210404_VOICE#59_継続

 
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主張

月刊消防 2020/12/1

 

<継続>

 

仕事をする上で、そして生きていく上で、「継続」ということが一番難しく、そして一番大切なことと思っている。

「一時だけ」と思えば、人はなんとかその局面を乗り越えようとするが、災害現場で、何かイレギュラーが起こった局面で、この積み重ねた自信や信頼が私を後押ししてくれると信じている。

私の趣味はワークアウト(筋トレ)をすることで、トレーニング理論やフォーム、食事や生活スタイル、栄養学など、勉強になることが非常に多い。特に救急医学に通じるような解剖生理学が職務上必要な情報とリンクしていて、どちらも有効に活用させてもらっている。

しかしながら、ワークアウトの成果というのは一朝一夕に現れてはくれない。今日の努力が翌朝に目を見張るほどの変化を生むわけではなく、時には変化のなさに落ち込んでやる気を削がれることも珍しくない。

良くも悪くも日々の習慣として、気持ちがイマイチでもまずは取り組んでみるのだが、そのマインドで臨むことがプラスに働いたかどうかはすぐにはわからない。もしかしたら、その日は休息日にした方がよかったかもしれないが、それは「失敗という途中経過」が透け見えただけで、それを教訓にできれば、「長い挑戦の一過程」にすぎないのだから、まずは継続あるのみと行動を起こす。

また、変化のわかりにくい積み重ね作業を「くだらない」と言われることも、「何のためにやっているのか?」と目的を疑問視されることもある。しかし、「くだらないことすら全力でできない人間に大したことを成し遂げられるはずがない」というのが私の信条であるし、そして何より、その積み重ねの目的は「今より進歩を続けること」であって、前出のような質問を投げかける人は大抵の場合、歩みを止めているがゆえに相対的に後退しているか、良くてその場足踏みを延々と繰り返している。

消防士として業務する中でも、「継続」は大切にしていて、私の場合は特に人間関係においてこのことを肝に銘じるようにしている。毎日顔を合わせ、一つ屋根の下で当直しながらサイレンと共に出動する人間の集団にこそ、日常的に築く人間関係、些細な信頼関係の積み重ねが必要不可欠だと確信している。

挨拶、返事、声掛け一つ。他愛もない会話、酒の席、馬鹿げた身上話も、人間関係を構築する一手段としては非常に有効だと思っている。

人間のない現場はない。人間同士の堅い繋がりがなければ、私たちの仕事に成功はない。そしてその繋がり、信頼は、毎日確認しても変化がわからないほど少しずつしか成長していかないから、とにかく継続していくことでしか築けないのである。

いざ高い壁を越えようとする時、その大一番では、毎日積み重ねてきたティッシュ1枚分の厚みがモノを言う。

だから、命を預かる現場で、一度きりの人生で後悔しないように、正しいと思うこと、前進に必要なことの小さな積み重ねを、これからも継続していこうと思っている。

<プロフィール>

網谷早翔(あみやはやと)

S62.6.14生(33歳)

所属:北海道留萌消防組合 消防本部総務課庶務係

拝命:平成18年4月1日

階級:消防士長

出身:北海道留萌市

趣味:ワークアウト、野球、料理

 

主張
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