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191020救急隊員日誌(184)敗者には3つのパターンがある

月に行きたい
「敗者には3つのパターンがある。」
 「これ、俺の宝物!」先輩救命士が緑色の救急救命士標準テキストを見せてくれた。
 救急救命士標準テキストといえば、言わずと知れた救急救命士のバイブルだ。昔のテキストは一冊しかなく、上下巻とか、1巻から5巻みたいに複数冊ではなかった。黒色、緑色、青色など発行年でテキストの表紙の色が変えられていて、テキストを見るだけで「あ、あの人先輩なんだ。」と分かってしまう。だけど、その先輩は、その本に書いてないことは徹底的に批判する癖があるのでいつも困っている。いくら「今のテキストはこうなってますよ!」と説明しても、全然いうことを曲げてくれない。なんとか納得してくれたとしても、「ふーん。じゃあ俺、他の業務があるから。」と拗ねてしまう。
 救急救命士でない職員にはあまり馴染みはないと思うが、私たちはこのテキストを徹底的に勉強する。どのくらい勉強するかというと、例えば、「多発性硬化症」はどこに書いてあったかな?と質問されると、「神経疾患の項」の、5ページめくった右側の中段にあるよ。と答えることができるくらいだ。だから使い込まれたテキストは厚みが2倍に膨れ上がり、汚れて茶色くなり、表紙は擦れて破れ、セロハンテープでツギハギになる。だから「俺の宝物!」という気持ちは十分に分かるのだけど・・・。
 先日、「その時歴史が動いた」というNHKの番組を見た。歴史の転換点となった“その時”を取り上げ、そのことが後の日本にどう関わっていったのかを解き明かしていく教養番組だ。その中で解説者が説明した、「歴史上の敗者に共通する3つのパターン」が面白い。歴史上の勝者には“ラッキー”があるので現代にはあまり参考にならないが、敗者には3つの共通点があるのだという。「歴史上の敗者に共通する3つのパターン」それは「情報不足」「慢心」「思い込み」だそうだ。例えばインターネットがこの世に普及する前と後では、私たちが受け取れる情報量は500倍以上になったと言われている。今の私たちが1日に受け取る情報量は、“江戸時代の人が一生涯のうちにえる情報量に匹敵する”らしい。私たち救急隊員はもとより医療の世界は、情報が変われば考え方が変わり、行動も変わってくる。ガイドラインが発表されるたびに、言葉のニュアンスだったり、処置の手順が変わるのはまさにそういうことだ。ということは、私たちに求められている能力は、「変わっていく情報に対してどう反応するか」「情報の中から何を選ぶか」ということにかかっていると言っても過言ではないだろう。
 「俺はできるよ」と自信がある状態(慢心)も、「今のままで大丈夫」と思考停止してしまう原因になってしまうから気をつけなければならない。思い込みが間違っていると分かった時には、私の先輩のようにヘソを曲げるのではなく、方向転換する素直さも必要なのではないか。
 「視聴者の皆さん。“自分は賢くないと思って”淡々と行動し続ける事が勝利する方法のようです。」とNHKの司会者は締めくくった。「敗者には3つのパターンがある」歴史の研究者が言うのだから、これは覚えておいて間違いはない。
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