200121_VOICE#47_「有意識」という言葉

 
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主張

月刊消防2019/12/1号, p81

「有意識」という言葉

200218非向精神薬中毒によりQT延長を認めた後、心肺停止となり除細動を実施した症例
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200121_VOICE#47_「有意識」という言葉
月刊消防2019/12/1号, p81 「有意識」という言葉 我々救急救命士は、処置範囲の拡大を含む、人を救うための処置が多くあり、そのどれもが迅速かつ的確に実施しなければなりません。しかし、その処置のことだけにとらわれて、傷病者やその家族...

我々救急救命士は、処置範囲の拡大を含む、人を救うための処置が多くあり、そのどれもが迅速かつ的確に実施しなければなりません。しかし、その処置のことだけにとらわれて、傷病者やその家族への対応を疎かにしてしまうケースがあるかと思います。いかにその処置を適切に実施していても、対応を間違えてしまうことで、不信感が生まれてしまい、その後の業務に支障をきたすことが懸念されます。そうならないためには、その救急要請が我々にとっては、100分の1、1000分の1の一件に過ぎないかもしれませんが、傷病者やその家族にとっては、人生でたった1回の救急要請であるかもしれないと考え、一つ一つの事案に愛をもって真摯に対応をする必要があるのではないかと感じています。しかしながら、救急件数の増加(不適切利用含む)などに対して、このようなモチベーションを維持することは大変に難しいことと危惧しています。

こういった状況の中、私は「有意識」という言葉を大切にしています。

意識には、無意識と有意識があります。そして無意識は無意識無能と無意識有能に、有意識は有意識無能と有意識有能に分かれます。これは、ステップ1:無意識無能、ステップ2:有意識無能、ステップ3:有意識有能、ステップ4:無意識有能になるとの考え方です。たとえば、ステップ1の無意識無能は何も考えず、しっかりと対応ができていない状態です。ステップ2の有意識無能は傷病者や家族に「親切丁寧に接しよう」と思ってもできない状態を示します。ステップ3は、1事案1事案的確な処置と親切丁寧な接遇を確実に行うことを意識して過ごし、それが実行できている状態と考えます。そして、ステップ4の無意識有能は習慣化し意識しなくても適切な対応ができる状態です。

しかし、無意識状態は快適である一方、有意識状態は不快です。なぜなら、人は行動や習慣に変化があると不快と感じるからです。ですから有意識状態はエネルギーを必要とします。常に「有意識」状態でいることで、たとえ能力が伴っていなくても、その誠意や気持ちは相手に伝わると感じていますし、有能であれば、確実な対応ができ、さらにイレギュラーなことが起きても適切に対処できると考えます。そして、常に有意識有能状態でいることで、いずれ無意識有能へとステップアップできると考えています。

これからの未来、消防行政や救急業務の在り方も、人工知能が主体になり、業務内容の変化が激しく変わる時代になると考えます。また、我々の立場も、より一層厳しいものになっていくことが予想されるため、一人ひとりが、この「有意識」の精神を業務で取り組むことで、適切な対応ができるものと考えます。

消防職員として「有意識」を大切にして、歩んでいきます。

氏名車田祐介(のりたゆうすけ)

プロフィール

氏名:車田祐介(のりたゆうすけ)

所属:埼玉県坂戸・鶴ヶ島消防組合

出身:埼玉県川越市

消防士拝命年:平成18年

救命士合格年:平成26年

趣味:世界遺産巡り(世界遺産検定2級)

 

主張
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