。
平成8年12月に留萌市立総合病院医局会への初めての参加依頼があり、医師全体の中で「救急救命士制度(法)について」、「救急救命士とは」、「使用できる資器材は」といった話をする機会を得た。また、平成9年12月には救急医学会で発表した事例を紹介している。
平成10年12月、留萌市立総合病院での医局会への参加は3回目であり、ガイドライン、普通救命講習について説明した。
ガイドラインの説明の目的は、医師らから何を指導してよいのかわからないといった声があったことから病院実習の本旨を明らかにし、担当医だけの指導に終わらず各科の医師からの助言も頂き、より充実した病院実習としたいというところであった。
当日は、院長、副院長、救急救命士の実習担当である麻酔科医師をはじめ各科の医師が参加した。消防側からの参加者は、救急救命士8名、II課程修了者3名であった。
まず準備したものはスライドである。言葉だけでは聞き流されると思い、「救急救命士の病院実習〜救急救命士の病院実習検討委員会報告を受けて−」と題して10枚のスライドを用いた(図1)。
冒頭では、救急救命士制度及び病院実習の目的などについて説明を加えた。ガイドラインそのものの説明だけでは理解を得るのが難しいと考えたからである。ガイドラインの説明では、策定の経緯を詳しく説明した。ガイドラインの内容について説明した後、医師からいくつかの質問が出た。「救急救命士が病院実習で求めていることは何か?」、「病院実習をする中で救急業務の成果は上がっているのか?」などであり、ガイドラインそのものについての質問はなかった。また、病院実習あるいはガイドラインヘの批判的な意見は出なかった。
考察 我々は、病院実習あるいは救急出動時の医師との引継ぎがスムースにいくためには、お互いの存在を認め合っていることが前提であると考えている。しかし、病院実習において接する医師は特定の医師に限られており、救急出動時に接する医師の中には救急救命士の病院実習あるいはその存在が理解されていないと思われる医師もいると感じた。我々は、このことを重視するとともに、医師あるいは看護婦らとのコミュニケーションの大切さを痛感していた。
そんな思いが叶ったのか、留萌消防本部においてガイドラインの主旨・内容を我々救急救命士が直接医師に伝える機会が与えられたことは大変有り難いことであった。
医局会でガイドラインについて説明する機会を得られたのは、病院実習や医局会への参加で救急救命士の存在をアピールできていたことと、理解のある医師に恵まれたため病院側とのコミュニケーションが図れていたからにほかならないと思う。もし、このようなお膳立てがなければ医局会には我々救急救命士が参加してはいなかっただろうし、突然ガイドラインの説明をしたいと申し出ても実現は難しかったであろう。
救急救命士制度及び病院実習の目的などについて説明した際の医師の反応は「そんなことわかっている」、「初めて知った」など様々で、救急救命士に対する理解度にはかなりの幅があると感じた。
我々は、生涯実習の中である程度自分たちの意見を採り入れていただき実習してきたが、ガイドラインの策定に伴い更に有意義な実習が行えるようになると感じている。
医局会へ参加していた医師からは「へえ−」とか「こんなこともできるのか」といった驚きの声も聞こえてきた。特に新しく赴任された医師の驚きが大きく、救急救命士は何ができるのかが理解されていないようだった。それとは対照的に、顔見知りの医師は無反応だった。これは、実習内容が当たり前ととられているためであろう。
今回の医局会での説明をきっかけに、病院実習では主に手術場において各科の医師が直接指導してくれるようになったり、ガイドラインを意識して実習項目などを確認しながら指導していただけるようになった。また、救急出動時の引継ぎ時には医師からの質問が増えるなど、今まで以上に我々の引継ぎを聞いてくれるようになったと感じている。
留萌市立総合病院では救急専属の医師制度がなく、各科の医師が交代で救急当直を行っている。1回でも顔合わせあるいは話を聞いてもらうと少しでも良い方向に向かうものだと感じている。
結語1 萌市立総合病院での医局会に参加し、「病院実習ガイドライン」について説明した。
2 医局会での説明をきっかけに、病院実習あるいは救急出動時の引継ぎ等がよりスムースになった。
3 病院側とのコミュニケーションが図れていたことが医局会参加への大きな要因であった。【文献】
1)小林国男,春木正春,岩崎定義,他:救急救命士の病院実習一中小都市の現状と問題点−プレホスピタル・ケア1999;12(2):54−60.
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